介護のお役立ちコラム

「家族懇談会の有無」や「職員の表情」は要チェック!虐待が起こらない老人ホームの見抜き方|老人ホームのコラム

「家族懇談会の有無」や「職員の表情」は要チェック!虐待が起こらない老人ホームの見抜き方|老人ホームのコラム

更新日:2016.11.14

介護が必要になった家族を老人ホームに預けるときに気になるのが、施設内での虐待。施設職員による高齢者への虐待は近年ニュースでもよく取り上げられます。 特に大きな話題となったのは2014年11月に起きた神奈川県川崎市の有料老人ホームでの転落死事件です。施設職員が認知症の高齢者の身体を転落させたこの事件をきっかけに、ほかの介護職員も日常的に施設入居者に虐待をおこなっていたことが明らかになり、職員4名が解雇となりました。 なぜ虐待が起きてしまうのか。虐待が起きないために施設選びで注意するポイントとは。そして、もしも虐待が起っていることがわかったらどこに相談すればいいのか。今回は、老人ホームで起こる虐待について解説していきます。

平成26年度は300件。年々増加している施設での虐待

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まずは、虐待の現状について整理します。 厚生労働省の平成26年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果によると、平成26年度の要介護施設従事者等(居宅サービスや施設の介護職員)による虐待の相談・通報 は1,120件、虐待と判断されたのは300件でした。
以下の図を見てもわかるように、年々施設での虐待は増加傾向にあります。
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出典:厚生労働省 このような虐待が起こる大きな原因としては、以下の3つが考えられています。

1.認知症ケアの難しさ

在宅介護をされている方はご存知のことと思いますが、認知症ケアは介護をするほうも、高齢者から暴言や暴力を受けることがあります。高齢者に対してストレスを溜め込んだ職員がその感情を虐待によってぶつけてしまうのです。

2.介護業界の慢性的な人手不足

介護業界は常に人手が足りていません。ほかの業界よりも賃金が安く希望者がいないこと、そして採用されても人間関係のトラブルですぐにやめてしまうことが人手不足の主な原因です。

3.介護職員の質の低下

人手不足に関係して、施設によっては介護職員の質が低いことも虐待の一因です。認知症への理解が十分でなかったり、根本的な常識に欠ける部分があったりと、本来雇わない人材を人手不足で雇ってしまい、虐待のリスクが高まっているのです。 もちろん、これをすぐに変えていくのは難しいことですが、徐々に変えていかなくてはなりません。そのためには、利用者やその家族の立場からだけではなく国の協力も必要となります。 では、利用する立場として、虐待が起こる可能性の低い施設を見抜くにはどういった点を見ればよいのでしょうか。

虐待の起こらない施設を見抜く5つのチェックリスト

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老人ホームを比較検討するときには、以下の5点をチェックしてみましょう。


・見学時間が1時間程度取られている

施設のサービスの説明や方針などについて、30分程度の短時間で説明しようとしている場合は、介護への想いが不足していたり人手が足りていなかったりする可能性があります。また、見学時間が十分取られていたとしても、質問に対して回答を濁される場合などは、都合の悪い部分を隠そうとしているとも考えられます。

・外出や携帯電話の持ち込みに制限があるか

外部との連絡手段が遮断されている閉鎖的な環境では、虐待が起こっても気づかれない場合があります。ただ、携帯電話についてはペースメーカーやマナーの関係があるので禁止されている施設もあります。その場合は、公衆電話の有無もチェックしてみましょう。

・地域住民にも開放されていたり、家族懇談会が定期的に開催されている

外部から、施設の環境が見えるかどうかも重要なポイント。家族側と施設側が互いの想いを理解し合う家族懇談会がある施設で虐待が起こる可能性は低いでしょう。

・職員の表情が明るい・笑顔が多い

見学に行ったときに、職員が入居者に対して明るい表情で丁寧な対応をしているかどうかチェックしましょう。入居者と職員が冗談を言い合って笑顔が絶えない施設が理想です。そもそも先に説明したように、職員にとっても老人ホームは辛いことも多い職場。そんな中で笑顔を絶やさず振る舞えるのは、精神的に余裕がある証拠です。

・従業員の経験年数・離職率

厚生労働省の介護サービス情報公表システムのサイトを見ると、施設の従業員やサービスについての情報を集めることができます。従業員の経験年数だけではなく、「相談・苦情等への対応」「外部機関等との連携」など運営状況についてのレーダーチャートなどが公開されているので、比較検討する際はぜひ活用しましょう。

虐待が起こってしまったら......。まずは地域包括支援センターに相談を

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では、万が一にも実際に虐待が起こってしまったら......。そのときの相談窓口は大きく2つあります。

地域包括支援センター

地域社会の高齢者の暮らしをサポートする地域包括支援センターでは、社会福祉士やケアマネジャーが相談に乗ってくれます。虐待に限らず、医療や介護予防についても相談を受け付けているので、何か困ったことがあったら訪ねてみましょう。

市区町村の相談窓口

地域包括支援センター以外に、市区町村でも苦情相談窓口などで高齢者の相談を受け付けています。専門家や関連機関につないでくれるケースもあり、解決への手伝いをしてくれます。 これらの窓口を探すときは、東京都であれば福ナビ とうきょう福祉ナビゲーションなどを参考にしてみましょう。

家族が虐待防止のためにできることとは

そもそも介護職員の待遇が悪い、人手が少ないという、介護業界全体の課題から起こる、老人ホームでの虐待。利用者がその問題を根本から変えることは難しいでしょう。 しかし、虐待が起こりうる施設を見抜くことはできます。もちろん虐待がおこなわれている施設のほうが少ないので、今回紹介した5つのポイントに注意しながら、万が一虐待が起こってしまったときには専門の相談窓口にいち早く相談することが大切です。

老人ホームの選び方に関する記事はこちら!

◎経験者100人に聞いた老人ホームの選び方と注意点

◎老人ホームの見学でチェックしておきたい10のポイント

◎【老人ホーム】東京都で選ぶときに知っておきたい、サービスの特徴や費用感

◎「味が薄い」「冷めている」!?食事にこだわる老人ホームの見極め方

◎「介護付き」と「住宅型」の有料老人ホーム、どちらを選ぶ?

◎どう選べば正解?経験者に聞く、"本当に満足できる"有料老人ホームの探し方

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