介護のお役立ちコラム
医療技術の発達により、日本人の平均寿命はどんどん伸びていっていますが、それでも一度も病院のお世話にならない人は稀ではないでしょうか。加齢に伴い、どうしても病気で入院してしまうことはあることでしょう。 もし病院生活が長期にわたってしまった場合、晴れて退院できたとしても、すぐに今までの日常生活を取り戻せるとは限りません。それが以前から介護を必要としている高齢者であれば、経過観察や通院などを継続し、予後もこれまで以上に注意深く健康管理に気を配る必要があります。 そこで今回は、退院後でも引き続き、医療と介護の両方を必要とする高齢者が入居できる「介護療養型医療施設」についてご説明します。
医療のプロがケアをする、"介護付きの病院"
介護療養型医療施設とは、病院レベルでの治療や経過観察までは必要としないものの、引き続き長期にわたり療養を必要とする高齢者が入居する施設です。介護保険で入居できる施設系サービスで、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)とならぶ"介護保険三施設"のひとつでもあります。 おもに病院を所有する医療法人や地方自治体によって運営されており、医師、看護師はもちろん、介護福祉士や理学療法士などが勤務しているため、医療と介護両面での手厚いケアが提供されます。特養や老健と比較して、酸素吸入や痰の吸引などの処置も可能など、医療施設としての側面が強く、寝たきりなどの要介護度が高い入居者で占められています。 生命維持が第一優先事項であることから、ほかの施設や有料老人ホームとは異なり、レクリエーションや食事の面にはそれほど力を入れていない施設が多く、介護住宅と言うよりも"介護付きの病院"と解釈することができるでしょう。
要介護1以上の高齢者であることが入居条件。入居一時金は"なし"
介護療養型医療施設への入居条件は、「医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者(65歳以上)」となっています。また、同時に長期入院を必要としないこと、感染症に罹患していないことなども入居条件に含まれます。 入居者に応じて、手厚い介護を必要とする人向けの「介護療養病床」と、重度の認知症患者向けの「老人性認知症疾患療養病床」が用意されています。多床室(4~6人が定員の大部屋)がほとんどで、特養のような個室やユニット型の部屋が用意された施設はそれほど多くありません。 有料老人ホームなどと違い、入居一時金は必要ありません。月々に支払う利用料は、多床室の場合10万円弱程度で、これには入居費、家賃、光熱費、その他雑費などが含まれます。個室型やユニット型の場合は、これより1.5~2倍ほど割増しになります。さらに、介護療養型医療施設は医療ケアが必要となるケースが多いことから、医療加算が加わります。
長期にわたる患者の滞在が多いことから、将来は廃止の方向へ
本来、介護療養型医療施設は、予後が良好で長期の療養を必要としなくなった場合、特養か老健への転出、または自宅での療養に切り替えることを想定とした施設です。しかし現在、多くの入居者が長期入院をしているのが現状で、身寄りがなく帰る家がない高齢者、また家族はいるものの、諸事情があって引き取ることのできないケースなどその理由はさまざまです。行き場のない高齢者の受け入れ先として機能している面もありますが、長期入院者が増える傾向のなかで、なかなかベッドに空きが出ないという問題も生まれています。 このように本来の目的に反する入居者が増えていることもあり、現在、介護療養型医療施設は2017年末での廃止が予定されています。そこでその代替として、医療ケアの機能を充実させた新しいタイプの老健(転換型老健)の増設や、病院であり生活の場でもある"新類型"の創設が進められているのです。 現在、医療機能を内包した施設系サービス2種類と医療外付け型1種類の、計3種類が検討されています。そのため、介護療養型医療施設が廃止されたとしても、その先にはしっかりと受け皿が用意される見込みなのです。
終わりに
高齢者の生活を支える「介護」について、あらゆる介護サービスを行う社会福祉法人や事業者が急増したことで、安心して高齢者をケアする体制が整備されてきました。しかし介護問題と同様、「医療」も避けられない問題であり、高齢者のケアについては、医療と介護は両輪で考えていかなくてはなりません。 利用者の立場でも、介護療養型施設に変わる新類型の情報など、介護や医療がこの先どう変わっていくのか、逐一情報をチェックするようにしましょう。
※参考文献 『福祉・介護の仕事&資格がわかる本』資格試験研究会編 実務教育出版
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