介護のお役立ちコラム

高齢者の見守りサービスの選び方とは?種類やICTの活用事例もご紹介|老人ホームのコラム

高齢者の見守りサービスの選び方とは?種類やICTの活用事例もご紹介|老人ホームのコラム

更新日:2022.04.06

【最終更新日:2022.12.20 】

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高齢の親が離れた地域で一人暮らしをしていたり、同居でも日中独りになってしまうご家庭の場合だと、その間の親の生活や日常行動に問題がないか気になるものです。

そんなときに便利なのが「高齢者の見守りサービス」です。ご家族は離れた場所からでも親の日々の様子を見守ることができ、支援が必要な場合には早めに気づいて対処できるようになるでしょう。

そこで今回の記事では、高齢者向けの見守りサービスの種類や選び方、見守りにおけるICT(情報通信技術)の活用事例について詳しく解説します。

見守りサービスの種類

見守りサービスとは、離れた場所から家族が高齢の親の様子を見守り、心身の状態を確認するためのものです。見守りサービスには、大きく分けて「専用の機器を使用するもの」と「人が行うもの」があります。

次で、6種類の見守りサービスの概要とメリット・デメリットを見ていきましょう。

カメラ型

カメラ型の見守りサービスは、親が生活する自宅の部屋などにカメラを設置し、離れた場所から日常生活を映像でチェックするサービスです。

最近では、機器のなかにSIM(ICカード)が内蔵されているものが出てきており、インターネットへの通信環境がなくても使用できるようになっています。

カメラ型のメリットは、リアルタイムで親の生活状況を確認できることです。

デメリットとしては、本人が監視されている状態に嫌悪感を抱きやすく、プライバシーが守られにくいことがあげられます。

センサー型

センサー型の見守りサービスとは、人感センサーを搭載した機器が、親の生活状況や行動を感知して問題があった場合に知らせてくれるサービスです。

たとえば親の動きがセンサーで確認できない場合、自宅のどこかで倒れている可能性が考えられます。そうした状況を機器が判断して家族に知らせ、万が一の場合の早期発見につなげるのです。

最近ではスマホアプリで状況を確認できるサービスも出てきています。

前述のカメラ型とは異なり、プライバシーを守りやすいというメリットがある一方、直接的なコミュニケーションが取れないといったデメリットもあります。

GPS型

位置情報を取得するためのGPS(全地球測位システム)を持ち歩いてもらい、常に居場所が特定できるようにするサービスです。徘徊の危険性があるの場合、心強いサービスとなるでしょう。

どこにいても居場所がわかるのは大きなメリットですが、GPSを常に持ち歩く必要性や、カメラ型同様にプライバシーに関する問題がある点はデメリットと言えるでしょう。

ロボット型

コミュニケーションを通して、AIを搭載したロボット機器が見守ってくれるサービスです。

ロボットが話し相手となってくれるため、一人暮らしの方のさみしさを紛らわせるというメリットがあるでしょう。

一方、費用が高めになってしまう点がデメリットです。

訪問・宅配型

サービス提供会社のスタッフが定期的に親の自宅を訪問し、安否確認を行うサービスです。

人が定期的に訪れるので話し相手にもなり、孤独感を軽減できる点は大きなメリットと言えます。

対するデメリットは、緊急時などの対応が難しいことや、訪問スタッフは介護や医療の専門家ではないので体調の変化に気づきにくいことです。

電話型

サービス提供会社のスタッフが定期的に電話をして安否確認を行うサービスです。

電話なので対面よりも気軽に話しやすい点がメリットです。一方、電話のみであるため顔色や見た目の変化はわかりませんまた、難聴の方には使いづらいサービスであることもデメリットと言えるでしょう。

通報・駆けつけ型

体や生活に問題が生じた際に、通報装置のボタンを押すことで、サービス提供会社のスタッフが駆けつけてくれるサービスです。

緊急時に対応してもらえるのは、通報・駆けつけ型の大きなメリットでしょう。ただ、通報ボタンを常に持ち歩くのは難しく、倒れて意識がなくなってしまうとボタンが押せない可能性もあることなどがデメリットと言えます。

高齢者の見守りサービスの選び方

見守りサービスにはさまざまな種類があるとわかりました。次は、高齢者の見守りサービスを選ぶうえでチェックしたい4つのポイントをご紹介します。

本人の意向や要望を尊重する

見守りサービスを選ぶに当たって最も大切なのは、本人の意向や要望を尊重することです。

親を危険から守りたいという気持ちはもっともですが、それが家族側の都合にならないよう、介護を受ける親自身がどのような見守りを希望するのか、どのようなサービスであれば抵抗なく受け入れられるのかを、早めに話し合っておきましょう。

本人の健康状態や性格、目的を考慮する

どのような見守りが必要かは、本人の健康状態によって変わります。要介護度や持病など心身の状態をふまえ、目的に合った見守りサービスを利用しましょう。

また、親の性格的に「カメラがあると落ち着かない」と感じるなど、特定のサービスを嫌がる場合もあります。

本人が嫌悪感なく受け入れられる見守りサービスを選ぶことが大切です。

費用・予算に合わせて選ぶ

見守りサービスは、「24時間対応」など安心を最優先にすると、費用が高額になる場合があります。あまりにお金をかけすぎると、親本人が気を遣ってしまうかもしれません。

長期的に利用するのを前提として、経済的に無理のない範囲で利用できるサービスを見つけましょう。

操作が簡単かどうかで選ぶ

難しい操作が必要なサービスだと「機器を設置したもののまったく使用されない...」といった状況も起こりかねません。高齢者でも無理なく操作できる機器を用いたサービスを選びましょう。

老人ホームのICT導入事例

近年、老人ホームにおいても、人感センサーなどを用いたICTによる見守りサービスを導入するケースが増えています。

以下では、実際に老人ホームに導入されているICTの事例、そして先進機器が導入された施設に入居することのメリット、さらに施設長の声などをご紹介しましょう。

具体的なICTの導入例

近年、入居者の居室に各種センサーや装置を設置し、自動で利用者の見守りをしてくれるシステムを導入している老人ホームが増えています。具体的には、次のような見守りシステムです。

・赤外線リモコン(エアコン制御)

居室内にあるエアコンを遠隔操作できるシステムです。スタッフがわざわざ居室まで出向かなくても室温のチェックや調節を遠隔で行えます。

・バイタル計測器

体温や血圧などを自動で測定して記録することが可能です。スタッフが対面で入居者のバイタルチェックをする必要がなくなります。

・温湿度センサー

温湿度センサーは、居室の温度と湿度を自動で計測する装置です。遠隔操作が可能なエアコンと合わせて活用することで、スタッフによる居室の温度・湿度管理を効率化できます。

・人感センサー

入居者が日々利用する居室の天井やトイレには、人の通行を感知する人感センサーが設置されます。

天井のセンサーを使えば、離床や在室などを把握できます。トイレに設置したセンサーは、緊急の呼び出し、あるいはトイレ内で高齢者が一定時間動かなかった場合などにアラートで知らせてくれます。

・開閉センサー

ドアの開閉を感知するセンサーです。入居者が認知症を発症している場合、開閉センサーがあることで徘徊を未然に防ぐことも可能です。

介護施設などでIT化が進む背景には、以下のような課題があります。

  • ・介護人員の不足
  • ・IT技術の進歩
  • ・スタッフの職場環境改善
  • ・科学的根拠に基づいた介護の促進
  • ・感染症対策

今後はICTを積極的に活用する介護施設が、安心安全な施設選びにおけるひとつの基準になってくるでしょう。

ICT導入施設に入居するメリット

介護業界では、データから得られたエビデンス(根拠)を基に介護方法を検討する科学的根拠に基づいた介護の実用化がスタートしています。

これまで老人ホームでの介護は、介護職員の感覚あるいは経験則に基づいて行われてきました。しかし、ICTの導入が進んでいる施設では、データに基づく客観的な介護が提供できる体制が整えられてきているのです。

たとえばICT機器で入居者の睡眠状況を記録していれば、不眠ぎみの人の日中の活動量を増やすようにアプローチして、夜ぐっすり寝られるようにするなどの対策ができるでしょう。

事故などが起きた場合に早期に発見されやすい点も、ICT導入施設に入居するメリットです。

たとえば、センサーがついた介護ベッドを導入している施設だと、入居者が目覚めてベッドから起き上がったとき、自動的にスタッフに連絡が入ります。そのため、入居者が一人でトイレに向かって転倒してしまったことなどを発見しやすくなるわけです。

導入施設での実際の声

実際にICTを導入している老人ホームについて、施設長の声を紹介しましょう。

東急ウェリナケア旗の台介護付き有料老人ホーム

最初にご紹介するのは、東急ウェルネス株式会社が運営する「東急ウェリナケア旗の台」(東京都大田区)。こちらでは、『HitomeQ(ひとめく)』というサービスを導入し、スタッフからもご入居者さまからも大変好評だそうです。

導入のきっかけをうかがうと、「スマートフォンからその場でケア記録入力ができるほか、従来のセンサーでよくある誤通知による訪室を防げるなど、効率化を図って職員の業務負担を軽減できるサービスを求めていました。従来の業務量が減ることで、その分、ご入居者お一人おひとりの個別対応に時間を充てられるようになりました」と、導入のメリットを感じているようでした。

また、ご入居者からも、「以前生活していた老人保健施設では、寝返りをうっただけで、職員の方が訪室してその都度、目が覚めてしまうことがありましたが、ここではトイレに行こうとしたときにだけ職員の方が来てくださるので、安眠できて助かります」と、安心、喜びの声が聞かれています。

④ケア通知対応画面1.png

「東急ウェリナケア旗の台」の施設紹介ページはこちら

「東急ウェルネス」特設ページはこちら

次に、『ライフリズムナビ®+Dr.』を導入している2施設の事例です。実際に、それぞれの施設長にお話をうかがいました。

●チャームプレミア柿の木坂/介護付き有料老人ホーム

charmpremia_kakinoki_naikan.jpg

豊かな時間を過ごすには良質な睡眠がその基盤になると考えているので、しっかり眠れるように、週3回のお散歩など日中の活動量を増やすようにしています。

ベッドセンサーを使うことで入居者さまの睡眠時間やその深度、起き上がるタイミングがわかるので、それぞれの方にカスタマイズした使い方ができます。

たとえば転倒が心配な方には、睡眠から覚醒するタイミングをアラートで介護職員に知らせるように設定しています。体動を確認してからお部屋に訪問することで、居室への不要な訪問を減らしつつ、適切な介助が可能になるのです。

転倒して動けなくなった場合も、人感センサーによって早期発見が可能になります。「誰にも迷惑をかけたくない」と一人でトイレに行かれる入居者さまも多いのですが、プライバシーを守りつつ、ICT技術の活用によって必要なときにケアを提供できるようにしていきたいと思います。

「チャームプレミア柿の木坂」の施設紹介ページはこちら

●横浜エデンの園/介護付き有料老人ホーム

運営母体を同じくする聖隷横浜病院が隣接していることから、医療ニーズの高い方やターミナルケアの入居者さまも多くいらっしゃいます。入居者さまには「できないことに意識を向けるのではなく楽しく快適に毎日を過ごしていただきたい」と思っています。

そのために、ICT機器で取得したお部屋の環境や睡眠の状態などのデータを確認し、仮説を立てながら、改善に向けた行動をとっています。たとえば夜間の尿失禁が増えてしまった入居者さまの場合、睡眠レポートで夜間の状況を確認し、就寝前にトイレ誘導すれば防げるのではないかと仮説を立てます。トイレ誘導が難しいならばオムツ着用をご提案するなど、その方にとって最善の方法を探るようにしています。

ベッドセンサーでは呼吸数やバイタルサインも確認できるので、入居者さまの日々の暮らしだけでなく、旅立たれるまでの様子をしっかりとご家族にお伝えできるようにしたいと思います。

地域の見守りネットワークも活用を

介護保険サービスのデイサービスや訪問介護などを利用して、介護職員や看護職員、ホームヘルパーに見守りをお願いするという手段もあります。

また、現在、高齢者が地域で生活し続けられるよう「地域包括ケアシステム」の構築が進んでいます。

そこで活動が盛んになってきているのが、地域の有志で行われる見守りボランティアです。自治体独自の取り組みになるので、具体的な支援内容などはホームページをチェックしてみると良いでしょう。

本人と話し合って決めることが大事

昨今、高齢者の見守りサービスは種類・内容ともに多様化しています。今回ご紹介してきた通り、エアコンを遠隔操作して部屋の温度調節をしたり、バイタル計で計測した記録がアプリを通して確認できたり、ベッドセンサー(マットの下に設置したセンサー)で就寝・起床時間、寝返りの回数や睡眠深度などを確認できるものもあります。

便利な見守りサービスですが、プライバシーの問題もあるため、実際に利用する際は介護者側の都合だけで決めないよう、事前に親と話し合いましょう。

本人が嫌悪感を感じるサービスの場合、長続きしないばかりかストレスとなり、心身状態の悪化を招く恐れもあります。

見守りを受ける高齢の親の意見にもしっかりと耳を傾け、双方が納得したうえでサービス利用を考えることが大切です。

▼参考資料:あいらいふ別冊『退院後の介護生活に役立つ本』

退院後の介護生活に役立つ本

『退院後の介護生活に役立つ本』では、退院後の自宅療養に関わる様々なサポートや費用のこと、自宅療養以外の選択肢など、ポイントを整理し、わかりやすく説明しています。

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