介護のお役立ちコラム

有料老人ホームの契約時に注意すべき費用面でのトラブル|老人ホームのコラム

有料老人ホームの契約時に注意すべき費用面でのトラブル|老人ホームのコラム

更新日:2018.01.17
何度も比較検討し、説明会や施設見学を重ねた末にやっとの思いで見つけた有料老人ホーム。しかし、思わぬところで請求が発生するなど、費用面でのトラブルは後を絶ちません。消費生活センターへの苦情や相談件数も年々増えてきており、これから施設を探そうと考えている人にも大きな懸念事項となってきます。

今回は、有料老人ホームへの入居を前に、初期費用や月々のサービス利用料など費用の面で知っておくべき点や確認すべきポイントをまとめてみました。家族に安心して施設で暮らしてもらうために、そして費用を捻出する私たちの予算を逼迫しないためにも必ず押さえるようにしていただきたいと思います。

有料老人ホームにかかる費用。月々支払う費用と入居時にかかる一時金

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有料老人ホームをはじめ、介護施設で生活するにあたり、毎月費用がかかります。おもに「生活費」と「介護サービス費」に大別することができます。

生活費は、介護と切り離して月々に発生する費用で、居住費(家賃)、光熱費、食費などが該当します。一方で介護サービス費は、提供される介護サービスについて支払う対価になり、介護保険の適用範囲となるため利用者が負担する金額は介護サービス費全体の1~2割となります。

しかし、要介護度が上がれば、比例して介護サービス費の個人負担額も上がる傾向になり、同時に定期的な診察や服薬など医療ケアが必要となった場合もその費用が加算されていきます。年齢とともに健康状態が悪化し、より手厚い介護が必要になる高齢者が多いことを考えると、利用者とその家族が毎月支払う介護サービス費は時間が経つほど高額になってくると考えた方がよいでしょう。

施設によっては、レクリエーションや遊戯にかかる費用、家事代行などオプション的に費用を生活費の一部として上乗せして請求しているところもあるため、思わぬところで想定外の出費になるケースもめずらしくありません。

そして、有料老人ホームの場合、月々の費用とは別に、入居時に発生する「入居一時金」が必要になる施設がほとんどです。これはマンションやアパートを借りる際に発生する敷金のようなシステムで、高級有料老人ホームの場合、その金額が数千万円に及ぶこともあります。最近は入居一時金のないホームも増えてきていますが、その分月々の生活費を高めに設定されています。

敷金の意味合いもあるため、何らかの事情で早期退去することになった場合、支払った入居一時金の一部が返却されることになっていますが、現在、この入居一時金の取り扱いがトラブルの火種となるケースが散見されています。

利用者を守るため法律化された「90日ルール」とは?

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入居一時金は、原則その事業者が定めた一定の期間内(おおよそ5年)の退去であれば償却分を除き利用者へ返金されます。

しかし、初期償却費(入居直後に償却される金額)が高額に設定されていて、退去時にわずかな金額しか戻ってこなかったケースや、本人死亡で退去(解約)となった場合、死亡時にすでに契約が終了したとみなされ、一時金が1円も戻ってこなかった事例が過去に幾度も消費生活センターなどへ報告されています。

このようなトラブルを未然に防ぐため、利用者が何らかの事情で有料老人ホームを退去する場合、90日以内であれば実際にかかった諸経費などの金額を除いた入居一時金が返還される「短期解約特例(通称:90日ルール)」と呼ばれる措置が取られてきました。

家族にとって心強いはずのこの「90日ルール」ですが、実はかつては法的効力がなかったため、このルールを適用していない事業者が多く存在しました。当然利用者への説明もないため、「90日ルール」の存在すら知らずに泣き寝入りした人も多くいたはずです。しかし相談・トラブル報告が相次いだことから、平成24年度の老人福祉法改正時に法律で義務付けられるようになりました。

費用面の不透明さを解消するカギとなる「重要事項説明書」

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費用面での問題をクリアするために最も重要となるのが「重要事項説明書」です。これは契約時に、事業者から利用者とその家族へ説明書の内容に沿って説明することが義務付けられており、入居する施設の概要に始まり、職員の配置、サービス内容、そしてかかる費用について明文化した書類になります。

金額がクリアになっているとはいえ、費用に関しては、介護報酬の改定や個人負担額の増減、物価や消費税の増加によってやむを得なく値上げすることもあります。料金の改定についての条項も記載されているはずなので、必ず確認しましょう。

消費者委員会の調査によると、法改正される前までは、トラブルの多い入居一時金の「90日ルール」について、「重要事項説明書」に記載してない事業者が全体の30.9%を占めていました。現在はそのような傾向もなくなりつつありますが、万が一、申し込んだホームの「重要事項説明書」に記載がなく説明を受けなかった場合、必ず「90日ルール」が適用されるかは確認するようにしてください。また、それ以外でも疑問点や不透明な点があるようでしたらその場で説明を求めるようにしてください。メモやICレコーダーなどで記録しておくのもよいでしょう。

トラブルを回避するために必要なこと

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では、このようなトラブルを避けるため、そして適切な対価を把握し利用者の権利を主張していくために、どのような対策が考えられるのでしょうか。

事前の説明会・施設見学に参加する

入居希望者を対象に、各事業者とも説明会や体験入居などを実施しています。費用やサービスについての説明があった場合、その内容を記録しておき、不明点があれば遠慮なく担当者に聞くようにしましょう。

早期解約の際の違約金・返還額をチェックしておく

「90日ルール」が適用された場合、利用者の手元にいくら戻ってくるのか、その算出方法を知っておきたいところです。現法では、全額から入居期間中に発生した生活費や居室の原状回復費にかかる金額を差し引いた金額となっています。利用者本人が入居から90日以内に死亡した場合、ルールが適用される事業者とされない事業者が混在し、ばらつきがあるのが現状です。

契約締結後、利用者の一方的な都合で入居前に解約する場合や、事業者側から退去を命ぜられた場合(利用者側が利用規約を遵守しなかった場合や、高度な医療が必要となり入居が無理と判断された場合など)、違約金が発生し返還額から差し引かれることもあります。

「入居一時金」の使途が明確にされているかチェックする

入居一時金は「施設への入居に必要な敷金」と理解されていますが、そのことが重要事項説明書に記載されているか確認してください。入居一時金を有料老人ホームへ入るための「入会金」や「権利金」と考えている事業者もいますが、これらの費目は使途があやふやであることから、平成24年度の老人福祉法改正時に、家賃相当額や敷金、サービス提供費以外の費用や金品を受領することが禁止されました。

契約書類は大切に保管する

重要事項説明書など、契約時に交わした書類はきちんとファイルに入れて1か所に保管するようにしましょう。また念のためコピーを1部取っておくことをおすすめします。

トラブルになりそうなときは専門機関へ相談する

万全を期していても金銭面でのトラブルは避けられないこともあります。困ったときは最寄りの消費生活センターや法テラスなど、専門の機関へ相談するようにしてください。


終わりに

介護施設を利用しながらも、元気に長生きする高齢者が増えてきています。同時に施設への入居期間も長くなる傾向にありますが、その分、費用の負担も長期化するとなると、余計な支出は増やさず、戻ってくるお金も多い方が何かと助かることでしょう。今回ご説明した「90日ルール」や「重要事項説明書」の重要性を知っておくだけで、事業者との話し合いの場で不利益を被ることなく、施設選びもよりスムーズなものになるかもしれません。

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