介護のお役立ちコラム
最終更新日:2018年12月26日
一口に老人ホームと言っても千差万別。一般の住宅と変わらないようなアットホームな雰囲気の施設や、高級ホテルのようなゴージャスな施設まで多種多様です。
そんな様々な老人ホームの中から入居する施設を選ぶにあたり、入居希望者の一番の関心はやはりその"費用"ではないでしょうか。 高齢者の要介護度が上がり、在宅介護での対応が厳しくなったとしても費用が払えずに諦めてしまう方も多いと言います。
今回は、老人ホームのなかから、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の3つについて、サービスの違いと必要な費用について説明していきます。
高齢者向け施設系・居住系サービスにかかる基本費用
各施設に共通してかかる費用は、介護サービスを受ける際に発生する「介護サービス費」と入居に際しての家賃、光熱費、食費、雑費などの「生活費」になります。
介護サービス費に関しては利用者の1割負担(一定の収入がある方は2割負担)のため、要介護度による個人差以外はどの施設に入所してもかかる費用は大差ありません。しかし家賃や食費、入居にあたっての一時金の有無は、地域差や施設のグレードによってかなり差が出てきます。具体的にそれぞれの施設にはどのような違いがあるのか、見ていきましょう。
特別養護老人ホームの費用
特別養護老人ホーム(以下、特養)の場合、介護サービス費を除く利用料金は、世帯収入や課税状況などによって差はありますが、月額費用はおおよそ7~15万円ほどです。入居一時金はありません。
メリットは、やはりその安さ。もともと社会福祉法人や地方自治体などの公的な機関が運営していることもあり、有料老人ホームと比べてもかなり安価に抑えられています。また、24時間の介護体制が整っている点も魅力です。
ただし、入所条件が原則「要介護度3」以上の人でなければ入所できません。しかし、その安さゆえ人気が高く入居待ちが必要な施設が多くなっています。特に都心部では顕著です。費用が安く抑えられるため、年金がメイン収入源の方が施設入居を検討する場合の筆頭候補になりえます。
◎特別養護老人ホームに入るには?「(要介護1や要介護2など)入居条件」と「入居待ちの間の過ごし方」有料老人ホームの費用(介護付き・住宅型)
有料老人ホームは特養と並ぶ、一般的な居住型の高齢者福祉施設です。主に民間企業が運営しており、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つに区分されています。
入居一時金を設定しているほとんどで、その額は施設の設備の充実度や立地、サービス内容によってピンきりです。一般的な施設であれば約数十万円~数百万円ほどですが、裕福層をターゲットにした高級老人ホームでは、入居一時金が数千万円から数億円という施設も珍しくありません。一方で、最近は入居一時金が0円の施設も増えてきています。
◎高級有料老人ホームはここが違う!〜老後だからこそ上質な暮らしを〜
入居金の価格帯は幅広く、一また、有料老人ホームは月々にかかる生活費も特養より高く設定されています。一般的な有料老人ホームでも家賃、食費を含めて大体20~25万円/月ほど。その他にかかる費用として介護保険の自己負担分(1割または2割)があります。
「介護付き」の場合は介護保険が適用されるため、1ヶ月の自己負担額は介護度別に決められているため、月々の支払いのイメージがしやすいでしょう。注意点は、介護保険の利用限度額すべてを使うことになるため、「介護付き」に入居するとその他の介護サービスは利用できなくなります。
「住宅型」の場合は、介護サービスが個別契約となるため必要な分だけ介護サービスを利用することができます。訪問介護を利用してヘルパーに来てもらったり、施設からデイサービスに通ったりと、自宅にいるのと同じような感覚で介護サービスを利用することができます。ただし、利用した分だけ自己負担額がかかりますので、常に介護サービスが必要な方は利用限度額を超えて、実費負担をせざるを得ないなど、月々の支払いが大きくなってしまうケースもあります。
◎「介護付き」と「住宅型」の有料老人ホームとは?どちらを選ぶ?
以上のように有料老人ホームを選ぶ際の注意点としては、やはり特養や後述するサ高住と比べて、お金が多くかかってしまう点です。入居一時金がかからない老人ホームもありますが、生活費などを比較すると他の2つよりやや高めに設定されている場合が多く慎重に選ぶ必要があります。
サービス付き高齢者向け住宅の場合
特養は待機者が多くて入れない、でも有料老人ホームに入るにはお金が少し不安......。そんなジレンマを抱える人たちのために、近年「サービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)」が注目を集めています。
サ高住は、施設というよりは管理人が常駐し、「安否確認」「生活相談」に乗ってくれる他、バリアフリー対応となっています。高齢者向けの賃貸マンション・アパートといったイメージが近いでしょう。
サ高住は、「一般型」と「介護型」に大別することができます。「一般型」は、自立や要介護度が低い方向けで、適宜介護サービスを受ける際は外部のサービス提供事業者と別途契約をして利用することになります。
厚生労働省が定める「特定施設」の指定を受けている「介護型」では、訪問介護ステーションやデイサービスを併設しているケースが多く、事実上、介護付き有料老人ホームと同様のサービスを受けることができますが、月々の費用は高めになります。
都市圏の施設型でかかる生活費は15~20万円/月ほどで、これには管理費、食費が含まれます。ほとんどの部屋がワンルームタイプですが、法令で各部屋の床面積は25平方メートル以上と定められています。
入居一時金は特に設定されていませんが、賃貸物件と同様に敷金と連帯保証人が必要です。 メリットは、入居者が自宅にいた頃とそれほど変わらない暮らし方ができる点です。特養や老人ホームと比べて入居者の自由度は高く、外出や外泊も可能です。また介護認定を受けていない高齢者でも入居できるのが強みとも言えるでしょう。
デメリットとしては、外部の介護サービスを利用するため、基本的に重度の要介護者には対応していないことが挙げられます。 そのため、自立している方や要介護度が低い方で、自宅と変わらない暮らしを送りたい方に向いている施設と言えます。
年金でも大丈夫! 入居費用を抑えられるさまざまな軽減措置
各自の予算に見合った施設を選ぶことは大事です。多くの高齢者が年金が生活資金になっているため、施設に入居した場合、毎月一人につき10~25万程度の出費は預金を切り崩すケースも多くあります。
しかし、支払いが厳しい家庭のためにいくつかの費用軽減措置があるのでうまく活用しましょう。しかし、適用には条件があるためケアマネジャーや役所の担当者に相談してください。
例えば、介護保険三施設(特養と介護老人保健施設、介護療養型病床)の場合、入居者とその家族の世帯年収に応じた負担限度額の引き下げが可能で、「特定入所者サービス費(負担限度額認定)」と言います。
特養で毎月発生する食費や光熱費の一部が介護保険でまかなわれるようになり、結果的に自己負担額が減ります。世帯全員が年金受給者の場合や生活保護を受けているなどいくつか条件はありますが、事前申請により軽減措置が取られるようになります。
また、世帯での介護サービスの自己負担額が一定の金額を超えた場合に、料金の一部が還付される「高額介護サービス費」という制度もあります。これは在宅介護でも施設でも適用されます。
ケアハウスなら費用が抑えられるが、入居待ちがネックに
入居一時金や月額費用を低く抑えられる施設にケアハウス(軽費老人ホーム)があります。自治体や国の助成金で運営されているため、低所得者でも入居が可能です。初期費用は0〜数百万ですが、月額費用は10〜20万ほどです。サービス内容は、施設によって様々ですが、日常的な生活支援やケアとなります。
原則、ホームのある地区町村に住民票がある方しか入居できませんが、人気は非常に高く入居待ちが半年から1年になることもざらです。そのニーズの高さから東京都等は人員配置や居住面積を緩和することで、ケアハウスの数は増えていく傾向にあります。
◎増加する「都市型軽費老人ホーム」とは?今後も続く出費を考え、マネープランは計画的に
施設に入居するにあたり注意したいのが、費用を長期にわたり払い続けなければいけないという点。 入居者本人にその支払い能力があるのかどうかが一番の大きなポイントになりますが、経済状況によっては子どもや兄弟が負担するケースも考えられます
高額の施設入居に際し、自宅などの資産を売却し入居資金を調達するケースもあると思いますが、そのことに対して家族の理解を得ることも必要です。人生の大きな選択となることでしょうが、本人の意思や希望はもちろん、家族同士よく話合って、それぞれが納得できるように準備をしておくことが大切です。
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