介護のお役立ちコラム
【最終更新:2018.10.15】
家族が加齢によって介護を必要とし、在宅での介護も難しくなったときに視野に入るのが、老人ホームの利用。単に家族の日常のお世話をする施設というわけではなく、家族をそのまま看取る"終の住処"にもなりえるのが、老人ホームです。
一言で老人ホームと言っても、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など種類も多く、料金やサービスも一様ではありません。ご自身やご家族に合った老人ホームを選ぶためにもしっかりとそれぞれの施設の特徴を把握しておきたいものです。
今回は、9種類の老人ホーム・高齢者施設について網羅的に紹介します。介護サービスや料金、入居条件などそれぞれ違いがあるので、ぜひ比較して家族が安心して暮らせる住まい選びに役立ててください。
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- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院(介護療養型医療施設)
- サービス付き高齢者向け住宅
- シニア向け分譲マンション
- 軽費老人ホーム/ケアハウス
- 認知症ケアが対応可能な施設
介護付き有料老人ホーム
特徴
【特徴・入居条件】
専門スタッフによる介護サービスが受けられる。
原則65歳以上が入居可能。要介護度が条件となる場合も。
【費用】
月々20~25万円/月+介護サービス費
有料老人ホームは、この「介護付き」と「住宅型」、「健康型」の3種類が存在します。「健康型」は介護サービスを受けることを想定していない上、認知症や要介護の状態になった場合は退去を迫られることになるため、現在のニーズにマッチしているとは言い難く、その数は急激に減少しています。そのため有料老人ホームは「介護付き」と「住宅型」の2種類に大別できると考えてよいでしょう。
介護付き有料老人ホームは、専門の介護士が24時間常駐しているので、ADL(日常生活動作)が衰え、一人暮らしが難しくなった高齢者も安心して生活を送ることができます。基本的に要介護度が高くても入居できる施設がほとんどですが、長期入院の必要があるなど高度な医療が必要となった場合や、ほかの入居者への暴言、乱暴行為が目立つ場合は、入居を断られるばかりか入居した後でも途中退去を迫られることもあります。そのほかの入居条件や費用、入居者の声など、介護付き有料老人ホームについて詳しく知りたければ、以下の記事も参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホーム
特徴
【特徴・入居条件】
外部の介護サービスを利用する
60歳以上なら基本的に誰でも入居可能
【費用】
月10万円〜
住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームのなかでは最多の施設数を誇っています。そのため、入居者は要介護度に合わせてさまざまな施設から選ぶことができます。「介護付き」との大きな違いは、外部の介護サービス(訪問介護など)を利用することが前提となっているため、各入居者の健康状態に応じた柔軟な介護が提供される点です。そのため月々の基本利用料は、「介護付き」よりは低く抑えることができます。
そのほかの安否確認、食事・清掃の提供、緊急時の対応、買い物などの生活援助、レクリエーションの提供などは施設のスタッフが提供するため、「介護付き」と同等の安心感や充実度を満たしていると言えます。さらに費用や入居条件、入居者の声など、住宅型有料老人ホームを知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームの特徴とメリット、デメリット
「介護付き」と「住宅型」の有料老人ホームとは?どちらを選ぶ?
特別養護老人ホーム
特徴
【特徴・入居条件】
入居条件:要介護3以上の、65歳以上の高齢者
地域によっては入居待機者が大勢いることも
【費用】
月6〜15万円
社会福祉法人や地方公共団体が運営している特別養護老人ホーム(特養)は、以下に紹介する「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」とならび「介護保険3施設」と呼ばれています。入居費用が介護保険でまかなえるので費用が安く非常に人気が高い施設です。そのため入居待ちの人数が多く、施設によっては数年待機することもあります。
原則「要介護度3」以上が入居条件となっているため、比較的重度の要介護状態か認知症を患っている人が優先的に入居を認められます。有料老人ホームと同様、レクリエーションの提供などもありますが、寝たきりの人も多く入居していることからどうしても身の回りの世話がメインとなる傾向にあります。また昔から存在する業態のため、古い施設では多床室(4~6人部屋)が割り当てられることもあります。入居条件など特別養護老人ホームについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
特別養護老人ホームに入るには?「(要介護1や要介護2など)入居条件」と「入居待ちの間の過ごし方」
特別養護老人ホームと有料老人ホームの比較〜経験者に聞いた満足した点、不満な点〜
介護老人保健施設
特徴
【特徴・入居条件】
「機能回復」のための「短期入所」施設
入居基準は要介護1以上。要支援は入れない
【費用】
月9〜20万円
※特別養護老人ホームと同等低額だが、リハビリに対する費用が加算される
介護老人保健施設(老健)は、交通事故にあった高齢者や長期入院明けの高齢者が普段の生活に戻るための機能訓練をおこなう福祉施設です。理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門職によるリハビリを受けられることが一番の特徴です。しかし、あくまで自宅に戻ることを想定とした訓練とそれにともなう介護サービスの提供になるため、原則3カ月の短期入所になり、3カ月ごとに退所判定がおこなわれます。長期での入居が難しいですが、老人ホームの転居が必要で次の施設がなかなか見つからない場合などに、老健に一時的に入居するという手も考えられます。
入居基準やサポートなど介護老人保健施設についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
リハビリの専門職が手厚くサポート。「介護老人保健施設」は在宅復帰の強い味方
介護医療院(介護療養型医療施設)
特徴
【特徴・入居条件】
高度な医療管理下にある"介護付きの病院"。長期滞在は原則認められない
要介護1以上の高齢者であることが入居条件。
【費用】
特別養護老人ホームと同様低額だが、医療費が大幅にかさむケースが想定される
介護と同時に、在宅では難しい日常的な医療を必要とする高齢者向けの介護保険施設が介護療養型医療施設(療養病床)になります。医療ケアが非常に充実しており、要介護度が高い方でも安心して入所できます。
当然、病院の機能を持つ施設のため、老健と同じく元気になったら退院するという原則の短期入居を想定しています。しかし、長期入居の高齢者が病床の大半を占める上、介護保険費用もひっ迫していることから、2017年度末までに廃止となり、新たに「介護医療院」が創設されることが決まりました。
介護医療院は、これまでに療養病床が提供してきた医療+介護に加え、住居スペースの確保や生活支援、そしてターミナルケア(看取り)までを包括したケアシステムを目指しています。医師、看護師、介護士などスタッフの配置や居住スペースの面積、設備などのガイドラインを設定し、現在ある療養病床がこれら基準をクリアした上で介護医療院へ移行していくと見られています。新たに創設された介護医療院について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
サービス付き高齢者向け住宅
特徴
【特徴・入居条件】
介護サービスを受けながら暮らしていけるための環境が整備された集合住宅
入居へのハードルは低いが、要介護度が高ければ退去も。
【費用】
月額料金は15〜25万円。一般のマンションやアパートに比べてやや高額
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、要介護・要支援に該当しない元気な高齢者でも入れる介護サービス付きの集合住宅として近年人気を集めています。建物には管理者が常駐し、安否確認と生活相談をおこなってくれますが、食事や清掃、買い物などは個人でおこなうのが基本です。要介護でも入居は可能ですが、必要なケアは外部の介護サービスを利用することになります。最近では同じ運営元もしくは提携する訪問介護事業者が、同じ建物内に入居するか隣接する形で事業所を設けるケースも目立つようになりました。
新規参入のハードルが低く、十分な経験やノウハウのない事業者も増えているため、その選定には十分な注意が必要です。メリットや入居条件や費用などサ高住についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
シニア向け分譲マンション
特徴
【特徴・入居条件】
資産としても残り、一般のマンションと変わらない住み心地
医療・介護サービスは外部の事業者と提携しておこなわれる
夫婦どちらかが50歳以上であれば入居可能
【費用】
住宅ローンの返済および生活費にあたる金額
シニア向け分譲マンションは、その名前のとおり、あくまで住居を購入するに過ぎないため、介護サービスの提供は一切ありません。建物の設備や設計は高齢者向けに配慮されたものとなっており、段差の少ない構造や車いすが通れる幅の通路の確保、手すりや点字ブロックの設置などが見られます。
介護サービスについてはサ高住と同様、外部の訪問介護サービスを利用します。中には専属シェフがいるレストラン、カラオケルームや温泉、園芸ができる中庭などが付いた高級物件もあります。入居条件やメリットなどについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
住んで快適、家族も安心の「介護付きマンション」(シニア向け分譲マンション)
軽費老人ホーム/ケアハウス
特徴
【特徴・入居条件】
諸事情により家族と同居できないまたは一人暮らしが難しい高齢者が対象
自立または要支援が対象。軽費老人ホームは要介護では入居不可。ケアハウスは可
【費用】
月々6~15万円/月+入居一時金数十万円
地方自治体または社会福祉法人によって運営される集合住宅で、有料老人ホームより低額に抑えられるのが特徴です。管理人が常駐していて安否確認や生活相談をおこなってくれますが、介護が必要な場合は外部の訪問介護サービスを利用することになります。
軽費老人ホームは食事の提供あり(A型)となし(B型)に大別でき、身寄りのいない高齢者の受け皿として機能してきましたが、家庭の事情や経済面で問題を抱える高齢者向け施設であるため、もともと介護サービスの提供を想定していません。一般のアパートや一軒家を改修して住まいとして提供しているケースも多く、十分なバリアフリーが難しいこともあります。
そのため現在では、身体機能が低下した人でも入居可能で、外部の介護サービスを利用できる「ケアハウス」が台頭してきました。従来の軽費老人ホーム同様食事の提供もあり、入居にあたり所得制限もありません。サ高住との違いなど軽費老人ホーム/ケアハウスについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
老人ホームの料金でお悩みの方へ。軽費老人ホーム/ケアハウスのススメ
増加する「都市型軽費老人ホーム」とは?
認知症ケアが対応可能な施設
認知症グループホームは少数(5~9人)の高齢者が共同生活を送る施設で、普段の日常生活動作や入居者同士が助け合って生活することで認知症の進行を遅らせることを目的としています。食事の支度や清掃などは入居者がおこないますが、介護士が24時間体制でサポートするため、極力残存する能力を利用しながら他人に頼り切らない介護を実現します。
認知症高齢者を対象にしていることもあり、身体面で極度に衰えのある高齢者や定期的に病院にかかる必要のある高齢者は入居できない可能性があります。入所条件など認知症ケアが対応可能な施設についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
認知症の家族がいる方は知っておくべき「認知症対応型グループホーム」のメリット・費用・入居条件
終わりに
今回取り上げた9つの高齢者施設は、業態もそれぞれ異なるため入居条件やかかる費用などにも大きく幅があります。現在、介護保険サービスを利用中という人は、まずは担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、どういった施設が適切なのか見当を付けるようにしましょう。それでも最後に判断を下すのは、家族または入居する本人の意思になります。予算や立地条件はもちろん、認知症の進行具合、健康面など総合的に俯瞰した上でベストな高齢者施設を選ぶようにしてください。
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