介護のお役立ちコラム
高齢化社会を迎えると同時に、独居または夫婦のみで暮らす高齢者世帯が増加しています。心身ともに元気で身の回りのことが自力で出来るうちは良いですが、通院が多くなったり、身の回りの介助が必要になった場合、もしくはパートナーと死別した場合など、急に介護施設などへの入居を迫られることもあります。
介護施設へ入居する条件として、「保証人」または「身元引受人」といった代理を立てる必要があります。しかし、子どものいない高齢者、または子どもがいても何らかの理由で代理を求められない高齢者もいて、施設入居への大きなハードルともなっています。
今回は、介護施設入居の際に必要な保証人と身元引受人の役割を解説するとともに、家族の代理が難しい場合の代わりとなる方法について説明します。
同時に65歳以上の高齢者が暮らす世帯のうち、単独または夫婦のみで構成される世帯が全体の56.9%にまで達していることがわかりました。1980年(昭和55)時点では、全体の30%未満に過ぎませんでしたが、2005年以降50%超で推移しています。
単純に夫婦間に子どもがいないことも想定できますが、子どもがいたとしても、大学進学や就職を機に都心部へと転居し、そのまま親世帯と離れて暮らす核家族化がここ数年定着していることが大きな理由と言えるでしょう。
<内閣府「平成29年度高齢社会白書 高齢者の世帯と家族」よりグラフを作成>
このような人口分布を背景に、老人ホームなどへの入居を検討した場合、保証人や身元引受人を立てられないケースが見られます。
子どもがいない場合は、夫婦の老老介護も問題になっていますが、親族も高齢者であり、保証人や身元引受人の要件を満たせないことが考えられます。
一方で子どもがいる場合、彼らが独立して経済的に安定していれば代理を頼むことができます。しかし、親子関係が疎遠になっていてほとんど連絡を取っていないケースや、子どもたちの間で親の介護を押し付け合っているケースがあるほか、ニートや引きこもりが増加した結果、本来ならば親を支えるはずの立場でありながら、仕事もせずに高齢期を迎えた親の年金をあてに生活をする"年金パラサイト"も増えているのが現代の大きな問題と言えるでしょう。いまは「扶養の義務」という大前提が崩れかけているのです。
以上のことから、一般的に保証人・身元引受人は近しい親族がなるケースがほとんどです。子どもまたは兄弟などが該当しますが、入居者と同様に高齢者の場合、代理として認められない場合があります。本格的な高齢化社会を迎え、老老介護が進むと、支える側の家族も共倒れしてしまう恐れがあります。
なお保証人と身元引受人について、この2つは便宜的にほぼ同義語として用いられていますが、厳密には果たす役割が異なります。保証人は支払いができなくなった場合に債務を負うものであり、身元引受人は有事の際の相談、確認、決定をおこなうものです。老人ホーム入居時の契約書にはどちらの名称で記されているか、具体的にどのような責務を負うかはしっかりと事前確認しておきましょう。
通常、成年後見人は司法書士や弁護士などが代行します。これから高齢期を迎える人が、将来自分が認知症になり判断力がなくなった場合に備えて、事前に法律の専門家と契約(任意後見契約)を結びます。あらかじめ財産の売却、担保といった約束事を決めておき、その内容をもとに成年後見人が老人ホームなどの施設と入居交渉を代行してくれることもあります。
◎成年後見人ってなに?後見人の援助内容とその探し方
まずは保証人・身元引受人を必要としない施設を探すことです。ただし、そのような施設は限られており、同じ境遇の高齢者が押し寄せる可能性もあるため狭き門となります。まずは連絡をしてみることをおすすめします。
もう一つの手段として、民間企業、公益社団法人、NPO団体が提供する身元引受けの代理サービスを活用することです。ただし、運営団体によってサービスや契約の内容にばらつきがあり、高額な前金を請求されることもあります。じっくりと納得のいく団体を選ぶことが重要です。また、介護施設の中では、保証人・身元引受人が無理な場合、成年後見人を立てれば入居出来るところもあります。
◎老人ホームの費用が払えない!とお困りのあなたへ。老人ホームの費用を抑える6つの方法
◎太田差惠子さんに聞いた失敗しない老人ホームの選び方
◎老老介護に備えるために知っておきたい介護サービスの種類と特徴
◎老人ホームへの費用に充てられる「マイホーム借上げ制度」とは?
◎改めて知っておきたい老人ホームの種類と特徴
介護施設へ入居する条件として、「保証人」または「身元引受人」といった代理を立てる必要があります。しかし、子どものいない高齢者、または子どもがいても何らかの理由で代理を求められない高齢者もいて、施設入居への大きなハードルともなっています。
今回は、介護施設入居の際に必要な保証人と身元引受人の役割を解説するとともに、家族の代理が難しい場合の代わりとなる方法について説明します。
子どもに「保証人」「身元引受人」を依頼することが難しくなりつつある
内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」によると、2015年(平成27)時点で、全世帯のうち65歳以上の高齢者のいる世帯が47.1%にまで達し、ほぼ半数の世帯で前期高齢者が少なくとも1人はいる状況であることがわかりました。同時に65歳以上の高齢者が暮らす世帯のうち、単独または夫婦のみで構成される世帯が全体の56.9%にまで達していることがわかりました。1980年(昭和55)時点では、全体の30%未満に過ぎませんでしたが、2005年以降50%超で推移しています。
単純に夫婦間に子どもがいないことも想定できますが、子どもがいたとしても、大学進学や就職を機に都心部へと転居し、そのまま親世帯と離れて暮らす核家族化がここ数年定着していることが大きな理由と言えるでしょう。
<内閣府「平成29年度高齢社会白書 高齢者の世帯と家族」よりグラフを作成>
このような人口分布を背景に、老人ホームなどへの入居を検討した場合、保証人や身元引受人を立てられないケースが見られます。
子どもがいない場合は、夫婦の老老介護も問題になっていますが、親族も高齢者であり、保証人や身元引受人の要件を満たせないことが考えられます。
一方で子どもがいる場合、彼らが独立して経済的に安定していれば代理を頼むことができます。しかし、親子関係が疎遠になっていてほとんど連絡を取っていないケースや、子どもたちの間で親の介護を押し付け合っているケースがあるほか、ニートや引きこもりが増加した結果、本来ならば親を支えるはずの立場でありながら、仕事もせずに高齢期を迎えた親の年金をあてに生活をする"年金パラサイト"も増えているのが現代の大きな問題と言えるでしょう。いまは「扶養の義務」という大前提が崩れかけているのです。
「保証人・身元引受人」の役割について
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のうち、全体の8~9割の事業者が保証人または身元引受人の設定を入居条件に掲げています。以下、その理由を保証人・身元引受人の役割と併せて説明します。●支払い滞納時の保証
入居者が月々の家賃、光熱費などを滞納した場合、事業者は保証人・身元引受人に請求することが可能で、保証人・身元引受人はその債務を負う義務があります。入居当時は経済的な余裕があったとしても、医療費など次々に出費がかさみ、支払いが難しくなるケースも想定できます。●意思決定が難しくなった場合の代理人として
入居者の認知症が進行し、普段のコミュニケーションや意思確認、決定が難しくなった場合、保証人・身元引受人にその判断を委ねることになります。また体調が急変したなど緊急時の連絡先も保証人・身元引受人宛てになります。●退去時の身元引受け先
入居者本人が死亡した場合、または何らかの事情で退去する場合、保証人・身元引受人が入居者の身元引受け先になります。同時に退去時の私物の引き取り、未払い料金の清算などの義務も生じます。以上のことから、一般的に保証人・身元引受人は近しい親族がなるケースがほとんどです。子どもまたは兄弟などが該当しますが、入居者と同様に高齢者の場合、代理として認められない場合があります。本格的な高齢化社会を迎え、老老介護が進むと、支える側の家族も共倒れしてしまう恐れがあります。
なお保証人と身元引受人について、この2つは便宜的にほぼ同義語として用いられていますが、厳密には果たす役割が異なります。保証人は支払いができなくなった場合に債務を負うものであり、身元引受人は有事の際の相談、確認、決定をおこなうものです。老人ホーム入居時の契約書にはどちらの名称で記されているか、具体的にどのような責務を負うかはしっかりと事前確認しておきましょう。
「成年後見人」との違いとは?
保証人・身元引受人と混同しやすい言葉で「成年後見人」というものがあります。成年後見人は、入居者本人の意思決定が難しくなった場合、本人に代わり財産の管理をする立場にあります。あくまで財産管理が目的のため、滞納した家賃などを支払う義務はありません。通常、成年後見人は司法書士や弁護士などが代行します。これから高齢期を迎える人が、将来自分が認知症になり判断力がなくなった場合に備えて、事前に法律の専門家と契約(任意後見契約)を結びます。あらかじめ財産の売却、担保といった約束事を決めておき、その内容をもとに成年後見人が老人ホームなどの施設と入居交渉を代行してくれることもあります。
◎成年後見人ってなに?後見人の援助内容とその探し方
もしも「保証人」「身元引受人」が見つからない場合、どうすればよいか?
子どもがいなくて兄弟とも疎遠。ほかに頼れる人がいない...... このような場合どうすればよいのでしょうか?まずは保証人・身元引受人を必要としない施設を探すことです。ただし、そのような施設は限られており、同じ境遇の高齢者が押し寄せる可能性もあるため狭き門となります。まずは連絡をしてみることをおすすめします。
もう一つの手段として、民間企業、公益社団法人、NPO団体が提供する身元引受けの代理サービスを活用することです。ただし、運営団体によってサービスや契約の内容にばらつきがあり、高額な前金を請求されることもあります。じっくりと納得のいく団体を選ぶことが重要です。また、介護施設の中では、保証人・身元引受人が無理な場合、成年後見人を立てれば入居出来るところもあります。
終わりに
本来ならば、安心のシルバーライフを約束してくれる介護施設ですが、子どもや親族が身近にいないと入居出来ないこともありえます。成年後見人制度が徐々に認知されてきていることもあり、早い段階から老後について周囲や家族、専門家と話し合い、どのような対策を取るべきか講じておくことが、将来の不安を軽減することにつながるはずです。こちらの記事もチェック!
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