介護のお役立ちコラム
老人ホームへの入居を決めるまでには、立地や費用、資料請求など様々な比較検討があります。ご家族やご自身が長年住む場所ですから、安易に選択するのではなく、心から納得できるまで情報を集めたいところです。
しかしインターネットや資料でいくら情報を収集しても、いざ入居してみると実情は異なった......なんてことがあれば後悔してもしきれません。
ある程度まで予算や立地条件が合うホームを絞り込んだら、実際のホームの様子や設備、働いているスタッフを見ることができる「見学」や「体験入居」を積極的に行いましょう。「百聞は一見に如かず」のことわざの通り、実際に行ってみないとわからないことだらけです。今回は、ホーム見学の際にチェックすべき10のポイントをご紹介します。
スタッフや入居者の表情や雰囲気
まずはスタッフや入居者の表情や働いている姿など見て、ホーム全体の雰囲気をつかむようにしましょう。以下の3つを重点的に確認することをおすすめします。
1. スタッフの身だしなみと挨拶
まず見学に訪れた際に、スタッフはしっかりと挨拶ができているかをチェックすると良いでしょう。スタッフが入居者や来訪者に明るく生き生きと挨拶できている場合は、入居者との関係性も、職場の環境も良好である可能性が高いです。
逆に、スタッフが無愛想で挨拶をろくにできないようですと、接遇教育(マナーとおもてなしの心構え)が徹底されていなかったり、職場環境が悪くストレスや疲労が蓄積していることが考えられます。
また、スタッフの身だしなみも同様です。爪が不必要に長かったり、服装が乱れていると、スタッフのプロ意識が欠如している場合もあります。
2. 入居者の顔色や身なり
入居者の表情も重要なポイントになります。入居者の表情が元気で活気にあふれていて楽しそうであれば、ストレスが少なく満足した毎日を過ごしていると言えそうです。また、入居者の身なりが清潔かどうかを見ておくとよいでしょう。
髪型や服装に清潔感がない場合は、職員のケアが行き届いていない可能性があります。同時に、これから入居する方が馴染めそうな雰囲気かどうかを意識する必要があります。
3. 介助の様子でスタッフの質を見る
体位変換や離床など、実際の介助の様子を見せてもらうのも大事なポイントです。近年では介護職員による事件なども取り沙汰され、入居する方が安全に過ごせるか心配になってしまうことも少なくありません。
スタッフが入居者と触れ合い、コミュケーションをはかる介助場面を見せてもらい、入居者に無理をさせていないか、しっかりと声掛けをしているか、機器だけに頼らない技術があるかを確認しましょう。いくら施設や設備が充実していても、スタッフの質が低いと満足したものには決してなりません。
食事の内容と食事中の様子
入居者にとって、ホームでの最大の楽しみのひとつが食事です。長く暮らしていくうえで、食事が合わないと体調への心配が生まれるばかりではなく、ストレスなど入居者の心身の健康に悪影響を及ぼしてしまいます。
実際に食事が合わなくて退去する事例もありますので、メニューの内容や個別対応があるか、温度管理はされているかなどの詳細をしっかり確認しましょう。
4. 食事中の様子を見せてもらう
せっかく見学に来たのですから、食事の内容はもちろん、食事介助の様子もチェックしておきたいところ。食事中に起きる事故として、誤飲や窒息があります。食事中の万が一の場面に十分対応できるスタッフ数がいるか、食事のペースや一口の量を入居者に合わせてくれているか、入居者の姿勢を考慮しているかなど、をこまかく観察しましょう。安全に関わる大切なことです。
5. 献立で食事への工夫を確認する
メニューに偏りがないか、季節を感じられるような楽しみがあるかなど食事に対する工夫は、献立で確認することができます。お正月やクリスマス、ひな祭りなどの歳時の楽しみや、四季の旬の食材が採り入れられているかを見ておきましょう。
また最近ではバリエーション豊富な食事を提供しているホームも多くありますが、その食事の特徴が入居者の好みに合っているかどうかが大きなポイントになります。
6. 個別食・治療食に応じてくれるのか
入居者に糖尿病や腎臓病などの疾病がある場合や、特定の食材に対するアレルギーがある場合は、しっかり対応をしてくれるのかも具体的に確認しましょう。
ホーム内の環境について
ホーム内の雰囲気や設備、共用スペースなどチェックすべき箇所は多くあります。気になる箇所があれば、スタッフに許可を取り、撮影しておくことをおすすめします。複数のホームへ見学に行った際の判断材料になるでしょう。では、ホーム内の環境は、どのような点を確認すればいいのでしょうか。
7. まずは清潔かどうかが第一
建物や屋内、設備が清潔に保たれているかどうかで、おおよそそのホームの雰囲気はつかむことができるはずです。居室やトイレ、浴室や共用スペースなど、見学では施設を一通り見ることができますので、随時この視点を忘れずにしましょう。
8. 居室の間取りや備品、日当たりなど
居室の間取りや広さは実際に確認してみないと、不便な点はわかりづらいものです。コールボタンの位置や収納スペースの有無や大きさ、日当たりはどうか?また、テレビやカーテンなどの備品は備え付けか?私物の持ち込みはどこまで許可されるのか?など細部までチェックしてください。何年も住む"家"ですので、納得のいくまで確認し、不明な点は質問するようにしましょう。
ベッドやドアの形状、床材なども確認しておくと、転倒や衝突した際の配慮がなされているかを知ることができます。
9. ホーム内環境と外部・周辺環境
共用スペースにはどのような種類があるか、エレベーターの数、手すりなどの補助設備、リハビリ施設や機械浴・特殊浴などホームの設備に、入居者が必要なものが揃っているか必ずチェックしましょう。
入居者が外出困難な場合、バルコニーや庭など外の空気や自然と接することのできる環境であるかも知っておきたいポイントです。また車の音など外部からの騒音なども見学に行かなければわかりません。
見学の際には、入居後の訪問のことも想定しておくと良いでしょう。駐車場の有無や最寄り駅からの距離や交通機関などのアクセス情報と施設の周辺情報も忘れずに確認しておきましょう。
10.イベントやレクリエーションなど
ほとんどの老人ホームでは、多彩なレクリエーションや季節ごとのイベント企画を採り入れています。遠足などの外出や餅つき、クリスマス会など、ホームによって個性を打ち出しています。毎日なにかしらのレクリエーションを行っているホームも少なくありませんので、見学の日を合わせることで、様子や雰囲気を体感できます。
見学で失敗しないための工夫
10のポイントを見てきましたが、もちろん一回の見学ですべてがわかるわけではありません。ここでは一回の見学でより多くの情報を得るため、または確認漏れを防ぐための方法を紹介します。
なんでも質問しましょう!
疑問点や不明点は些細なことでもすべて質問するようにしましょう。設備やスタッフ、入居者のことから事故歴やスタッフの離職率、退去者数といったネガティブ情報も聞くのをおすすめします。質問に対して誠実に答えを得られないようであれば、大切な家族を預けるには信用できませんが、どんな内容でも気分を害さずに答えてくれると判断基準や一定の評価基準になるはずです。
チェックシートを持参しましょう!
確認項目が多く、せっかく見学に行っても「確認し忘れた」「聞き忘れた」という事態は避けたいもの。「見学チェックシート」を持参することで、そのようなミスを防ぐことができます。下記URLより無料で「見学チェックシート」をダウンロードできますので、プリントアウトして見学に向かうことをおすすめします。
https://www.sagasix.jp/pdf/checksheet.pdf
見学の時間帯を考える
ホームの見学は基本的には予約して訪問することになります。その際に、どの点を確認したいかをしっかり伝えましょう。スタッフの介助、食事、レクリエーションなど時間帯が異なりますので、しっかりと見学したいポイントを抑えて日時を決めましょう。確認したいシチュエーションがたくさんある場合は、何度か見せてもらえるかと希望を伝えてみてください。
まとめ
入居を決めるポイントはいくつも存在しますが、予算内のホームでいくつか見学をしても、大きな差が生まれないことも十分ありえます。 そのようなときは、入居予定者がそのホームで暮らしている姿を想像してみてください。ご家族やご本人が長年居住するにあたって、「ここだったら安心して楽しく住める」というイメージはことのほか大切です。
上記の10のポイントを指針にしながら、条件が合って信頼できるホームを探してください。
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