介護のお役立ちコラム
1から5まである要介護度でも大きな境目となるのが、要介護度3になります。
その理由は、特別養護老人ホーム(特養)と深い関係があります。数ある施設系介護サービスの中でも、社会福祉法人などによって運営されている特別養護老人ホーム(特養)は、費用面の安さや手厚い介護を受けられることで人気を博しています。
しかし、要介護の高齢者なら誰でも入居できるわけではありません。 2015年に施行された改正介護保険法では、原則「要介護3以上」の高齢者でなければ入居出来ないことになりました。では、特養入所基準の境界線となっている「要介護3」とは一体どのような状態を指すのでしょうか?
介護保険とは? 制度の仕組みから保険料、受けられるサービスまで徹底解説
24時間体制でのサポートが必須になる「要介護3」
身体機能の衰えや認知機能の低下によって介護保険サービスが必要と判断された場合、住まいのある市区町村の福祉課などに申請することで介護保険による介護サービスを受けることができます。
自治体職員による面談と、そこで得られた情報を元に識者が判定を下し、介護を必要とする度合いによって、要支援(1・2)、要介護(1~5)の7段階に区分されます。「要介護」は数字が大きくなるほど手厚い介護が必要となり、介護保険サービスの利用限度額も高くなります。「要介護3」はちょうど真ん中のレベルに当たります。
「要介護3」と判断されるポイントは、「立ち上がりや歩行、食事、排せつ、入浴の際に全面的な介助が必要である」ことになります。要介護1と2では、これらの行動・行為について「部分的な介助が必要」と定義付けられていることから、「要介護3」は常時誰かの支援や見守りが必要であることがわかります。そのため高齢者と同居する家族がカバーするには時間的にも体力的にも限界が生じるため、24時間体制で介護サポートが受けられる施設系介護施設への入居が優先されるのです。
また一方で、身体機能の低下とは別に、認知症の進行具合も大きな判断基準になります。重度の周辺症状(徘徊、妄想、誤食、不潔行為など)が見られる場合、体は健康でも重度の要介護に割り振られる可能性があります。具体的には、最初の要介護判定の結果を元に「日常生活自立度」と呼ばれる判定基準と照らし合わせます。
日常生活自立度は非該当を除く「Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の7段階にランク分けされ、数字が高くなるほど症状は深刻なものになります。特に夜間騒いだり、暴力行為が見られるようになった場合、在宅介護は無理と判断され、然るべき施設への入居を斡旋してもらえます。
【介護認定までの流れ】
①地域包括支援センターに連絡を入れる↓
②要介護認定の申請をする。
↓
③ケアマネジャーの訪問調査を受ける
↓
④申請結果を受け取って、居宅介護支援事業所へ連絡(要支援1〜2の方は、地域包括支援センターへ)
↓
⑤ケアプランの作成
↓
⑥サービス事業者との契約
「要介護3」の介護保険の利用限度額はいくらになるのか?
介護サービスを受けるための限度支給額は要介護度によって異なります。「要介護3」の場合、1か月に支給される上限は26万9,310円と定められており、このうち利用者の自己負担額は1割(一部の高所得高齢者は2割負担)になります。今年施行される改正介護保険では、現在2割負担の高齢者の中でもより高所得の高齢者については、自己負担が3割に引き上げられることが決まりました。限度支給額を上回る介護サービスを利用した場合、費用は全額利用者負担となります。ただし、特別養護老人ホームなどの施設に入居している高齢者の中でも低所得者の人、高度な医療を必要として月々の医療費の支払いが高額になる人については、上記限度支給額を超えた場合でも、介護保険から超過分が捻出され、居住費や食費といった費用が軽減される措置があります。
「要介護3」のケアプランとサービスの目安
「要介護3」の場合、在宅介護をしている人と老人ホームなど高齢者福祉施設へ入居している人が混在しています。介護付きの施設の場合、月々にかかる費用は定額ではあるものの、リハビリテーションや買い物代行などのオプションでかかる金額が要介護1・2、要支援の高齢者と比べ高額になる可能性があります。また認知症の進行具合によっては、施設の退去を迫られることもあります。 在宅介護の場合、以下のような介護サービスが想定できます。通所介護(デイサービス)の場合 | ||
頻度 | 週2回 | |
内容 | レクリエーションや昼食、入浴といったサービス |
訪問介護の場合 | ||
頻度 | 週3〜4回 | |
内容 | 家事代行、病院への付き添い、服薬管理など |
福祉用具貸与 | ||
介護ベッド、車いす、歩行器 など |
軽度の要介護者と比べ、デイサービスや訪問介護を利用出来る回数が増えます。また介護ベッドや車いすなどの福祉用具のレンタルや住宅改修のリフォームなども考慮する必要がありますし、訪問入浴や訪問看護を必要とする在宅高齢者もいます。
介護保険は、新規申請時その区分(要支援1・2、要介護1~5のいずれか)の有効期間は6か月となっていて、その後3~12か月単位で見直すことが可能です。より個人に合った質の高い介護を提供するためには、定期的なケアマネジャーとの接見とアセスメントが必要となりますが、本人の体調や認知症の進行具合などを踏まえ、アセスメントの結果より重度の要介護になることもあれば、軽度になる可能性もあります。限度支給額の変動は家族の経済事情にも大きく影響するものなので、納得のいくまでケアマネジャーと話し合い、高齢者本人にとって最良の介護サービスが受けられるように運ぶことが大事です。
まとめ
冒頭でご説明したとおり、「要介護3」は特養など施設への入居の判断を迫られる状態であります。家族の負担を減らすためには、こういった施設に預けることがベストの選択かもしれませんが、特に都心部では特養への入所待機者の多さが社会問題になっていて、なかなかの狭き門となっています。そういった中、重度の要介護者でも入所できる有料老人ホームや、バリアフリー対策と医療機関との連携を兼ねそろえた高齢者向け住宅が増えてきています。高齢者本人も家族も安心して暮らせるよう、老人ホーム選びを早い段階から始めておくことも重要です。コロナ禍でも面会ができる施設特集はこちら
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