介護のお役立ちコラム
極度の身体機能の衰えや認知症の進行によって、自宅での介護が難しくなる高齢者は多く存在します。家族による24時間体制のケアが不可能になってくると、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームなど、常時介護を提供してくれる施設や居住系サービスが必要になってきます。
今回は要介護度の中でも比較的重度になってくる「要介護4」にポイントを絞り、認定基準や在宅で受けられる介護サービスの内容などについてご説明します。
「要介護」とは?
日常生活全般において、独力で家事、移動、金銭管理、服薬管理などをおこなうことが難しく、だれかによる手助けが常時必要な状態を指します。厚生労働省は「日常生活上の基本的動作についても、自分でおこなうことが困難であり、何らかの介護を要する状態」と定義しています。
「要介護4」では在宅介護は不可能?
介護保険サービスを受けるにあたっては、住まいのある市区町村の福祉課などの窓口に申請し、認定を受ける必要があります。
申請書類が受理された後、自治体職員による面談と、そこで得られた情報を元に識者が判定を下し、介護を必要とする度合いによって、要支援(1・2)、要介護(1~5)の7段階に区分されます。「要介護4」は比較的重度の症状が見られるケースが多く、突然の事故や病気ではないかぎり、最初の判定でいきなり「要介護4」となるケースはあまりありません。
「要介護4」と判断されるポイントは、「食事、排せつ、入浴といった日常生活全般において全面的な介助が必要である」ことになります。これは「要介護3」とほぼ同様ですが、よりADL(日常生活動作)の低下が見られるケースが多く、同時に意思疎通が難しくなり、日常生活に支障をきたす問題行為が頻繁に見られるようになります。
介護をするうえで知っておきたいADL(日常生活動作)の基礎知識|介護のコラム
要介護度を決定する重要な指標の一つである「要介護認定等基準時間※」では、「要介護3」は「要介護認定等基準時間70分以上90分未満、またはこれに相当する状態」とされているのに対し、「要介護4」は「要介護認定等基準時間90分以上110分未満、またはこれに相当する状態」とされています。
また「要介護4」では認知症の進行が激しい高齢者も多くいます。具体的には、最初の要介護判定の結果を元に「日常生活自立度」と呼ばれる判定基準と照らし合わせますが、非該当を除く「Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の7段階にランク分けされ、数字が高くなるほど症状は深刻なものになり、重度の周辺症状(徘徊、妄想、誤食、不潔行為など)が散見されます。
「日常生活自立度」とは? 7つの段階ごとに内容を解説
いよいよこの程度の症状になってくると家族による在宅介護だけでは限界が生じるため、多くのケアマネジャーは介護施設への入居を強く勧めるようになってきます。
【介護認定までの流れ】
①地域包括支援センターに連絡を入れる↓
②要介護認定の申請をする。
↓
③市区町村の担当者、あるいは委託されたケアマネジャーの訪問調査を受ける
↓
④申請結果を受け取って、居宅介護支援事業所へ連絡(要支援1〜2の方は、地域包括支援センターへ)
↓
⑤ケアプランの作成
↓
⑥サービス事業者との契約
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要介護4の介護保険の支給限度額はいくら?
介護サービスを受けるための支給限度額は要介護度によって異なります。「要介護4」では、1か月に支給される上限金額は30万9,380円と定められていて、このうち利用者の自己負担額は所得などに応じて1~3割になります。
支給限度額を上回る介護サービスを利用した場合、その費用は利用者が全額負担することになります。ただし特別養護老人ホームなどの施設に入居している高齢者の中でも低所得者の人、高度な医療を必要として月々の医療費が高額になる人については、上記支給限度額を超えた場合でも介護保険から超過分が保障される場合があります。
また要介護者は「障害者控除認定」を受けることが可能です。障害者手帳を持ってなくとも、認知症や寝たきりの状態であれば申請することは可能で、認定されれば所得税や住民税の減免措置が図られます。中でも、より重度な「特別障害者」に認定された場合、その控除額はさらに大きくなりますが、「特別障害者」認定の目安を「要介護4以上」としている自治体が多いのです。
要介護4のケアプランとサービスの目安
「要介護4」の場合、特養や介護付き有料老人ホームなどの施設へ入居している人が多くいますが、在宅介護も不可能ではありません。在宅介護を選んだ場合、以下の介護サービスが想定できます。
通所介護(デイサービス)の場合 | ||
頻度 | 週1〜2回 | |
内容 | 健康管理など |
訪問介護の場合 | ||
頻度 | 週4〜5回 | |
内容 | 食事、排せつ介助、家事代行、服薬管理など |
福祉用具貸与 | ||
介護ベッド、車いす、歩行器 など |
要介護度が高くなると健康管理への注力が必要になるため、訪問看護が必要になるケースがあります。また寝たきりではないかぎり、デイサービスの利用も可能です。
最初の介護認定を受けてから6か月目以降は、3~12か月単位で介護区分を見直すことが可能です。見直しについては担当のケアマネジャーと利用者、家族による話し合いを経て、ケアマネジャーが利用者にふさわしい介護度を決めることになります。
しかし、病気やケガなど一時的な体調不良によって重い介護度に認定されてしまっている高齢者も多く、必要以上に手厚い介護サービスが提供されてしまっていることも事実です。過剰な手厚い介護は本人のやる気や自尊心を奪ってしまう恐れもあります。介護保険に頼りっきりになるのではなく、利用者本人にとって適切な介護を提供できる様、ケアマネジャーとじっくり相談することが大切です。
ショートステイを利用すべきケースは?
「要介護4」では、やはり同居する家族にとって介護の負担は大きいものです。24時間体制でのケアを必要としながら、夜間帯の訪問介護は介護保険サービスの適用外であることや、自費で負担したとしても、サービスを提供している事業者数が少ない現実もあって、どうしても自宅介護のボトルネックとなってしまいます。
こういった場合は、「短期入所生活介護」(ショートステイ)をうまく活用しましょう。1日単位で入居が可能な介護サービスで、家族が冠婚葬祭などで家を空けなくてはいけない場合や、出張で数日間家を留守にする際など、家族介護の強い味方です。また、日常の介護に疲れを感じ、一時的に介護から解放(レスパイト)されたいときの利用もぜひ視野に入れましょう。
ショートステイの利用を希望する場合は、担当のケアマネジャーに相談して入居先を紹介してもらうことになります。注意点として、近年ショートステイは高い人気を博しており、地域や時期によっては混み合って予約がまったく取れないことも想定されます。特に年末年始や大型連休前後は予約が集中します。利用したい日がすでに決まっている場合は、いち早くケアマネジャーまで連絡を入れるようにしてください。
まとめ
「要介護4」では、よほどの理由がないかぎり、特養など施設への入居を決断するケースがほとんどです。待機人数が多く、特養への入居が難しいという場合でも、今では重度の要介護者を受け入れてくれる有料老人ホームも増えてきているので、ぜひ選択肢の一つとして考えてみてください。
在宅介護による疲労や介護離職など親子での共倒れは一番避けるべき事態です。高齢者福祉施設に入居することで、適切なケアを受けて介護度が低くなり、それによって自分らしさや笑顔を取り戻す高齢者も多くいます。
介護する側、される側の双方のもっとも良い選択をするように心がけましょう。
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