介護のお役立ちコラム
健康増進や介護予防のためのウォーキング。中には「体力に自信がないからランニングはちょっと......」と消去法的にウォーキングを実践している方も多いことかと思いますが、実は普通の速度で歩くだけでは筋力アップは期待できません。
今回は、ウォーキングのペースに変化を与えて、確実な筋力アップを図る歩き方「インターバル速歩」について、その方法や効果などを紹介します。
ハイペースとスローペースを組み合わせた、画期的なウォーキング法
「インターバル速歩」は信州大学特任教授で医学博士でもある能勢博氏によって提唱されたウォーキングメソッドで、「速歩き」と「遅歩き」を3分間ずつ交互に繰り返します。筋肉に負荷がかかりやすい速歩きと、好きなペースで負荷の少ない遅歩きを組み合わせることで、筋力、持久力を無理なく向上させることが可能です。
1日の目標時間が合計でわずか15分と短めに設定されているのも、無理なく続ける重要なポイントです。体力に自信がない方や、ウォーキングのためにまとまった時間が取れないという方にも適したトレーニング方法です。
人間は20代を境に筋力と持久力が右肩下がりに衰えてきます。20歳当時の筋力は、60歳に差しかかったときにはわずか60%しか残存していないとも言われています。筋力を維持するためには、若いころから継続して運動することが必須です。特に足腰(下半身)の衰えは、そのまま寝たきりにもつながるため、若いうちから意識する必要があります。
科学的根拠に基づいた健康効果の数々
能勢教授がおこなった実証実験では、治験者にインターバル速歩を4か月間継続してもらい、最高酸素摂取量と生活習慣病指標の変化などさまざまなデータを集めました。
その結果、高血圧症、高血糖症、肥満症の3つの生活習慣病のリスクが30%抑えられることがわかりました。また、ハードな速歩きを実践することによって、膝伸展・屈曲筋力がそれぞれ13%、17%増加したほか、最高酸素摂取量も10%増加するなど下半身の筋力増加に効果があることもわかりました。
汗をかくハードなトレーニング後の水分補給は欠かせないものですが、インターバル速歩の後、30分以内に糖質とタンパク質を摂取すれば熱中症になりにくくなります。ここ数年は猛暑日が長く続いていたこともあり、ちょっとした外出や庭作業で熱中症になる高齢者も多く発生しました。日々のトレーニングと並行して栄養補給を欠かさず継続すれば、より健康で強い肉体が作られるのです。
健康効果の総括として能勢教授は、インターバル速歩の5か月間の実践によって、
①体力が最大20%増加
②生活習慣病指標が20%改善
③医療費が20%抑制できる
以上のことから、「20%の法則」と定義づけています。
インターバル速歩の実践方法と注意点
インターバル速歩は、1日で速歩き3分間+遅歩き3分間×5セット(計30分)を実践します。これを週4日、5か月間継続すると体力が20%向上すると能勢教授は説明します。
高齢者にとって速歩きは、ランニングにも匹敵するハードな運動ですが、30分間継続するのが難しい場合は小分けでも大丈夫です。とにかく1日の中で速歩きの合計タイムが15分に達することがポイントです。
ウォーキングの際の姿勢も確認しましょう。背筋を伸ばした正しい姿勢で歩くことが重要です。タオルを両手で握りそのまま頭の上へ移動。肘を曲げタオルが後頭部に来るようにした状態が、胸を張った正しい姿勢です。鏡などでフォームを確認して体で覚えるようにしましょう。
実際にインターバル速歩を始める前に、ケガ予防のためにしっかりとストレッチをおこないましょう。靴選びも重要です。履き慣れない靴でやると靴擦れを起こします。
また、特に速歩きのときには歩き方が雑になりがちですが、踵から地面に着地し、その後足裏全体で地面を捉えるようにしてください。セカセカしたすり足歩行はケガのもととなります。
そして運動後はしっかりと水分補給をしましょう。特に夏場は発汗により体内の水分と塩分が失われやすいので、熱中症になりやすくなります。体力を付けるためにはある程度過酷な環境に自分を追い込む必要がありますが、健康と安全を第一に、決して無理をしないでください。
終わりに
将来の介護予防のためには、ある程度自分を追い込むストイックさが求められるのかもしれません。もちろん無理は禁物ですが、厳しいトレーニングを経て目に見える効果がわかれば、トレーニングに対するモチベーションも上がります。今回のトレーニング方法を見て、自分でもできそうだと思った方は、ぜひインターバル速歩を日々の運動に取り入れてみてください。
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