介護のお役立ちコラム

親を施設に入れる罪悪感との向き合い方|専門家が教える対処法とサポート方法

親を施設に入れる罪悪感との向き合い方|専門家が教える対処法とサポート方法

更新日:2025.04.07
親を施設に入れる罪悪感との向き合い方

親の介護に直面し、心身の疲れが限界に達していませんか。介護負担が増大し、施設への入居を検討せざるを得ない状況に陥ってしまう方は少なくありません。しかし、「親を施設に預けることへの罪悪感」に苦しみ、決断を躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、その罪悪感を抱いてしまう原因から、罪悪感との向き合い方、施設入居後のサポート方法まで解説し、介護の専門家の知見を交えながら、具体的な解決策をご紹介します。介護者の皆さんが前向きな決断を下せるよう、実践的なアドバイスをお伝えしていきます。



親を施設に入れる罪悪感を抱かなくて良い理由

親を施設に入居させるという選択は、必ずしも後ろ向きな決断ではありません。むしろ、介護者と被介護者の双方にとって、より良い生活を実現するきっかけとなる可能性があります。以下の理由から、施設入居は前向きな選択として捉えることができます。

  • ・介護負担によるリスクがあるため
  • ・施設へ入居させた後もサポートができるため

それぞれ順に解説していきます。

介護負担によるリスクがあるため

在宅介護を続けることで生じる身体的・精神的な負担は、想像以上に大きなものです。長期的な介護は、介護者自身の健康状態を悪化させる可能性があり、うつ病などの精神疾患のリスクも決して低くありません。自身の健康を損なってしまっては、十分な介護を提供することができません。

介護者の健康を守ることは、結果として良質な介護を継続するための重要な要素となります。また、介護負担が原因で家族関係が悪化してしまうケースも少なくありません。このような事態を防ぐためにも、適切なタイミングでの施設入居を検討することは賢明な選択と言えるでしょう。

【在宅介護に関連する記事はこちら】
在宅介護のサービス内容や種類を紹介。そのメリットを考える|介護のコラム

介護施設へ入居した後もサポートができるため

介護施設への入居は、介護の終わりではなく、新たなサポートの形を模索する始まりと捉えることができます。施設では24時間体制で専門的なケアが受けられる一方で、家族ができることも数多く存在します。定期的な面会や外出支援、行事への参加など、むしろ精神的なつながりを深める機会として活用できます。

また、施設職員と協力しながら、より良い介護環境を整えることも可能です。施設入居後も継続的なサポートは十分に可能であり、それは親への愛情表現の新しい形となり得ます。

親を施設に入れる罪悪感を抱く理由

親を施設に入れる罪悪感との向き合い方

多くの方が、親を介護施設に預けるという決断する際に罪悪感を抱いてしまいます。以下の3つの主要な要因があります。

  • ・「親の介護は子の役目」という価値観を持っているため
  • ・介護の責任を放棄しているように感じるため
  • ・親本人や周囲からの反対があるため

これらを理解することで、より客観的に状況を判断できるようになるでしょう。また、適切な対処方法を見出すためにも、まずはその原因を把握することが重要です。

「親の介護は子の役目」という価値観を持っているため

日本の伝統的な価値観として、「親の介護は子がすべき」という考えが根強く残っています。中には、この価値観が心の中に深く根付いており、施設入居を検討する際の大きな心理的障壁となっているケースがあります。

しかし、現代社会では、介護を取り巻く環境が大きく変化しています。核家族化や共働きの増加、そして介護の専門化により、従来の価値観だけでは対応が難しい状況が増えています。介護保険制度の充実もあって、専門的なケアサービスを受けることが一般的になってきており、それは決して非難されるべきことではありません。

むしろ、専門家による適切なケアを選択することは、親の生活の質を向上させる賢明な判断と言えるのです。

介護の責任を放棄しているように感じるため

施設入居を決断する際、多くの方が「介護の責任を放棄している」という思いに苛まれます。しかし、これは必ずしも正しい認識とは言えません。

施設入居後も、経済的支援や定期的な面会、施設との連携など、家族としてできるサポートは数多く存在します。むしろ、専門家による適切なケアと家族による精神的サポートの両立こそが、現代における理想的な介護の形と言えるかもしれません。

「介護=同居して世話をすること」という固定観念にとらわれず、より柔軟な視点で介護のあり方を考えることが重要です。

親本人や周囲からの反対があるため

施設入居を検討する際、親本人や親族からの反対に直面することも少なくありません。特に、親が施設入居を強く拒否する場合、子として非常に苦しい立場に置かれることになります。

このような状況では、なおさら罪悪感が強まってしまいがちです。しかし、ここで重要なのは、お互いの立場や気持ちを理解し合うための対話です。親の不安や懸念に耳を傾けつつ、家族としての思いも丁寧に伝えていく必要があります。

また、可能であれば施設見学を一緒に行うなど、具体的な情報を共有することで、より建設的な話し合いが可能になるかもしれません。

【施設見学に関連する記事はこちら】
施設見学のポイントを解説!いい施設を見分けるチェック項目5つ

親を施設に入れる罪悪感を払拭する方法

罪悪感を抱いてしまった場合、より良い決断をするためにはその罪悪感と向き合い、具体的な対処方法を知ることが重要です。ここでは、専門家の意見も交えながら、実践的なアプローチ方法をご紹介します。

  • ・家族関係を修復するチャンスだと捉える
  • ・お互いの暮らしを良くするためだと考える
  • ・施設職員やケアマネージャーに相談する

これらの方法を参考に、ご自身の状況に合わせた対処法を見つけていただければと思います。

家族関係を修復するチャンスだと捉える

在宅介護の負担が増大すると、介護疲れから親との関係が悪化してしまうことがあります。イライラや焦りから、つい強い口調になってしまったり、十分なコミュニケーションが取れなくなったりすることも少なくありません。

このような状況では、施設入居を「関係修復のチャンス」として前向きに捉えることができます。介護の直接的な負担から解放されることで、精神的な余裕が生まれ、より落ち着いた状態で親と向き合えるようになります。

実際、施設入居後に家族関係が改善したというケースも多く報告されています。面会の時間を質の高いコミュニケーションの機会として活用することで、新たな形での関係構築が可能になるかもしれません。

お互いの暮らしを良くするためだと考える

施設入居は、介護者と被介護者の双方にとって、より良い生活を実現するための選択肢として捉えることができます。介護者にとっては、身体的、精神的負担の軽減により、自身の生活や仕事との両立が可能になります。

被介護者にとっては、24時間体制の専門的なケアを受けられ、同世代の方々との交流も期待できます。また、施設にはさまざまなレクリエーションや活動プログラムが用意されており、生活の質の向上にもつながります。

このように、施設入居を「双方の生活の質を高めるための選択」として捉え直すことで、より前向きな決断が可能になるのではないでしょうか。

施設職員やケアマネージャーに相談する

施設入居に関する不安や罪悪感を1人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。ケアマネージャーや施設の相談員には、同様の悩みを抱える多くの方々と接してきた経験があり、具体的なアドバイスを提供してくれます。

また、ご家族の状況に合わせた適切な施設を紹介し、入居までのプロセスについても丁寧に説明してくれるはずです。専門家との相談を通じて、より客観的な視点で現状を見つめ直すことができ、それは罪悪感の軽減にもつながります。時には、同じような経験をしている方々との交流の機会を設けてくれるかもしれません。

親が介護施設への入居を拒否している場合は話し合いが重要

介護施設への入居を提案した際、親が強い拒否反応を示すケースは少なくありません。このような状況では、まず親の気持ちに寄り添いながら、丁寧な対話を重ねていくことが大切です。

突然の提案は不安や拒否感を強める原因となりかねません。時間をかけて、お互いの考えや思いを共有し、より良い選択肢を一緒に探っていく姿勢が重要です。

可能であれば、実際の施設見学を提案するのも良いでしょう。施設の雰囲気や提供されるサービスを直接確認することで、漠然とした不安が解消されることもあります。また、短期間の体験入居から始めて、徐々に施設生活に慣れていくという方法も良いでしょう。



親が施設に入居した後にできるサポート

施設入居後も、家族としてできることは数多くあります。

  • ・定期的に面会や外出をする
  • ・施設と親の間を取り持つ

これらのサポートを継続的に行うことで、より充実した施設生活を送れるよう支援することができます。ここでは、具体的なサポート方法についてご紹介します。

定期的に面会や外出をする


施設入居後、特に初期の段階では定期的な面会が重要です。慣れない環境での生活に不安を感じている親にとって、家族の顔を見ることは大きな安心につながります。

面会の際は、ゆっくりと話を聞いたり、一緒に施設内を散歩したりと、コミュニケーションの時間を大切にしましょう。また、体調と相談しながら、外出や外食なども計画してみるのも良いでしょう。

これらの活動は、日常生活に変化を付け、生活の質を向上させる効果が期待できます。徐々に面会の頻度は調整していけばよいですが、定期的な関わりを持続することで、より安定した施設生活を送れるようサポートすることができます。

施設と親の間を取り持つ

施設職員との良好な関係づくりも、重要なサポートの1つです。日々の様子を詳しく聞いたり、気になる点があれば適切に伝えたりすることで、より充実したケアにつながります。

また、親の趣味や習慣、好みなどの情報を施設側と共有することで、個別のニーズに配慮したケアを提供してもらいやすくなります。さらに、親から施設生活について不満や要望があった場合は、建設的な形で施設側に伝えることで、サービスの改善につながることも期待できます。

このように、家族が施設と親の橋渡し役となることで、より快適な施設生活を実現することができるのです。

まとめ

親の介護施設への入居を選択することは、多くの方にとって悩ましい決断です。罪悪感を抱くのは自然なことであり、それに縛られすぎる必要はありません。

適切な時期に専門的なケアを選択することは、介護者と被介護者の双方にとって前向きな決断となり得ます。施設入居後も、定期的な面会や施設との連携など、家族としてできることは数多くあります。これらのサポートを通じて、新たな形での関係構築を目指していくことが大切です。

最後に、この決断に悩む方々へ伝えたいのは、「あなたは決して介護を放棄しているのではない」ということです。それは、親とご自身、双方のより良い生活のための、勇気ある選択なのです。


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