介護のお役立ちコラム

【医師監修】要介護の前段階「フレイル」とは?症状やチェック方法、予防について解説|介護のコラム

【医師監修】要介護の前段階「フレイル」とは?症状やチェック方法、予防について解説|介護のコラム

更新日:2020.06.05

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コロナ禍で高齢者に増えている「フレイル」をご存じでしょうか。フレイルとは、「虚弱」や「老衰」を意味し、要介護状態の前段階を指します。フレイルは早めに発見することで、要介護状態になるのを遅らせることも可能とされています。

今回の記事では、フレイルの症状や予防方法について見ていきましょう。簡単なチェックリストもあるので、ぜひ試してみてください。


【監修者】
木村 眞樹子医師

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医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。


自立と要介護状態の間にある「フレイル」

日本老年医学会は、2014年に「フレイル」という概念を提唱しました。フレイルの語源である「Frailty」には「虚弱」や「老衰」という意味があり、自立と要介護状態の間の期間を指しています。フレイルは一度なってしまっても、適切な治療や予防を行うことで回復も可能です。

フレイルの要因には、「身体的」「心理的」「社会的」の3つの側面があります。

●身体面要因

筋力や消化器機能の低下から起こるさまざまな機能障害やロコモティブシンドロームに起因することがあります。

●心理的要因

軽度認知障害(MCI)や、老化を自覚したことによる自信喪失や無気力、そこから始まる老人性うつなどが要因として考えられます。

●社会的要因

引きこもりなど、家族や他人との接触を拒むようになる社会的要因があります。

フレイル状態から脱するためには、これら3つを包括的に見て改善を図る必要があるのです。

悪化をもたらす「フレイルサイクル」とは

フレイルになると、以下のような「フレイルサイクル」という悪循環に陥り、急激なスピードで悪化が進行する可能性があります。

●加齢などにより筋力が減少する

       ↓

●運動量が減り、エネルギー消費量が低下する

       ↓

●食欲不振になり食事の摂取量が減る

       ↓

●栄養の摂取不足による低栄養状態になる

       ↓

●体重が減少し、さらに筋力が減少する

こうした悪循環によって、驚くべきスピードで自立から要介護状態となる可能性があるため、早期発見と早期治療が重要です。

フレイルを確認するチェックリスト

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フレイルを確認するためのチェック項目は以下の5つです。3項目以上当てはまればフレイル、1~2項目に当てはまればフレイルの前段階である「プレフレイル」と考えられます。

1.体重の減少

半年間で(意図せず)2~3kg体重が減少した

2.疲労感

直近2週間で、理由もなく疲れたと感じるようになった

3.歩行速度の低下

歩くスピードが遅くなった(1秒間で歩行距離1m未満)

4.握力の低下

利き手の握力が、男性で26kg未満、女性で18kg未満

5.身体活動量の低下

習慣的に行っていた軽い運動や体操、スポーツをしなくなった

東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授によって提唱された「イレブンチェック」というフレイルチェックは以下の通りです。栄養、歯科口腔、運動、社会性、うつの有無を評価できる内容となっています。


1.ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか

2.野菜料理と主菜(肉または魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか

3.「さきいか」や「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか

4.お茶や汁物でむせることがありますか

5.1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか

6.日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか

7.ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか

8.昨年と比べて外出の回数が減っていますか

9.1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか

10.自分が活気に溢れていると思いますか

11.何よりまず、物忘れが気になりますか

予防や改善には運動や食事、人との交流が重要に

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フレイルを改善するためには、前述の通り「身体的」「心理的」「社会的」の側面からアプローチすることが望ましいとされています。

日々の適度な運動はもちろん、おいしく食事を取るための口腔ケア、咬合力(噛む力)の維持も大切です。

近所付き合いや介護サービスの利用などの人とコミュニケーションを図る機会は、脳にとって良い刺激になります。自宅に1人でいる場合には、テレビを観たり、読書したりなど、気分をリフレッシュできるような環境を整えると良いでしょう。

また、持病がある場合には、早めに対処しておきましょう。持病が原因で体調管理が難しい状態だと、その悪化によってフレイルが進行する可能性も考えられます。

フレイルは早期発見と治療で回復が可能

フレイルは、要介護の前段階で、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態です。フレイルになる要因には、「身体的」「心理的」「社会的」な3つの要素がありますが、これらを改善するためのアプローチによって要介護状態になるのを遅らせることが可能です。フレイルは誰にでも起こり得るという認識をもち、日々の健康な習慣作りに努めましょう。

 

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