介護のお役立ちコラム
現在、非常に多くの介護サービスが存在しますが、闇雲に身体介助や生活支援を提供すれば良いというわけではありません。被介護者本人の残存する能力をできるだけ活用しながら、なるべく普段どおりの生活を維持できるケアを提供する必要があります。そのため、一人ひとりにマッチした介護を提供できるよう「ケアプラン」が作成され、介護サービス提供の礎となっています。このケアプランは一体どのようなものなのでしょうか?
介護サービスの提供は「ケアプラン」から
介護サービスの利用を希望する場合、住まいのある市区町村の福祉課などの窓口に申し出て「要介護(または要支援)認定」を受ける必要があります。役所の職員との面談や主治医の診断書の内容をベースに、最終的に要介護認定を受けてからのサービス提供開始となります。
被介護者本人が末永く健康かつ元気に暮らしていけるよう、介護の内容も一人ひとりに見合ったものが提供されなくてはなりません。そこで「介護サービス計画書(通称:ケアプラン)」が作成され、その内容に則したサービスが定期的に提供されることになります。
判定の結果、「要介護1~5」に認定された高齢者には「ケアプラン」が作成され、比較的軽度な「要支援1・2」に認定された高齢者には「介護予防ケアプラン」が作成されます。
後者については、要支援者が利用する訪問介護や通所介護(デイサービス)は、介護保険サービスから切り離され、自治体主導の「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行されました。その名前のとおり、近い将来に要介護状態にならないための予防に重点を置いて計画書が作られます。
いずれのケアプランも、その場凌ぎや人任せの介護にならないよう、中長期的な視点でなるべく自立に近い形で日常生活が送れるような内容が求められます。
ケアプランの内容を決定する「介護支援専門員(ケアマネジャー)」の役割
自宅で介護サービスを受けるにあたり、要介護認定後に自治体から「居宅介護支援事業所」を紹介してもらいます。そこに所属する「介護支援専門員(ケアマネジャー)」がケアプランを作成し、その内容に見合った介護サービス事業者を利用者と話し合いながら決定することになります。なお、要支援認定で介護予防ケアプランが該当する場合は、住まいのある地区の「地域包括支援センター」で介護予防ケアプランを作成します。
ケアマネジャーは最初に、利用者とその家族からのヒアリング内容をもとにケアプランの原案を作成します。また、要介護度によって受けられる介護サービスの利用時間と限度回数も変わってきますが、介護保険給付の範囲内で介護サービスが提供されるように計画を立てることも重要な役割です。
要介護度は一定のタイミングで見直しされますが、要介護度に変更があった場合、または要介護から要支援に変更となった場合は、その都度ケアプランの内容を変更する必要があります。
在宅介護の場合は、居宅介護支援事業所(または地域包括支援センター)のケアマネジャーが担当しますが、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームへの入居が決まった場合、その施設専属のケアマネジャーに切り替わるルールとなっています。ケアマネジャーとの相性は後の介護生活を左右する重要な要素であるため、利用者に選択権がないのは厳しいところでもあります。
●ケアマネジャーの正しい選び方・付き合い方~充実したケアを実現するために〜
ケアプラン作成の流れ
ケアプランの作成から実際のサービス開始までの流れは以下のとおりです。
1.アセスメント
ケアマネジャーが利用希望者とその家族を訪問し、日常生活における、いま現在の課題や問題点を洗い出します。
2.サービス内容の検討
アセスメントの結果をもとに、ケアマネジャーは介護サービス事業者の選定をおこないます。もちろん、事業者の選択権は利用希望者本人にあるため、サービスの種類や利用限度、自宅から通いやすい場所にあるかといった点を加味して候補を絞ります。
3.利用者・家族への確認
ケアマネジャー、利用者、介護サービス事業者などが一堂に会して、必要なサービス、利用回数、料金などを話し合い最終的なケアプランを決定します。これを「サービス担当者会議」と言います。
4.介護サービス利用開始
無事に事業者と契約を交わして、いよいよ介護サービスのスタートです。
サービス提供開始後も、ケアマネジャーは定期的に利用者のもとを訪問し、適切に介護サービスが提供されているか、その内容に不備はないかといった点を確認します。その後、ケア内容の変更が望ましいと見込んだ場合は、再度アセスメントをおこないケアプランを再考します。
ケアプランは個人で作成することもできる
ケアマネジャー主導でおこなわれるケアプランの作成ですが、利用者個人で作成することも可能です。居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、通常40人近い利用者を抱えています。そのため、ケアマネジャー任せにならない、目の行き届いた介護を家族自ら実現したい場合は個人で作成するのもよいでしょう。
そのためには、まずケアプランを自ら作るための書類集めにはじまり、介護事業者のリサーチ、介護サービス提供時に発生する単位と費用の計算、サービス担当者会議の開催、ケアプラン完成後の書類の提出といった一連の工程をすべて利用者側でおこなわなくてはなりません。各種手続きが煩雑でケアプランの中身も専門性の高い内容であることから、やはりケアマネジャーに一任するのが一般的です。
ケアプランを見直し、変更したい場合は
長い介護生活において幾度も見直されるケアプラン。状況に応じて要介護度が変わってくることもあります。
介護保険サービス利用の新規申請時の有効期間は6か月となっています。ただし期間中に区分変更(要介護度の変更)の申請も可能で、その場合、当初の有効期間を3~12か月の間で再設定することができます。
特に要介護度に対する不服申し立てや区分変更の申請なく6か月の有効期限を迎えた場合、次の有効期間は原則12か月となりますが、利用者の希望があれば3か月~最長36か月(3年)となります。また、要介護度の変更がない場合は3か月~最長48か月(4年)の範囲に設定することができます。利用者の健康状態や今後の日常生活の見通しなどを参考材料に、期間を定めるとよいでしょう。
提供される介護サービスに納得がいかない場合、とことんケアマネジャーに相談するのは利用者として当然の権利です。ケアマネジャーと信頼関係を築きながら、本人に合ったケアプランを作成しましょう。
終わりに
実際に介護サービスを受ける生活が始まると、何かとケアマネジャーと関わる機会が増えるはずです。特に初めての介護の場合、わからないことだらけで不安もつきまとうことでしょう。そのようなとき、些細な事でも相談に乗ってくれて不安を和らげてくれるのもケアマネジャーです。何でも話せて信頼できるケアマネジャーとの出会いが、長い介護生活の支えとなってくれることでしょう。
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