介護のお役立ちコラム

介護の初心者必見! 自宅でできる「介護食」の作り方|介護のコラム

介護の初心者必見! 自宅でできる「介護食」の作り方|介護のコラム

更新日:2017.06.29

介護を受ける高齢者がそうであるように、年齢を重ねると体のあらゆる機能が衰えはじめます。具体的には記憶力や視力、聴力、歩くスピードの低下などが挙げられますが、体の機能低下は食事の面でも大きな影響を及ぼすことも。

歯がもろくなったり、噛む力が弱くなったり、飲み込みづらくなったり...。すると食べられるものが減って元気がなくなってしまう。そんな姿を見ていると介護する側も心配になってしまいますよね。

高齢者でも食べやすい食事を作るために、ご家族はどういったことができるのでしょうか?今回は、高齢者に配慮した「介護食」の基本知識や、おいしく食べてもらうための工夫についてご紹介します。

安全かつ食べやすい介護食を作るための基礎知識

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高齢者の食事能力はどのように低下するのでしょうか?代表的なものは、まず、口腔内の清潔が十分に保たれないことや、歯がもろくなったことによる「咬合力(こうごうりょく、噛む力)」の低下が起こります。

これには歯の衰えだけでなく、筋力の低下も関係しています。そして「咀嚼力(そしゃくりょく、噛み砕く力)」や「嚥下力(えんげりょく、飲み込む力)」の低下へと進行するのです。機能低下が起こると、食べものがスムーズに食べられなくなるばかりか、食事をのどに詰まらせてしまい呼吸ができなくなってしまうこともあります。

特に気をつけたいのは、食べもの・飲み物が気管支内に流入することによって起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」。肺炎は高齢者の死亡原因の上位に挙げられる病気のひとつで、その原因の多くが誤嚥性肺炎なのです。 ※「一般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気」より

では、美味しく、安全かつ食べやすい介護食を作るにはどうすればよいのか。今回はそのコツについて学んでいきましょう。

食べ物を細かくきざむ

通常食べるサイズよりも食材を細かくきざみ、飲み込むことを助ける調理を「きざみ食」と呼びます。切るサイズは高齢者に合わせて無理なく食べられる大きさにすることが重要です。

きざみ食のメリットは、食べやすいほか、食材の見た目や食感が比較的残って食欲が湧きやすい、などが挙げられます。ただし、「食塊作り(食べ物が口のなかでまとめられること)」を作りにくく、誤嚥を招く場合もあるので注意しましょう(下記「とろみをつける」をご覧ください)。

食べ物をつぶす

食べ物を安全に食べてもらうためには、食材をスプーンなどでつぶして提供することも有効です。特に煮込んで軟らかくなったにんじんや大根などの野菜はつぶしやすいため、咀嚼(食べ物が細かくなるまでかむこと)が難しい場合にはぜひ試してみましょう。

食べ物をミキサーにかける

食材を細かくきざんでも飲み込むことが難しい場合、ミキサーで食べ物の形を崩してみましょう。ミキサーにかけると食べやすくはなるものの、食材の形や見た目がわからなくなってしまうため、高齢者は「何を食べさせられているんだろう?」と不安になることも考えられます。

そのような場合は、ミキサーにかける前の食材を事前に見せておくと、安心して食べてもらえるでしょう。また、ミキサーにかけた料理を再度固めて元の形状に仕立てるという方法もあります。少々手間がかかりますが、「食塊作り」をした状態になり、誤嚥を防ぐことにつながります。

とろみをつける

高齢者は食べ物や飲み物を飲み込む力が衰え、お茶などの液体が誤って気管に入ってしまうことがあります。これは咳き込みや誤嚥の原因になるため、液体には片栗粉やとろみをつける「とろみ剤」と呼ばれる粉を混ぜて、咳き込みを予防しましょう。

主にデンプンを材料にした市販の「とろみ剤」はクセがなく、料理の味に影響を与えない高品質のものが増えてきました。スティックタイプのものも販売されており、外出先で水分を摂るときにも便利です。

高齢者がおいしく食べるためにご家族ができること

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ここまで誤嚥を防ぎ飲み込みやすい調理法について説明しましたが、あまり安全面ばかりに気を取られていると、料理の味や見た目を軽視してしまいがちです。 高齢者の食欲を維持するためには、"おいしそう"な料理にすることも重要です。ここでは、料理をおいしく作るための工夫をご紹介します。

味つけ

調理の際にもっとも神経を使うのが味つけです。味つけは、高齢者本人の好みや出身地によって、甘い味、塩辛い味、薄味など千差万別。基本的には高齢者本人の意見をうかがいながら、好みの味を探っていくようにしましょう。

高齢になると舌の感覚が鈍くなり、昔よりも塩分の強い味を求める傾向が見られます。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015版)」における1日の塩分摂取量目標は、男性8.0g未満、女性7.0g未満。特に生活習慣病を患っている人は、医師から食事制限を指導されている(塩分ならば6.0g未満が推奨値)こともあるため、食事を提供する家族は調味料の分量に注意しなくてはいけません。

濃い味つけが好きだという人には、トウガラシ、山椒、各種ハーブなどの香辛料をうまく利用しながら、淡白な味にならないように調節するのもテクニックのひとつです。

主食・主菜・副菜などメリハリをつける

比較的若い世代の人たちは、丼ぶりやスパゲッティなど、ワンディッシュの食事に抵抗がありませんが、高齢者はこうしたメニューに慣れていません。主食・主菜・副菜・デザート(果物)などに分かれたメニューを作ってあげましょう。季節の旬の食材を加えるのも、喜んで食べてもらえるひとつの工夫ですね。

リクエストを取り入れながら飽きの来ない献立を考える

食事を作る側にも得意な料理とそうでない料理がありますが、高齢者にとって飽きがこないように同じ食材やメニューが連続しないよう注意しましょう。

このほかに、食材のもつ色合いをバランスよく取り入れた料理を作ることや、食べる直前に食べやすいサイズに切って提供するなど、いろいろとできることがあります。

家族そろって食事をすることもそのひとつ。食事はひとりで部屋にこもって食べるよりは、にぎやかな環境で食べたほうがきっとおいしく感じることでしょう。

市販の介護食を選ぶ際には「ユニバーサルデザインフード」のマークをチェック

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「ユニバーサルデザインフード」とは、日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮した商品を指します。レトルト食品などの調理加工食品と、とろみを付けるとろみ調整食品の2種類を対象としています。ユニバーサルデザインフードの商品パッケージにはそれら商品であることがわかるマークが記載されているため、消費者も迷わず商品を手に取ることができます。

調理加工食品については、商品の「硬さ」と「粘度」に応じて4つの区分(容易にかめる、歯ぐきでつぶせる、舌でつぶせる、かまなくてよい)に分けられています。食べる人の咀嚼力や嚥下力に応じて適切な商品を選ぶことが可能です。

とろみ調整食品についても同様に、とろみの粘度に応じて4段階に区分されています。実際にどの程度の商品を選んだらよいのか。食べても安全な硬さの基準がわからないという方のために、ユニバーサルデザインフードを提唱する「日本介護食品協議会」のホームページでガイドラインが示されているので、商品を購入する際はぜひ参考にしてみてください。

食事は生きる活力を作る

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高齢者のなかには、外出など体を動かす機会や人と話す機会が減り、一日中ベッドの上で過ごす方も少なくありません。 そのような生活の中で、毎日の食事を楽しみにしている高齢者は多いはず。充実した食事によって活力が満たされて元気になる可能性は大いにあるでしょう。

農林水産省では、来たるべき超高齢化時代を見すえて「スマイルケア食」という新しい枠組みの整備をおこなっています。このように「介護食」には注目が集まっています。毎日の食事から、高齢者の健康と生きる気力を支えてみましょう。

 

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