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介護サービス利用のはじまり「要介護認定」。手続きの流れから訪問調査時の注意点、更新まで|介護のコラム

介護サービス利用のはじまり「要介護認定」。手続きの流れから訪問調査時の注意点、更新まで|介護のコラム

更新日:2016.10.17

【最終更新日:2019年10月4日】

突然の事故や病気で介護が必要になったとしても、介護サービスはその日から受けられるというものではありません。介護サービスの利用には、要介護認定(要支援認定を含む)を受ける必要があります。

要介護度が判定された後で、ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護計画書)に沿って介護サービスの利用が開始されます。要介護度によって、受けられる介護サービスは異なります。

今回は介護サービスを利用する上で必要となる「要介護認定」の基礎を押さえていきましょう。

要介護度と介護保険サービスの支給限度額

介護認定は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階で判定され、それぞれ介護保険支給限度額が異なります。まずはそれぞれの認定区分の説明と支給限度額、自己負担分について解説します(参考:「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度(1~5)別の利用サービスまとめ)。

自 立日常生活は自分で行うことができる
要支援1 日常生活はほぼ自分でできるが、要介護状態予防のため少し支援が必要
要支援2 日常生活に支援が必要だが、要介護に至らずに機能が改善する可能性が高い
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で、排泄や入浴など部分的な介助が必要
要介護2 自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄、入浴などに一部または全介助が必要
要介護3 立ち上がりや歩行などが自力にはできない。
日常においても排泄、入浴、衣服の着脱など全面的な介助が必要
要介護4 排泄、入浴、衣服の着脱など日常生活の全般において全面的な介助が必要
要介護5 日常生活全般において、全面的な介助が必要であり、医師の伝達も困難

次にそれぞれの区分とその支給限度額を表にします。自己負担分は、本人の合計所得金額160万円未満の方は1割で、それ以上の所得がある方は2割、もしくは3割となります。

区 分支 給 限 度 額負 担 額 1 割負 担 額 2 割負 担 額 3 割
要 支 援 1 50,030円 5,003円 10,006円 15,009円
要 支 援 2 104,730円 10,473円 20,946円 31,419円
要 介 護 1 166,920円 16,692円 33,384円 50,076円
要 介 護 2 186,160円 19,616円 39,232円 58,848円
要 介 護 3 269,310円 26,931円 53,862円 80,793円
要 介 護 4 308,060円 30,806円 61,612円 92,418円
要 介 護 5 360,650円 36,065円 72,130円 108,195円

支給限度額を超えた分は、全額自己負担となります。つまり万が一「要介護認定」で本来の状態より、介護度が低く認定されてしまうと、経済的にも苦しくなってしまうことが予想されます。

申請から訪問調査、結果の通知まで。「要介護認定」手続きの流れ

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要介護認定の手続きの流れを見ていきます。まずは住んでいる市町村の窓口かホームページで要介護・要支援認定申請書を入手し、主治医に書いてもらった意見書とともに提出します。主治医がいない場合、市区町村が指定する医師の診察が必要になります。また、その際に介護保険被保険者証が求められるので、用意しておきましょう。

40〜64歳までの方の場合は、代わりに医療保険証が必要です。その後、市区町村の担当者あるいはケアマネジャーが自宅や施設を訪れる「訪問調査」がおこなわれます。

本人や家族に、74項目からなる質問をして、高齢者の心身の状態を確認する作業です。訪問調査の結果と主治医の意見書はコンピューターに入力され、要介護度が判定されます。これを一次判定と言います。 その一次判定の結果と、訪問調査で調査員が書き取った特記事項を元に、医療や福祉の専門家からなる介護認定審査会で審議がおこなわれ、要介護度が決定されます。これが二次判定です。結果は、原則として、申請から30日以内に郵送で通知されます。

ちなみに、認定結果が出る前に介護サービスを利用したい場合は、地域包括支援センターのケアマネジャーに相談すれば暫定ケアプランに沿ってサービスを受けられます。ただし、判定の結果、「非該当」となればそれまでのサービスの料金に介護保険は適用されず全額自己負担となるので、ご注意ください。 以上が、要介護認定のおおまかな流れとなります。

【介護認定までの流れ】
①地域包括支援センターに連絡を入れる

②要介護認定の申請をする。

③ケアマネジャーの訪問調査を受ける・主治医の意見書

④コンピューターによる一次判定

⑤介護認定審査会による二次審査

⑥申請結果を受け取って、居宅介護支援事業所へ連絡(要支援1〜2の方は、地域包括支援センターへ)

⑦ケアプランの作成

⑧サービス事業者との契約



訪問調査は原則1回!自然体と事前準備を大切に

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ここからは、要介護度を判定する上で非常に重要となる「訪問調査」で注意すべきポイントについて解説していきます。なぜなら、訪問調査は原則1回のみのため、この調査次第では要介護度を低く判断され、適切な介護サービスを受けられない恐れがあるからです。



ポイント1:本人にはいつもどおりにしてもらう

聞き取りは高齢者本人と家族の両方におこなわれますが、調査の日は本人も「健康ではない」「老人扱いされたくない」という気持ちがあり、ついついできないことでも「できる」と言ったり、元気に振舞ったりしがちです。

家族は「いつも通りにしてね」と本人に言い、普段と様子が違ったら「普段はできないんですけどね」と訂正しましょう。ただし、「できないふり」「苦しいふり」をしてしまうと、担当者には見破られて心象を悪くする恐れがあるので、あくまで自然体を大切に。

ポイント2:事前にチェックされる項目を確認しておく。

訪問調査でチェックを受ける基本項目は全74項目です。大きく5つの群に分かれていますので、下記をご確認ください。

●第1群:身体機能・起居動作に関する20項目 (「左上肢にマヒがあるか」「寝返りができるか」など)
●第2群:生活機能に関する12項目 (「ベッドから車いすなどに移乗できるか」「食べ物を飲み込むことができるか」など)
●第3群:認知機能に関する9項目 (「自分の意思を周囲に伝えられるか」「毎日の日課がわかるか」など)
●第4群:認知症等による精神・行動障害に関する15項目 (「物を盗られたなどと被害的になるか」「大声を出すか」など)
●第5群:社会生活への適応に関する6項目 (「薬を正しく飲めるか」「金銭管理ができるか」など)
●その他:特別な医療行為に関する12項目 (「点滴が行われているか」「導尿などのカテーテルを使用しているか」など)

調査時に曖昧な答えを返さないようにするには、以下の資料を確認し、普段の様子をメモに取ってどのように答えるか準備しておくとよいでしょう。

●認定調査員テキスト 2009 - 厚生労働省(該当は159〜164ページ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077237.pdf

●平成21年度版 要介護認定一次判定シミュレーション
http://www.j-dental.or.jp/JEDA/oralcareC/nintei/nintei21.php



認定に納得いかなかったら? 不服申立てと区分変更申請

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要介護認定は、必ずしも想定していた要介護度(要支援度)と判定されるわけではありません。想定よりも軽めの認定を受けるケースも十分にありえます。その場合、介護保険利用額の限度が低くなるため、十分なサービスを受けられない可能性が出てきます。

その場合、通知があった日の翌日から60日以内であれば各都道府県の介護保険審査会に再調査の申し立てをすることができます。ただし、必ずしも受け入れられるわけではないので注意しましょう。

また要介護度が変更となる場合でも、数カ月もの時間を要する場合もあります。 そのため、認定に不満がある場合は、要介護度(要支援度)の区分変更申請をするほうがより一般的です。区分変更申請とは、認定有効期間中に心身の状態が変化したために介護の必要度が変わったとして、申し込むことです。こちらの場合は再調査の結果が30日以内に出る上に、最初の認定から60日を過ぎても申請することができます。 区分変更申請をする場合はケアマネジャーと相談し、変更を希望する理由を明確にしたうえで申し込みましょう。

要介護認定の有効期間があります。更新を忘れずに

要介護認定の有効期間は、新規の認定医で6カ月。更新の認定で3〜24カ月となっています。それぞれの有効期間に関しては、ご自身の介護保険証をご確認ください。

有効期間が終了すると介護サービスを利用できなくなるので注意が必要です。要介護認定の更新申請は、有効期間満了の60日前から申請できます。必要な書類や手続の流れは、先述した新規認定のケースと同様になります。

おわりに

要介護認定は、今後介護サービスを利用していくうえでのケアプランに関わってくる、非常に重要なポイントです。今後の介護の見通しを立てるために、認定前あるいは認定後は主治医およびケアマネジャー、そして家族と十分に話し合っていきましょう。

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