介護のお役立ちコラム
介護現場での人員不足が深刻化する昨今、要介護者の補助や介護者の負担軽減を目的として開発が進んでいるのが「介護ロボット」です。こちらでは、そんな介護ロボット導入のメリットや実用化における課題などについて詳しく解説していきます。
介護ロボットとは
まずロボットの定義として
●情報を感知(センサー系)
●判断し(知能・制御系)
●動作する(駆動系)
この3つの要素技術を有する、知能化した機械システムのことを指し、ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器を「介護ロボット」と呼んでいます。
介護ロボット導入のメリット
介護ロボットの普及が進むことによるメリットとしては、「介護者の身体的・精神的負担の軽減」や「介護現場における人員不足の解消や人件費の削減」などが挙げられます。
従来の介護では、起床介助や移動介助などにより介護者の腰やひざに大きな負担がかかっていましたが、介護ロボットを活用することで、そんな身体的な負担を大きく軽減することができます。また、そういった日々の介護を効率化することで時間的にも余裕が生まれ、精神的負担の改善も期待できます。
また、これまで一人の介護者では難しかった作業も、機器の特性を用いることで一人でも可能になるなど、人員不足が深刻化する介護現場においても導入によるメリットは大きいと言えるでしょう。
介護ロボットの種類と製品例
次に介護ロボットの種類について見ていきましょう。現在重点開発されているのは次の6つの分野です。
1. 移乗介助
▲株式会社イノフィス「マッスルスーツ Every(エブリィ)」
要介護者を車椅子からベッドに移乗介助する際などに介護者の負担を軽減してくれる機器を指します。移乗介助機器はさらに「装着型」と「非装着型」の2種類に分類されます。
「装着型」の例としては、株式会社イノフィスが開発した腰補助用ウェアラブルデバイス「マッスルスーツ」などが挙げられます。「非装着型」の例には、お姫様だっこの状態で抱え上げが可能なマッスル株式会社の「ロボットヘルパーSASUKE」などがあります。
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2. 移動支援
身体機能の低下により歩行が困難となった障害者や高齢者の移動を支援する機器を指します。こちらは「屋内型」と「屋外型」などでさらに分類することができます。世間的にも話題となった電動立ち乗り二輪車の「セグウェイ」なども移動支援機器に当たります。
3. 排泄支援
排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレのことを指します。製品例としては、アロン化成株式会社の水洗式のポータブルトイレ「キューレット」などがあります。
4. 見守り支援
▲ユカイ工学「BOCCO emo(ボッコ エモ)」
センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームを指します。ボタンひとつで音声メッセージの吹き込みと再生ができ、在宅介護での活躍が期待されるユカイ工学の「BOCCO」もこちらに分類されます。
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5. 入浴支援
浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器を指します。浴槽での立ち座りや出入りをサポートしてくれるTOTO株式会社の「バスリフト」などが製品例として挙げられます。
6. 介護業務支援
ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器を指します。現在ではパナソニック株式会社やコニカミノルタ株式会社などが開発・研究を行なっています。
介護ロボットの課題と普及に向けた施策
導入により様々なメリットが期待される介護ロボットですが、実用化までには課題も多く残っています。例えば「導入するための予算がない」というコスト面での問題や、「誤動作の不安がある」「清掃や消耗品管理などの維持管理が大変である」といったことも普及に至らない要因となっており、こうした利用者とのニーズの乖離を解決していく必要がありそうです。
現在では、介護施設等に対する貸出や、適切に利用するための研修、イベントや家電量販店などでの利用体験なども行われています。
介護者の負担軽減のため、技術発展に期待
高齢化の進展に伴い、今後ますます介護現場における労働環境の整備や高齢者の自立が求められていきます。また、新型コロナウイルスの影響により「新しい生活様式」での介護の負担が増す昨今、介護ロボットの普及には大きな期待が寄せられています。
実用化までにはコスト面・技術面の問題など、解決すべき課題はありますが、介護者の身体的・精神的負担軽減のためにも、1日でも早く介護ロボットの普及が進むことを祈りましょう。
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