介護のお役立ちコラム
病院は健康で長生きするために欠かせない社会インフラのひとつですが、新型コロナウイルスの影響によって、医療従事者、患者ともに感染のリスクにさらされる危険性が高まってきています。このような厳しい環境の中、手持ちのスマホやタブレットを用いて、遠隔で医師の診察が受けられる「オンライン診療」が注目を集めています。今回は、急速に広まりつつあるオンライン診療の概要をまとめました。
スマホひとつで簡単。オンライン診療で実現すること
オンライン診療とは、スマートフォンや携帯タブレットなどの端末機器を介して診察の予約から決済、処方せんの受け取りまでをインターネット上でおこなう新しい診療方法です。
診察は携帯端末を用いて、医師とイヤホン越しに会話しながらおこなわれます。医師は患部などをポインターでマークしながら画面越しに可視的な指示を送るため、患者は遠隔でも内容をきちんと把握することができます。医師との会話の内容はすべて録音できるため、聞き逃した説明があっても診察後即座に音声を再生して確認できます。
診察前の問診はもちろん、日ごろから体温や脈拍、血圧といったバイタルデータをアプリケーションに記録しておくことができるため、常時、医師―患者間で情報共有が図れます。診察の間隔が空いてしまったときでも、医師はわずかな数値の変化に気づくことができます。これによって、より正確かつ手厚い体調管理や適切なアドバイスを実現します。
コロナ禍で注目されるオンライン診療のメリット
病院と言えば、受付してから診察まで長時間待たされた挙句、会計にも時間がかかり心身ともに疲れ果ててしまう...... といった経験が皆さんあると思います。オンライン診療は希望の診察日時を決めてスマホひとつで申し込めるため、病院の待合室で長時間待たされることがなくなります。会計もスマホから可能で、会計時の待ち時間も同様に省略できます。通信環境さえ整っていれば外出先でも診察を受けることが可能なため、旅行先や介護施設など場所を選ばないフレキシブルさも魅力です。
特に現在は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていることから、その感染リスクを抑えることができるのがオンライン診療最大のメリットと言えるかもしれません。医師や看護師なども感染のリスクを軽減できるため、医療を提供する立場としても安心かつ集中して診察に臨むことができるのです。
オンライン診療の利用方法と手順
1. かかりつけ医にオンライン診療の対応ができるかを確認する
肝心の利用方法についてですが、オンライン診療を始めるにあたり、かかりつけ医にオンライン診療の対応ができるかを確認するところから始まります。また、以下のWEBサイトからも、全国のオンライン診療対応可能な病院を検索することができます。
全国オンライン診療実施医療機関リスト(一般社団法人日本医療ベンチャー協会)
2. 病院が使用しているアプリケーションをダウンロードする
かかりつけの病院がすでに導入済の場合、またはオンライン診療を導入している病院を紹介してくれる場合、その病院が使用しているアプリケーションを患者のスマホやタブレットにダウンロードします。
3. 受診を希望する日時を入力し予約する
初診以降、継続してオンライン診療ができると判断された場合、患者はアプリケーションを開いて受診を希望する日時を入力し予約します。通常診察前に記入する問診票も事前に記入しておきます。
診察後の会計は、クレジットカードによる決済が一般的です。高額な医療費がかかる場合でも、事前に銀行でお金を引き落とす手間が省けるため、時間的な負担は一切発生しません。
4. 配送される薬を受け取る
薬の受け取りについては、薬または処方せんが病院側から自宅などへ配送されます。処方せんの場合、薬の取り扱いがある薬局に出向く手間はかかるものの、トータルで大幅な時間短縮が図れることは間違いありません。
オンライン診療を利用する際の注意点
新型コロナウイルス感染予防に効果のあるオンライン診療ですが、遠隔での医療行為にはどうしても限界があります。当たり前ですが、注射や内視鏡、皮膚の切開など、医師や看護師が直接触れる治療は不可能です。また、定期的な受診が必要であり、複雑な医療機器を使用する人工透析などの治療も現実的ではありません。
オンライン診療を導入している多くの病院では、病気の内容にかかわらず初診の際は患者が直接病院に出向いて診察を受ける対面診療となるのが基本です。再診でオンライン診療をスタートできたとしても、途中でケガや病気の程度が重くなった場合、やはり通院が必要となるケースもおおいに考えられます。病院を選ぶ際は、自宅や介護施設から通える距離内で探すことも重要です。
現在、オンライン診療の導入を始めた病院も急速に増えていますが、一般的な"街中のかかりつけ医"の中には、ITの理解に乏しい年配の医師も多くいるため、オンライン診療に及び腰な病院も多く存在することでしょう。導入したとしてもインターネット環境になじめず正常な診察ができなかったり、老眼のため小さなスマホの画面がよく確認できなかったりと、重要な部分の見落としにつながることも考えられます。
最後に
オンライン診療の普及によって、患者の立場としてはさまざまな面において負担軽減につながるはずです。新型コロナウイルスの感染が終息した後も、便利で安心な新たな病院のあり方として検討が進むかもしれません。
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