介護のお役立ちコラム

スキマ時間に介護現場で副業ができる「介護スキルシェア」とは?|介護のコラム

スキマ時間に介護現場で副業ができる「介護スキルシェア」とは?|介護のコラム

更新日:2019.08.14

介護スキルシェア

政府が掲げる「働き方改革」によって、正社員勤務が難しい主婦層でも空いた時間を有効利用して働くことが可能な世の中に変わろうとしています。介護現場で働いたことのある経験者の中にも「家事や子育てが落ち着いてきたので、そろそろ職場復帰を......」と考えている人もいることでしょう。今回は空いた時間で副業を始めたい人向けの"介護スキルシェア"の紹介とあわせて、ニーズが広がる「混合介護」の分野で活躍できる可能性について展望します。

介護の世界でも広がるスキルシェア

「スキルシェア」とは、個人の能力や経験を生かして、それを必要とする人たちと共有(シェア)するビジネスを指します。企業が相次いで副業を認めるようになったことで、個人の空き時間を利用し、家計の足しにと副業を始める人が増えてきました。

人材を探す企業と仕事をしたい個人との接点については、オンラインマッチングサービスやクラウドソーシングの急成長によって、WEBサイトなどから求人情報と様々なスキルを持った個人の情報を閲覧することができるようになりました。手持ちのスマートフォンなどからでもアプリを使いリアルタイムで求人情報を確認できるほか、仕事を希望する日時などを事前に登録しておけば、スケジュールが合致するオススメの仕事情報をメールで知らせてくれるサービスも存在します。

介護の分野においては、豊富な現場経験がありながら結婚・出産を機に退職してしまった人材が多くいます。また「介護福祉士」や「社会福祉士」といった国家資格を有している人も多く、こういった資格は再就職する上でも有利に働き、何より社会的な信用があることの証明にもなります。

介護現場の仕事とはいえ、決して利用者の身体介助ばかりではなく、例えば、使った食器の洗浄、利用者に対してお話を聞くこと、レクリエーションのアイデア出しや実施などでも幅広いニーズがあります。介護現場の人手不足もあり、現場職員には負担の多い身体介助に徹してもらい、誰でもできるような単純作業はアウトソーシングしようという背景があるようです。

レクリエーションについては、職員が同じ内容を繰り返しがちでマンネリ化してしまう傾向があります。そこで外部のアイデアを取り入れて、ユニークで斬新な取り組みをレクに導入しようとする事業者も増えています。またレクの告知に使うチラシやポップアップ作成についても、スキルシェアサービスでプロのデザイナーを募集して、人目を引く個性豊かな物を作ろうとする取り組みもみられます。

混合介護の浸透で、フリーで働く介護士が増える?

混合介護の浸透とフリー介護士

介護スキルシェアによって、「混合介護」での人材募集が増えると見込まれています。

混合介護とは、利用者が費用を全額負担する介護サービスのことで、介護保険適用外のサービスを指します。夜間帯に宿泊できるデイサービス(通称:お泊りデイ)や外出時の送迎をおこなう介護タクシーなどが該当します。また、通常介護保険が適用する訪問介護においても、緊急性がなく直接的な介護に該当しない家事代行(ペットの散歩、庭の草むしり、車の洗車など)も介護保険適用外となります。

しかし、こういった家事代行や送迎も非常にニーズが高く、特にサポートしてくれる人が身近にいない一人暮らしの高齢者の場合は顕著です。そこで国は、現在利用している介護保険サービスと連続して混合介護を利用可能にするなど規制緩和に乗り出しました。

同時に価格の自由化によって新規事業者の参入も容易になり、若手経営者によるベンチャー企業も介護事業に参画するようになりました。ITを駆使したサービスの提供が活発になり、自社で介護職員を雇用するのではなく、クラウドソーシングを利用して、フリーランスで働ける人を幅広く集めて、地域や時間帯、スキルの程度など利用者のニーズに対して柔軟に提供するようにしています。そのため、介護現場への復職を考えている人も、まずはスキルシェアサービスに登録をして、自分のペースで仕事を再開できるメリットがあります。

気軽に参加できる仕組みで、介護現場で働く人の裾野を広げる

介護の現場で活躍できるのは、決して資格や経験のあるベテランだけとは限りません。スキルシェアによって、将来的に介護の世界で活躍する人を増やすためのきっかけづくりにもなるからです。

福祉の専門学校生や大学生がスキルシェアサービスに登録することで、事前に介護現場の雰囲気を知ることができ、就職に向けての下準備や介護業界へ就職するにあたってのミスマッチを減らすことにもつながります。また転職を考えていている介護士ならば、複数の施設で仕事に携わることで、自分に合った職場を知ることができ、そこで正社員として長く働くことも可能になるかもしれません。

多感な若い世代が、普段接点のない高齢者と触れ合うことはお互いにとっても大きな刺激になりますし、介護以外の分野でさまざまなスキルを持った人が事業者と接することは、介護業界全体の活性化にもつながることでしょう。

介護のスキルシェアを受けられるサービスをチェック

介護のスキルシェアを受けられるサービス

それでは、主に介護分野で強みを持つスキルシェアサービスを見てみます。

スケッター(Sketter)
食事介助や外出時の同伴のほかに、楽器の演奏、似顔絵描き、アロマやハンドセラピーなど福祉系以外で多様なスキルを持った人の登録が目立ちます。また、ボランティアでの参加も可能なので、「とりあえず介護の世界を知りたい」という初心者・未経験者でも気軽に参加できそうです。

クラウドケア
上記で取り上げた混合介護をターゲットとしていて、身体介助以外にも病院への付き添い、家事代行、話の聞き手などを幅広く募集しています。また、登録者への時給も高額に設定されていて、資格の有無による昇給もあるようです。サービス提供エリアは東京、神奈川、埼玉、千葉と都心に近い関東圏に限定されています。

I care you(アイケアユー)
同じく混合介護をターゲットとしており、幅広い介護保険適用外サービスに対応しています。(一般の方だと意味が通じにくいのかなと感じました)開始?からまだ3年程度ということもあり、サービスの提供が東京都の港区、品川区、中野区のみに限定されていますが、登録者の顔ぶれを見ると関東圏以外にも広がっており、意識の高さが伺えます。

アエルズ
身体介助や生活支援のほか、外出時の同伴サポートを強みにしており、全国の都道府県に地域に詳しい介護スタッフが登録しています。人材は厳選しているようで、NPO法人日本トラベルヘルパー協会と連携して、身元・経歴・資格の確認、研修と面談を実施しています。

まずは気軽に登録してみては

限られた時間内でしか働けない人のために、短時間やスポットで仕事を提供するマッチングサービスによって柔軟な働き方ができる世の中に変わろうとしています。しかし、歴史が浅いゆえ仕事に対する需要と供給のバランスが取れていないことや、トラブルが発生した際のアフターフォローなど課題はありそうです。自分のスキルと経験を生かしたい人も、未経験者で介護の世界を体験したいという人も、まずは気軽に登録をして自分のできるペースで第一歩を踏み出してみましょう。

■参考文献
スキマ時間に介護施設で働く「介護版スキルシェア」、介護業界の"関係人口"を増やす_ BUSINESS INSIDER JAPAN
厚労省 混合介護の提供ルール示す_シルバー産業新聞
混合介護で、わたしたちの介護はどう変わる?_LIFULL介護

■参考記事
希望に合った有料老人ホーム選びを~老人ホーム・高齢者向け住宅選び方セミナーレポート

 

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