介護のお役立ちコラム

在宅介護の限界点は? 親子の共倒れを防ぐために|介護のコラム

在宅介護の限界点は? 親子の共倒れを防ぐために|介護のコラム

更新日:2018.06.06
在宅介護の限界点.jpg 人生100年時代と呼ばれ、平均寿命は年々伸びてきているものの、健康寿命は横ばいがつづき、超高齢化社会も待ったなしの状態です。
 
 
両親や配偶者の介護や自分自身の老後に不安を抱えていない方はいないでしょうし、誰もが介護の問題と無関係ではいられない時代になっています。
 
 
人生100年時代をどう生きるか? 例えば、45歳で70歳の親の介護を始めたとします。親が100歳まで生きたと仮定すると、自身も75歳になっており、子どころか孫まで親子3代にわたって、介護が必要になるかもしれません。また老老介護や介護疲れによる事故も増加しています。
 
 
介護においてもっとも気をつけなければいけないのは、経済的にも精神的にも介護をする人と被介護者が共倒れになることです。
 
 
介護疲れ、介護うつ、介護離職などを防ぐために、今回は「在宅介護の限界点」を探っていきます。
 
 

在宅介護における悩み、課題とは?

では、現在在宅介護を行っている方は、どのようなことに負担を感じているのでしょうか?また1日にどのくらいの時間を介護に割いているのでしょうか?まず介護者のうち悩みをストレスを抱えている方は、全体の7割近くにのぼります。
 
 
介護の悩みやストレス.png <厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査 介護の状況」よりグラフを作成>
 
 
そして、下記のグラフは「性別にみた同居の主な介護者の悩みやストレスの原因の割合」(複数回答)をグラフにしたものです。
 
 
老後の悩みの種類.png <厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査 介護の状況」よりグラフを作成>
 
 
介護者の悩みは、当然のように男女ともに「家族の病気や介護」になっており、7割を超えています。次いで、「自分の病気や介護」となっています。介護者にとって、介護そのものがストレスや悩みだという結果となっています。続いてもグラフになりますが、より具体的な悩みや不安を見ていきましょう。
 
 
在宅介護の不安.png<厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査 介護の状況」よりグラフを作成>
 
 
上記は、在宅介護をしている方々が、「今後在宅介護を続ける上で不安を感じるもの」を要介護度別にアンケートをした結果になります(複数回答)。もっとも不安に感じているものが「認知症への対応」です。要支援の介護者では11.8%とあまり不安を感じていませんが、要介護1〜2では、40.3%。要介護3以上では、41.5%と急減に上昇しています。
 
 
また「外出の付き添い、送迎等」は、要介護2以下の介護者の方は、3割超が不安に感じているようですが、要介護3以上の介護者は17.8%と低くなっています。また「夜間の排せつ」も要介護3以上の介護者は3割超が不安に感じています。
 
 
また就業しながらの在宅介護者は、入浴や食事のお世話、日中の排せつといった介護に大きな不安を感じているという結果が出ていました。
 
 

要介護5になると1日の半分以上が介護に割かれる

在宅介護で要する時間.png<厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査 介護の状況」よりグラフを作成>
 
 
では、介護者は1日にどのくらい介護に時間を割いているのでしょうか?単純に「不安がある 」「ストレスになる」「悩みがある」とその度合は、百人百様です。逆説的になりますが、介護に対してなんのストレスや不安がないという方はほとんど存在しないと言えるからです。
 
 
上記は、要介護度別に介護者の介護時間をグラフにしたものです。要介護2以下の介護時間では、半日以下が過半を超えますが、要介護3からは急激に負担が増えてきます。
 
 
要介護3では、「半日程度」「ほとんど終日」を合わせて49%と約半数。これが要介護4になると65.1%(うち「ほとんど終日」が45.3%)。要介護5も65.4%と要介護4とさほど差がありませんが、「ほとんど終日」の割合が54.6%になり、2人に1人以上がつきっきりの介護をしていることになります。
 
 
要介護度が高くなるほど、ストレスや疲れ、不安を感じるようになり、その期間が長くなるほど、介護者は疲弊していきます。施設への入居を検討し始める段階は、要介護3以上で認知症の有無に加え、夜間の排せつなど昼夜を問わずにケアをしなくてはいけないことによる負担が要因のひとつだと考えられます。
 
 

在宅介護に限界を感じたら?

在宅介護の限界点.jpg 介護疲れが慢性化していると、共倒れになりかねません。現在は、介護は一人ではなく社会で支えようという動きが活発になっています。在宅介護で悩みや不安、疲れを感じたら、下記のような対策をとることが出来ます。
 
 

一人で抱え込まず相談をすること

まず大事なことは、一人で悩みを抱え込まないことです。配偶者、配偶者の親などの介護をする際に、肉体的・精神的な疲労の他に、多くの時間が介護に割かれるため、どうしても孤立してしまいます。孤立してくるとより心身に大きなストレスを受けます。ケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の高齢者福祉課、民間でもさまざまな無料の介護相談窓口がありますので、積極的に相談・コミュニケーションをとるのが良いでしょう。また介護仲間がいると強い拠り所となります。
 
 

介護保険サービス・ケアプランを見直す

現状のケアプランの見直しを検討してみましょう。介護保険サービスは、被介護者が第一ではありますが、介護者の負担軽減も大きな目的です。被介護者の状態も変化しますので、どのような介護が負担となっているのか? を念頭に置き、ケアマネジャーと相談しましょう。このように介護者の負担を減らす支援をすることを「レスパイトケア」といいます。
24時間対応の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」という新しい介護サービスもありますので、利用してみてはいかがでしょうか。
 
 
◎介護に疲れたときに利用したい、「レスパイトケア」
 
 

施設への入居を検討してみる

住み慣れた家で生活ができるのは非常にメリットがありますし、離れて生活することには抵抗があることかと思います。施設での介護のメリットは、24時間体制でケアが可能な点です。医療依存度や要介護度が高いとどうしても負担が増してきて、介護者が先に倒れてしまうリスクもあります。なぜ在宅介護なのか? を改めて考え直してみましょう。在宅介護では十分なケアができないなど、被介護者本人のために高齢者福祉施設に入居するという選択もあります。施設への入居は検討すべきポイントが複数ありますので、多角的な視点から考慮しましょう。
 
 
◎介護にかかる費用はいくら?在宅介護と老人ホームを比較
 
 
介護、予防、生活支援が連携」した「地域包括ケアシステム」の実現を目指しています。
 
 
しかし、まだ在宅医療サービスを行っている病院も少なく、医療依存度が高くなると在宅看護は厳しいのが現状です。また地域、医療機関、介護施設の密な連携も不可欠です。まだまだ整備は不十分な状態ですので、今後の環境整備により大きな期待がかけられます。
 
 

まとめ

親や配偶者の介護は最期まで住み慣れた環境で行いたい、というのはごく自然な気持ちです。しかし、老人ホームに入居させることに、罪悪感がある、親不孝である、という考え方が正しいとは言えません。
 
 
被介護者にとってベストな環境を考えたときに、老人ホーム等の高齢者福祉施設に入居する選択肢が存在し、介護者のケアも考慮したときに介護の期間が長くなれば長くなるほど負担は増してきます。
 
 
在宅介護を長くつづけるためにも、現在は多様な窓口やサービスが存在しますので、決して無理をしないようにご自身のケアも忘れないようにしましょう。
 
 

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