介護のお役立ちコラム

通院の介助の負担を減らす!介護タクシーの利用の流れや料金について|介護のコラム

通院の介助の負担を減らす!介護タクシーの利用の流れや料金について|介護のコラム

更新日:2016.10.13

家族を在宅で介護していると、課題となるのが病院への移動。身体に障害をもっている場合、車まで移動するにも介護者ひとりでは難しい場合があります。あるいは、通院のタイミングにどうしても家族が立ち会えないことも。

そんな、通院への悩みを解決するのが「介護タクシー」です。介護保険の適用も効く、この移動手段。聞いたことはあるけれど使ったことはないという方も多いでしょう。 今回は、介護タクシーの利用の流れや料金について解説していきます。

介護保険が適用される「介護タクシー」の利用条件

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まず、介護タクシーとはどのようなサービスなのか、その概要について説明していきます。 介護タクシーとは、自分一人では車に乗ることが困難な方や、一定以上の介護が必要な高齢者が外出する際に利用できる車両のことです。

ここで注意したいのが、「介護タクシー」というのは通称で、「介護タクシー」という名目の介護保険サービスは存在しません。訪問介護サービスに「通院等のための乗車または降車の介助」という内容が含まれていますが、この一連のサービスを提供する業態が「介護タクシー」と呼ばれています。

乗務員は介護職員初任者研修以上の資格をもっていて、車両への乗降だけでなく、家に入っての着替えの介助などもおこないます。介護タクシーは高齢者ならばだれでも利用可能ですが、介護保険が適用されるには以下の条件を満たさなくてはなりません。

●「要介護1」以上であること

●生活の拠点が自宅であること

●他人の介助なしで独力での移動が難しい状態にあること

●移動の目的が通院、または生活上必要な移動(金融機関や選挙の投票所への行き来など)であること

●上記などの理由を踏まえ、介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護タクシーの利用を必要と判断した場合

以上の条件から、入院中や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設といった介護保険施設で生活している方は対象外となります。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は居宅とみなされるため、利用可能です。公共交通機関を一人で利用できる方や、自分で運転ができる方など、介護タクシーを必ずしも必要としない方はもちろん対象外です。

また、家族など付き添い人の同乗も原則認められていないことから、基本的には独居高齢者向けのサービスと考えることができます。その他にも、介護タクシーに対応する訪問介護サービスと契約していること、介護保険サービスの支給限度単位数内であることなどが利用の条件です。

利用にあたっての手順と料金

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では、介護タクシーを利用するにあたっての手順と料金を紹介していきましょう。

利用手順

介護タクシーは原則ケアプランに則っての利用となるので、まずは担当のケアマネジャーへの相談が不可欠です。そこで「介護タクシーの利用が必要」という判断が出たら、介護タクシー事業者との契約を結び、解除内容や同乗者、利用目的などを相談。利用する日時を調整し、当日利用となります。

乗務員は利用者の許可を取って自宅に入り、高齢者の健康状態を確認し、ストレッチャーに乗せるなどして安全に車両まで移送します。また、その際に乗務員は外出準備の手伝い、および消灯や火気・施錠の確認もおこないます。

利用料金

介護タクシーの料金については、タクシーの移送料金+介護報酬で決められます。タクシーの移送料金は事業者によって異なりますが、介護報酬は国によって一定に定められており、以下の表の単位×単価をもとに決められます。(2020年7月時点)

1級地

11.40円

東京都特別区23地域

2級地

11.12円

東京都多摩市、神奈川県横浜市、大阪府大阪市など6地域

3級地

11.05円

埼玉県さいたま市、千葉県千葉市、愛知県名古屋市など24地域

4級地

10.84円

茨城県牛久市、千葉県船橋市、兵庫県神戸市など22地域

5級地

10.70円

京都府京都市、広島県広島市、福岡県福岡市など52地域

6級地

10.42円

宮城県仙台市、群馬県高崎市など137地域

7級地

10.21円

北海道札幌市、愛知県豊橋市など169地域

その他

10円

その他1308地域

利用者は介護保険により介護報酬1~3割負担なので、例えば東京都千代田区に住まいがあり、身体介助の必要のない方が、通常のタクシーなら1000円の距離を移動するとします。その場合、30分未満で計算し、

1,000円(タクシー料金)+〈11.40(円)×101(※単位)×0.1(介護保険の適用)〉 =1,115(円)※介護保険が適用できるサービスを、地域ごとに差が出ないよう数値化したもの

となります。料金は地域やタクシー事業者によっても異なるので、利用の際はタクシー事業者に確認をとりましょう。

介護保険適用有無で分かれる「介護保険タクシー」と「福祉タクシー」の違い

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ここまで、介護タクシーは介護保険が適用されると説明してきましたが、介護保険適用外の条件で営業している介護タクシー事業者も多く存在します。

繰り返しになりますが、介護保険適用範囲となる介護タクシーは、あくまで訪問介護サービスの一部分であり、通院目的など利用できる範囲は極めて限られたものになります。社会通念上「介護保険タクシー」と呼ばれることが多いですが、これも正式名称ではありません。

一方、サービスの内容に制限がなく、買い物や旅行といった目的で、家族など同乗者の有無を問わず乗車できる介護保険適用外のタクシーは、一般的に「福祉タクシー」などと呼ばれています。乗務員は介護の無資格でもサービス提供できるため、その場合、乗降時の介助は独力または家族がおこなうことになります。しかし、最近では介護職員初任者研修を取得した乗務員も増えているため、サービスの内容自体は介護保険タクシーと相違ないとも言えます。

福祉タクシーは介護保険の適用範囲外のため、料金は全額自己負担となります。目的が主に通院に限定される介護保険タクシーと違い、どのような目的でも利用することができます。ただし、介護保険タクシーも介護保険の適用を受けず全額負担すればその利用目的は無制限です。 

現在、多くの事業者が「介護タクシー」の名称で営業展開していますが、実際のところ福祉タクシーの形態をとっているところが多く見られます。両者の性質は異なるものなので、利用目的に応じて事業者を選別する必要があります。ただし、利用目的も家庭によってこまかな事情は異なるものなので、介護保険の適用範囲で利用できるかどうかは、ケアマネジャーへ確認するようにしてください。

おわりに

通院がどうしても負担だと感じられる方は、今回ご紹介した介護タクシーを利用することをおすすめします。ケアマネジャーおよび事業者とうまく連携できれば、非常に役に立つ手段となるはずです。 介護保険が適用されるか確認したうえで、プロの力を借りて高齢者にとっても介護者にとっても心地良い通院の実現を目指しましょう。

■参考文献
2019 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(厚生労働省ホームページ)
地域区分について 令和元年(厚生労働省ホームページ)

 

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