介護のお役立ちコラム
要介護認定を終えて届いた通知。「要介護2」と書かれているものの、その「2」という数字が何を意味するのかわからない、という方はいませんか?
あるいは、要介護度が「要支援2」から「要介護1」に上がった。「それでいったい何が変わるのだろう?」そうお思いの方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は要支援1~2・要介護1~5までの7区分、どのような違いがあるのかまとめました。
【監修者】
木村 眞樹子医師
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。
「自立」「要支援」「要介護」とは
自立
「歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行うことが可能であり、かつ、薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある状態」と定義されます。独力で日常生活全般をこなすことができるため、介護保険サービスの利用は認められません。
要支援
「日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分でおこなうことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態」と定義されています。
つまり、基本的な日常生活は独力でおこなうことができるものの、歩行困難や軽度の物忘れがみられるなど、多少の支援が必要な状態を指します。
要介護
「日常生活上の基本的動作についても、自分でおこなうことが困難であり、何らかの介護を要する状態」と定義されています。
つまり、日常生活全般において、独力で家事、移動、金銭管理、服薬管理などをおこなうことが難しく、だれかによる手助けが常時必要な状態を指します。
要介護度が変われば何が変わる?
要介護度は、要介護認定の審査によって決まりますが、この介護度の違いによって変わるのは2つ、「介護保険支給限度額」と「利用できるサービスの種類」です。
通常、介護保険サービスを利用する際は介護保険が適用されるため、個人負担は所得などに応じて1~3割となりますが、その利用には限度があります。要介護度が高いほど、その支給額の限度も高く設定されています。
また、要支援1~2と要介護1〜5の方とでは、利用できるサービスの種類が異なります。要支援の方が受けるのは「介護予防サービス」または自治体主導による「介護事業・日常生活支援総合事業」、要介護の方が受けるのは「介護サービス」という区分です。この区分の違いによって、例えば要支援の方はレンタルできる福祉用具に制限がかかることがあります。
特別養護老人ホーム(特養)は原則として要介護3以上の方が入居対象となります。逆に、有料老人ホームの中には重度の要介護度では入居を断られるケースもあります。 まとめると、以下のようになります。
要介護度によって、介護保険支給限度額が異なる。
要支援と要介護では利用できるサービスが異なる。
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要介護認定の基準
要介護度の決定は2段階でおこなわれます。まずは、住まいのある市区町村の認定調査員が直接自宅まで出向き、介護サービスを受ける本人に対して聞き取り調査(認定調査)を実施します。この調査結果をもとに、コンピューターによる一次判定がおこなわれ、暫定的に要介護度(自立(非該当)、要支援1~2、要介護1~5)を決めます。その後、一次判定の結果と、医師によって作成される「主治医意見書」をもとに介護認定審査会により二次判定がおこなわれ、最終的な要介護度が決まります。
認定基準の内容についてですが、介護にかかる手間を
①直接生活介助(入浴、食事、排せつの介護)
②間接生活介助(洗濯、掃除といった家事援助など)
③問題行動関連行為(徘徊、不潔行為についての対処)
④機能訓練関連行為
⑤医療関連行為
の5つの分野に分けた上、各項目についてかかる時間(要介護認定等基準時間)が要介護度を振り分ける際の大きな基準となっています。
要介護認定等基準時間の分類
要支援1〜2・要介護1〜5の状態・支給限度額・利用サービス例
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
要支援1
先に説明したように要支援1・2の場合は介護予防サービスの利用となります。サービスを利用するためには、地域包括支援センターで「介護予防ケアプラン」を作りましょう。
状態
①居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある。
③排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市) ※目安とお考えください
利用サービス例(支給限度額:月50,320円)
・週1回の(介護予防)デイサービス
・週1回の(介護予防)ホームヘルプサービス
・月2日の(介護予防)ショートステイ
・介護用具レンタル(歩行補助つえ)
要支援2
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
④排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月105,310円)
・週2回の(介護予防)デイサービス
・週2回の(介護予防)ホームヘルプサービス
・月2回の(介護予防)訪問看護
・月2日の(介護予防)ショートステイ
・介護用具レンタル(歩行補助つえ)
要介護1
要介護からは、適用されるサービスが「介護予防サービス」から「介護サービス」になります。地域包括支援センターではなく、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談してケアプランを作成することになります。
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
④排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
⑤問題行動や理解低下がみられることがある。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月167,650円)
・週2回のデイサービス
・週3回のホームヘルプサービス
・週1回の訪問リハビリ
・月4日のショートステイ
・介護用具レンタル(歩行補助杖)
要介護2
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
④排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
⑤問題行動や理解低下がみられることがある。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月197,050円)
・週2回のデイサービス
・週3回のホームヘルプサービス
・月2回の訪問看護
・月4日のショートステイ
・介護用具レンタル(歩行補助杖、ベッド)
要介護3
特養の場合、原則としてこの要介護3からが入居条件となります。
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
④排泄が自分ひとりでできない。
⑤いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月270,480円)
・週3回の認知症対応型デイサービス
・週1回のホームヘルプサービス
・週1回の訪問看護
・月7日のショートステイ
・介護用具レンタル(ベッド、徘徊センサー)
要介護4
要介護度が高くなると、外部の介護サービスを利用している住宅型有料老人ホームではサービス費用が割高になり、サービス支給限度額を超えてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
④排泄が自分ひとりでできない。
⑤いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月309,380円)
・1日2回の巡回型訪問介護 ・週1回の訪問看護
・週1日の訪問入浴
・介護用具レンタル(ベッド、車いす)
要介護5
状態
①見だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない。
②立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
③歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできない。
④排泄や食事がほとんどできない。
⑤多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
引用元:要介護度別の状態区分(静岡市)
利用サービス例(支給限度額:月362,170円)
・1日3回の巡回型訪問介護 ・週4回の訪問看護
・週1日の訪問入浴
・介護用具レンタル(ベッド、エアマット)
要介護度の変更時には、受けられるサービスの内容を確認しておきましょう。
要介護度がひとつ変わるだけで、介護サービスの利用額や内容も大きく変わります。週2回の通所介護(デイサービス・デイケア)を週3回に増やすことができたり、介護用ベッドをレンタルできたりします。
特に、要支援2と要介護度1ではサービスそのものが適用される幅が大きく異なります。要介護度が変更になった際は、担当のケアマネジャーに受けられるサービスの種類や頻度について確認しておくようにしましょう。
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