介護のお役立ちコラム
介護保険サービスを利用するには、自治体で「要介護」の認定を受ける必要があります。今回の記事では、高齢者が要介護となる前の「要支援」について解説します。要介護との違いや支給限度額、受けられる介護サービスの内容などをチェックして制度をうまく活用しましょう。
要介護認定までの流れと認定基準
「要介護」や「要支援」などの状態の区分は、要支援1・2と要介護1~5の7段階に分けられます。
要介護認定を受けるまでの手順は、以下の通りです。
- 【要介護認定までの流れ】
- 1.地域包括支援センターに連絡
- 2.要介護認定の申請をする
- 3.自治体の認定調査員あるいは委託されたケアマネジャーの訪問調査を受ける
- 4.コンピュータによる一次判定を実施
- 5.一次判定の結果と医師が作成する「主治医意見書」をもとに二次判定を実施
- 6.要介護認定の通知が届く
要介護認定を申請してから結果の通知が届くまでの期間は、30日程度です。
また要介護認定は、以下の5つのケアにかかる時間(要介護認定等基準時間)を基準にして次の表のように定められています。
- 1.直接生活介助(入浴、食事、排せつの介護)
- 2.間接生活介助(洗濯、掃除といった家事援助など)
- 3,問題行動関連行為(徘徊、不潔行為についての対処)
- 4.機能訓練関連行為(歩行や日常生活の機能訓練)
- 5.医療関連行為(輸液管理や褥瘡の処置などの補助)
ちなみに、要支援・要介護に該当しない状態は、「自立(介助などを必要としない)」とされます。要介護度が上がるほど手厚い介助が必要で、「要介護5」では意思疎通が難しくなったり、終日寝たきりになったりするケースも多くなるようです。
要支援1の状態とは?
次では、「要支援1」の状態について詳しくみていきましょう。まず、厚生労働省は、要支援状態について以下のように定めています。
すなわち、「要介護」になる一歩手前で、一部介助を受けながらであれば独力で生活できる状態だと言えます。要支援1はそのなかでも軽度で、歩行や嚥下(飲み込み)機能など身体に目立った衰えはなく、年相応の物忘れなどはありつつも認知症などは見られないケースが多いようです。そのため、一人暮らしも可能です。ただし、家事や身支度の際に一部サポートが必要なことはあります。
要支援1と要支援2の違いは?
要支援1について理解したうえで、次では「要支援1」と「要支援2」の違いについてみていきましょう。
「要支援1」では、炊事、服薬管理、金銭管理、電話の応対など、記憶力が必要かつ計画立てて行動することが求められる動作については若干の介助が必要なものの、食事、入浴、着替えなどの動作は基本独力で行えることが前提となっています。この一連の行動について「要支援1」より身体能力の低下がみられる場合に、「要支援2」に認定されるケースが多いようです。
たとえば要支援2になると、立ち上がりや歩行の際に支えが必要になるケースがあります。また家事や身支度についても、要支援1よりサポートが必要になります。
前述の要介護認定等基準時間でみると、要支援1から要支援2になると介護に必要な時間が増えて負担が重くなっていることがわかるでしょう。
- 要支援1:25分以上32分未満
- 要支援2:32分以上50分未満
要支援1の支給限度額
介護保険サービスでは、要介護度に合わせて支給限度額が定められています。つまり、保険が適応されるのはその金額までということです。
「要支援1」の支給限度額は、50,320円(2021年12月現在)です。1ヶ月あたりこの金額までの介護サービスが保険適応で利用でき、自己負担が1割の方の場合は5,032円が負担金額となります。支給限度額を超える分については、全額利用者負担となるので覚えておきましょう。
訪問介護やデイサービス(通所介護)で介護予防サービスを利用する場合、その頻度は週に1~2回となるでしょう。
受けられる介護予防サービスについて
「要支援1」で受けられるのは、主に以下のような介護予防サービスです。
介護予防サービス
◎訪問系
介護予防訪問入浴
介護予防訪問看護
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防居宅療養管理指導
◎通所系
介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
◎宿泊型
介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
◎施設入居型
介護予防特定施設入居者生活介護
◎福祉用具や住宅改修
介護予防福祉用具貸与
特定介護予防福祉用具販売
住宅改修
地域密着型介護予防サービス
◎通所系
介護予防認知症対応型デイサービス
◎多機能型
介護予防小規模多機能型居宅介護
デイサービスと訪問介護については、現在介護保険から切り離されて自治体主導の「地域密着型サービス」として提供されており、例外を除いて居住する地域で受けることになります。家事など日常の援助を受けたい場合は、介護予防生活支援サービス事業で訪問型サービスを受けることになります。
介護予防生活支援サービス事業
◎訪問系
訪問型サービス(ホームヘルパー)
◎通所系
通所型サービス(デイサービス)
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NPO法人やボランティア団体の協力体制がカギに
多くの要支援の高齢者の場合、住み慣れた地域で暮らしながら介護予防サービスを受けるのが一般的でしょう。
在宅介護の広がりで注目されているのがNPOやボランティアなどからの支援で、安否確認や話し相手になるような簡単な日常支援をメインに取り組んでいます。少子高齢化問題に積極的に取り組んでいる自治体では、NPOと協働で専門家などを派遣し、体操教室、歯みがき指導(口腔ケア)、IT機器の使い方講座、ハンドセラピーといった支援に取り組んでいるケースもあります。
介護予防サービスを積極的に活用しよう
「要支援1」は比較的軽度な状態で、サポートも一部で問題ありません。ただし、転倒によるけがや認知症をきっかけに重度になる可能性も十分あります。介護予防サービスをうまく活用して、長く健康でいられるように早いうちから心掛けましょう。
また、要支援でも有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居は可能です。施設によっては自立や支援1~2の方も一定数入居されています。入居を迷ったらさがしっくす入居相談室の施設案内のプロに相談してみましょう。
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