介護のお役立ちコラム

家族が認知症になったら......。親身に相談に乗ってくれる窓口とは|認知症のコラム

家族が認知症になったら......。親身に相談に乗ってくれる窓口とは|認知症のコラム

更新日:2017.03.06

家族が認知症になってしまったら、あなたはどうしますか? 「同じことを何度も繰り返し話す」「家族の名前を間違える」「外出したまま自宅に帰れなくなった」......。このように、認知症の兆候が見られて不安に感じたときや、あるいは認知症の介護に疲れてしまったとき、どこに相談すればよいのでしょうか? 認知症を「家庭の問題」だと決めつけて、自分ひとりで抱え込んでしまうケースは非常に多いですが、それでは結果的に介護うつにつながる可能性もあります。今回は、家族が認知症になった際の相談窓口について解説していきます。

認知症が疑われたら、まずは「専門医」の診療を

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認知症は初期の対応がその後の病状の進行にも大きく影響してくるため、まずは認知症に詳しい専門医の診察を受けることが重要です。脳神経外科や心療内科などでも診察が可能ですが、近年、認知症を専門に診る「物忘れ外来」を併設した病院が増えてきています。そのため、自宅の近くに「物忘れ外来」のある病院がある場合、まずは電話で相談してみるとよいでしょう。 自宅の近くで見当たらない場合は、インターネットで検索してみましょう。再検査やカウンセリングで定期的に通院することになる可能性もあるため、なるべく自宅から車や電車で通いやすい病院を選ぶことが重要です。 もしどうしても専門の病院が見つからない場合、近所にあるかかりつけの病院に相談してもよいでしょう。詳しい検査が必要となった場合、担当医が診察や検査ができる病院を紹介してくれます。

認知症外来についてはこちらもどうぞ 早期発見が認知症治療のカギ!「物忘れ外来」の受診の流れと注意点

介護保険の申請は、住まいのある市区町村の役所窓口で

病院での検査で、認知症あるいはその疑いが強いと診断された場合、今後のケアをおこなっていくために、介護保険の申請が必要となります。 介護保険の適用が認められれば、通所介護や短期入所などのサービスや福祉器具のレンタルを、少ない自己負担(1~2割負担)で受けることができます。介護保険制度の活用は、高齢者本人の生活を充実にさせるばかりでなく、日ごろ介護や見守りをおこなう家族の負担も軽減させます。 介護保険の申請は、住まいのある市区町村の窓口(福祉課など)でおこなうことができます。申請が無事に受理された後、役所の担当者が自宅を訪れ、本人に聞き取り調査を実施し、その調査結果と医師からの主治医意見書をもとに介護認定が下されます。申請から認定までの期間は約1か月ほどです。

高齢者とその家族の強い味方「地域包括支援センター」

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介護保険の申請は、市区町村の福祉課だけでなく「地域包括支援センター」と呼ばれる機関でも受け入れています。地域包括支援センターは、市区町村から受託された医療法人や社会福祉法人などによって運営されており、役所まで遠くて通いづらい場合や、役所の込み入った雰囲気が苦手という人でも安心して通うことができるでしょう。 勤務するスタッフは、社会福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)といった"介護のプロ"であるため、介護にまつわる相談や悩みなども親身になって聞いてくれるはずです。高齢者に必要な介護の計画書である「ケアプラン」はケアマネジャーが作成するため、身近にこのような機関があるだけで、ケアプランのこまめな見直しや、家族の意見を柔軟に聞き入れてくれるといった安心感もあります。

介護に行き詰まったら。「認知症の人と家族の会」と「認知症カフェ」

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外部の介護サービスを定期的に利用していても、ともに過ごす時間の長い家族だからこそ感じる悩みもあることでしょう。「介護に行き詰まりを感じている」「相談とまでは言わないけど愚痴だけでも聞いてほしい......」 そんな家族が抱える悩みの解決への糸口となる相談窓口も、全国に広がっています。

公益社団法人「認知症の人と家族の会」では、認知症に関する相談受付をはじめ、認知症に詳しい知識人によるセミナーを開催しています。全国47都道府県に支部を構えているのため、相談があれば最寄りの支部へ連絡できる安心感もあります。会員同士のコミュニケーションも活発におこなわれており、会合などで知り合った人同士が個人的に連絡を取り合い、情報交換や悩みの相談なども自主的におこなわれています。

また最近では、「認知症カフェ」と呼ばれる有志の団体による認知症ケア、および家族の相談窓口も見られるようになりました。認知症カフェはNPO団体や地域の医療法人、社会福祉法人などによって運営されています。昼食やお茶を楽しみながら、認知症の高齢者とその家族同士が気軽に触れ合えるスペースです。 形態はさまざまですが、一般の民家や病院、高齢者施設の一室を開放しているのが一般的で、デイサービスが休みの日曜日に実施しているケースも見られます。食事だけでなく、体を動かすエクササイズ教室や、手芸や料理のレシピなどのカルチャー教室まで、その内容は多岐にわたります。 毎日開催されているわけではありませんが、市区町村の福祉課や地域包括支援センターの窓口でも、こういった取り組みを知らせるリーフレットでスケジュールを確認できます。ホームページを持っている認知症カフェもあるので、インターネットで常に情報をチェックしておくようにしたいものです。

認知症の人と家族の会・認知症カフェについてはこちらの記事もどうぞ 認知症家族のストレスを軽減する「認知症カフェ」と「認知症の人と家族の会」

あなたはひとりじゃない

以前と比べて「認知症」の方への理解も一般に広まってきましたが、いざ家族が認知症と診断を受けた場合、なかなか人には相談しにくいものです。しかし、ひとりで悩んでいても何も解決しません。 まずは信頼できる誰かに相談して、自分はひとりじゃないと知ることが重要です。もしかしたら、認知症の方の介護経験がある方が身近にいるかもしれません。専門家や経験者のアドバイスを取り入れながら、ストレスのないケアを実践していきましょう。

■参考文献
『U-CANの認知症介護マニュアル』ユーキャン学び出版 認知症介護研究会 『
兄弟は他人の始まり 介護で壊れゆく家族』真島久美子著 講談社
公益社団法人 認知症の人と家族の会
 

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