知っているようで知らない、
老人ホームの基礎知識。
【徹底解説】老人ホームのメリットとデメリットとは
【徹底解説】老人ホームのメリットとデメリットとは
多くの方がご存知のように老人ホームにはいくつかの種類があります。それぞれにメリットデメリットが存在し、入居者やその家族はその特徴から自由に施設を選択できます。今回は老人ホームそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
目次
在宅ケアとの比較から見る老人ホームのメリットデメリット
老人ホームは多くの種類がありますが、どの種類の老人ホームにも共通するメリットとデメリットを紹介します。
入居する高齢者のメリットデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
老人ホーム |
・家族以外との接触機会が増加し刺激になる。 ・イベントなどで変化・刺激に富んだ生活が出来る。 ・介護の専門家による質の高いサービスを受けられる。 |
・排泄や入浴などを他人に介護されるストレスを感じる。 ・家族と離れて疎外感を感じる。 ・集団生活によるストレスを感じる。 ・感染症のリスクが高くなる。 ・制約の多い生活を強いられる(特に介護度が低い場合)。 |
在宅ケア |
・住み慣れた環境で家族と一緒に過ごせて安心できる。 ・家族ならではの心のこもった介護を受けられる。 |
・家族では介護の専門家のようなことは出来ず不十分な介護対応しか受けられない。 ・家族だから逆にあまり無理なことを依頼できない面もある(特に実子でない場合)。 |
家族のメリットデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
老人ホーム |
・心身の負担を軽減出来る。 ・専門家の24時間介護で安心出来る。 ・24時間介護で緊急時の対応も専門家による速く対応で安心出来る。 |
・費用負担が多い。 ・24時間いつでも自由に会えない ・家族で介護してあげられない罪悪感にかられる。 ・いつでもすぐに入居できない可能性がある。 |
在宅ケア |
・家族の愛情を24時間いつでもそそげて、細かい希望や要望にも沿えて満足度の高い介護が出来る。 ・費用負担が軽い。 |
・外出などが自由にできない。 ・高齢者が気持ちよく感じる専門的な知識に基づいた介護をしてあげられない。 |
老人ホーム入居のメリットデメリットをまとめると、医療や介護の専門家による24時間のケアを受けられることです。特に介護度が高い高齢者や認知症のある高齢者は、そのメリットは極めて大きくなります。デメリットとしては住み慣れた自宅で家族による思いやりのある介護をしてあげられないという罪悪感や介護費用の問題があります。費用の問題は、いろいろな施設を見て十分な検討をすることで負担の軽減に繋げられます。
一方、在宅ケアの最大のメリットは、住み慣れた自宅で高齢者と家族が24時間一緒に生活を続けられることです。費用も老人ホーム入居に比べれば小さい負担で済みます。逆に最大のデメリットは、家族の心身両方の負担が大きくなることです。必要に応じて訪問介護サービスを利用しても十分な解決に至らない可能性があります。また、少子化や核家族化の進展で家族全員の協力も得られにくくなっている問題も増加し、老老介護で共倒れになる事件も起きています。
老人ホームへの入居については、高齢者と家族の双方についてのメリットとデメリットを理解したうえで、老人ホームの種類別のメリットとデメリットを知れば適切な老人ホームを選べます。次に、種類別老人ホームのメリットデメリットを紹介します。適切な老人ホームを選ぶことでメリットを生かして、デメリットを軽減させられます。
介護付老人ホームのメリットデメリット
介護付老人ホームは、名称のとおり充実した介護サービスが外部業者に依頼することなく受けられる施設です。自立した生活が出来る高齢者から要介護の高齢者まで幅広く入居が可能です。また、提供されるサービスや居室・設備のグレードなどの幅も広く自分に合った施設を選べます。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・介護認定を受けていない高齢者から要介護の高齢者まで「自立型」「介護専用型」「混合型」の3種類から状態や目的に合わせて選べる。 ・24時間の介護サービスが受けられ緊急時にも安心できる。 ・毎月の費用が予定しやすい。 ・居室が広めで夫婦でも入居できる。 |
・初期費用が高め。 ・自立した生活が出来る人にとって介護サービス費用が無駄になる。また制約の多い生活となる ・様々な特色のある施設など幅が広く選ぶのが難しい。 ・外部の介護サービスが利用できない。 |
住宅型有料老人ホームのメリットデメリット
住宅型有料老人ホームは、要介護度が低く比較的自立した生活が可能な高齢者に適した施設です。自立した生活が出来なくなって介護が必要になっても、外部の介護サービスを受けられます。イベントやレクリエーションが豊富で変化に富んだ生活が可能です。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・自立した生活ができる高齢者から介護度の高い高齢者まで入居が出来る施設が豊富にある。 ・設備やサービスで幅広い施設のなかから選択できる。 ・豊富なイベント、レクリエーションが行われる。 |
・要介護状態が重度になると継続した入居が困難になる。 ・要介護度が高いと介護サービス費用が高額になる。 ・費用が比較的高めである。 |
特別養護老人ホームのメリットデメリット
特別養護老人ホームは、家族による常時介護が困難で、かつ病気や障がいなどで自立した生活が出来ない高齢者が入居出来る公的な施設です。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・公的な施設のため費用が比較的安い(入居金などの初期費用が不要)。 ・専門スタッフの設置基準があり専門的なケアが実施される。 ・介護度が高くても入居でき、かつ長期間の入居が可能である。 |
・待機者数が多く入居が難しい(介護度が高い高齢者は以前より入居しやすくなっている)。 ・要介護3以上でないと入居出来ない。 ・たん吸引などの医療処置が出来ずに退去しなければならない可能性がある。 |
介護老人保健施設のメリットデメリット
介護老人保健施設は、病状が安定して医療とリハビリが必要な要介護の高齢者に対し、専門スタッフが医療・介護と機能訓練を行うことで、自宅へ戻れることを目的とする公的な施設です。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・公的な施設のため費用が比較的安い(入居金などの初期費用が不要)。 ・専門スタッフ(医師など)の設置基準があり専門的な医療やケアが実施される。 ・十分なリハビリができる。 |
・ターミナルケア(終末期看護)は原則として受けられない。 ・退所できると判定されると継続した入居ができない。 ・入居待ち期間が長い ・リハビリ時間が多く自由時間が少ない。 |
グループホームのメリットデメリット
グループホームは、家族にとって24時間気の抜けない介護が必要になる認知症の高齢者の介護を専門スタッフが行う施設です。認知症高齢者は増加しており専門的な介護ケアを担う介護施設としての重要性が高まっています。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・認知症高齢者でも生きがいを持って生活出来る。 ・認知症専門スタッフによるケアを受けられる。 ・共同生活で刺激を受けた生活が出来る。 |
・認知症であれば必ず入居が出来るわけではない。 ・共同生活が苦手な人には向いていない。 ・要介護度が上がると退去になる可能性がある。 |
サービス付き高齢者向け住宅のメリットデメリット
サービス付き高齢者向け住宅は、独立した部屋でプライバシーが守られ、制約の少ない自由度の高い生活が出来て安否確認や生活相談のサービスを受けられる施設です。そのメリットデメリットについて紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・自由度の高い生活ができる。 ・完全個室でプライバシーが守られる。 ・高齢者でも入居しやすく、退去させられにくい。 ・施設の選択肢が広い。 ・初期費用が比較的低額で済む。 |
・要介護度が高くなると退去させられる場合がある。 ・施設ごとにサービスが異なり適切な施設選びが難しい。 ・介護サービスを受けるときは別途外部事業者と契約が必要。 ・夜間の見守り体制が弱い |
老人ホームへの入居はメリットとデメリットをよく理解して決定しよう
老人ホームを検討するときは、家族のメリットデメリットと入居する高齢者のメリットデメリットそれぞれをよく検討することが重要です。どちらか一方の視点で決定するのは避けましょう。
そして老人ホームの種類は多く、それぞれにメリットデメリットがあります。高齢者と家族の双方が質の高い生活を送ることが出来るよう、メリットとデメリットをよく検討し、合理的な老人ホームを選びましょう。