知っているようで知らない、
老人ホームの基礎知識。
リハビリ体制の整った老人ホームはあるの?老人ホームで出来るリハビリとは
リハビリ体制の整った老人ホームはあるの?老人ホームで出来るリハビリとは
リハビリの内容を重視して、老人ホーム選びをしようと考えている方も多いでしょう。ここではリハビリ体制が整った老人ホームにはどんな種類があるか、それぞれの種類の特徴を詳しく解説します。また老人ホームで受けられるリハビリの種類と各リハビリの特徴についても紹介しています。
目次
リハビリ体制の整った老人ホーム3種類
老人ホームの中にも、リハビリ体制が整った施設があります。ここでは、十分なリハビリが受けられる以下3種類の老人ホームについて、それぞれの特徴を詳しく解説します。
- ① リハビリでの在宅復帰を目的とする介護老人保健施設
- ② リハビリ体制の整った介護療養型医療施設
- ③ リハビリを重視する民間の老人ホーム
① リハビリでの在宅復帰を目的とする介護老人保健施設
介護老人保健施設は、リハビリによって在宅復帰を目指す高齢者向けの介護施設です。入院治療の必要はないものの、食事・入浴・排せつといった日常生活上の介護やリハビリを必要とする高齢者が対象となります。施設では、利用者ごとの施設サービス契約(ケアプラン)に基づき、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)といった専門家によるリハビリを受けることができます。
② リハビリ体制の整った介護療養型医療施設
医療とリハビリの体制が充実した介護施設です。必要な医療サービス、リハビリ(機能訓練)の他、食事・入浴・排せつといった日常生活上の介護を受けることが出来ます。介護療養型医療施設の対象となるのは、病状は安定し入院の必要まではないものの、自宅での生活が難しい高齢者です。
③ リハビリを重視する民間の老人ホーム
最近では、民間の老人ホームでもリハビリに力を入れている施設が多くなっています。提供されるリハビリの内容も様々で、専門家による品質の高いリハビリを受けられる施設や、独自のリハビリプログラムを運営している施設もあります。一口にリハビリといっても施設ごとに内容が異なるので、興味があれば直接対象の施設へ問い合わせて確認するようにしましょう。
老人ホームで受けられる4種類のリハビリとは
老人ホームで受けられるリハビリも、細かく見ていくといくつかの種類に分かれそれぞれ役割が違います。
- ① 理学療法士(PT)によるリハビリ
- ② 作業療法士(OT) によるリハビリ
- ③ 言語聴覚士(ST) によるリハビリ
- ④ 生活リハビリ
種類の特徴や具体的なリハビリの内容について詳しく解説します。
① 老人ホームで受けられる理学療法士(PT) によるリハビリ
理学療法の目的は、怪我や障害、高齢などで失われた身体機能や運動能力を回復させることです。
理学療法士(PT)とは
理学療法士(PT)とは、簡単に言うと運動機能を回復させるリハビリのスペシャリストです。骨折などの運動器疾患や脳梗塞などの脳血管疾患、脊髄損傷、さらには加齢といった原因により失われた運動機能を回復・維持するのが理学療法士の役割です。
リハビリ内容
大きく分けて運動療法・物理療法の2種類があります。運動療法とは、機能が低下している部位とその周辺についてゆっくり動かすなどして正常な状態に戻す訓練や、立つ・座る・起き上がるといった基本動作の訓練などです。また車イスや杖、歩行器を使ったリハビリも運動療法に含まれます。対して物理療法とは、マッサージや電気治療・温熱治療によって痛みの緩和や運動機能の向上を目指す療法を指します。
② 老人ホームで受けられる作業療法士(OT) によるリハビリ
作業療法の目的は、心身に障害がある方が、日常生活を送るのに必要な能力を回復させることです。
作業療法士(OT)とは
理学療法士(PT)が運動機能の回復を目指すのに対し、作業療法士はそこから一歩進んで応用的な動作が行なえる能力の回復を目指します。具体的には食事やトイレ、外出などのような日常的な行為を自分で行えるようリハビリによって導くのが作業療法士(OT)の仕事です。
また理学療法士(PT)によるリハビリで、運動機能が完全に回復しないとわかった場合に、作業療法士(OT)は、今ある運動機能で任意の動作を行えるようリハビリします。たとえば、足は完全に動かないが自分で歩行出来るようにしたい、ということなら、補助具を使うなどしてそれを実現できるようにリハビリします。
リハビリ内容
機能が低下した特定の部位を動かすなど、理学療法士が担当するのと同様のリハビリを、作業療法士も行うことがあります。加えて作業療法士はさらにその動作を応用して、絵画・手芸・木工といった作業によるリハビリを行います。
さらに、食事・着衣・脱衣・トイレのような日常的な動作を自立して行えるようにするリハビリも作業療法士の担当です。加えて、ゲームなどによる精神的なリハビリを行い、認知症の予防や進行防止、生活意欲向上を目指すリハビリも行います。
③ 老人ホームで受けられる言語聴覚士(ST) によるリハビリ
理学療法士(PT)と作業療法士(OT)がどちらかというと身体全体を対象とした目的であるのに対し、言語聴覚士(ST)によるリハビリは「口」や「耳」に関するリハビリがメインとなります。
言語聴覚士(ST)とは
言語聴覚士(ST)の主な役割は、文字通り「言語」によるコミュニケーション能力の障害の改善です。言語聴覚士(ST)は、その問題の原因を調べ、リハビリを行います。
ただ言語聴覚士(ST)によるリハビリは、言語に関する能力にとどまりません。言語を発する口唇や舌などは、接触・呼吸のためにも必要な器官であり、言語障害と食べる機能の障害には関連性があります。そのため、言語聴覚士(ST)は、言語に関するリハビリに加え、摂食・嚥下(えんげ)機能に関するリハビリも行います。
リハビリ内容
言葉によるコミュニケーションの訓練から、口を開けたり噛んだり飲み込んだりといった日常生活に必要な動作のリハビリを行います。その際、必要に応じて補聴器・点字器を利用します。
そして老人ホームにおいて、言語聴覚士(ST)が行うリハビリの代表的なものが嚥下訓練です。冷たい氷を口に入れたり、凍らせたスポンジで喉を刺激したりして嚥下反射を誘発する「アイスマッサージ」も、嚥下訓練の例です。
④ 老人ホームで受けられる生活リハビリ
生活リハビリとは、これまで説明してきた理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が行うリハビリとは大きく異なるものです。生活リハビリは、特別なプログラムのもとで行われるリハビリではありません。着替え・食事・トイレ・入浴といった日常生活上の動作自体をリハビリの一環として捉え、それらを自分の力で出来るよう支援することです。たとえば居室内のトイレへ、車イスなしで行けるよう介護士が補助しながら歩くといった行為も生活リハビリの例です。
リハビリを重視して老人ホームを選ぶ際の注意点
レクリエーションやイベントの企画内容を確認しましょう。可能ならば実施日と見学日を合わせて、参加者の表情や職員の取り組み姿勢なども同時にチェック出来ればいいですね。
老人ホームで満足できるリハビリを受けるために
老人介護施設や介護療養型医療施設では充実したリハビリを受けることが出来ます。また民間の老人ホームの中にもリハビリ体制が整った施設はあります。
そして老人ホームのリハビリといっても、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)といった専門家によるリハビリから日常的な動作を使った生活リハビリまで様々です。リハビリを重視して老人ホームを選ぶ際は、これらのポイントを把握しておいて施設比較をするとよいでしょう。