

どの施設が自分に適しているのかを
知っておきましょう。
老人ホームの種類と選び方完全ガイド|施設の特徴や費用を徹底解説
更新日:2025/04/08
親の介護で悩んでいませんか。自宅での介護に限界を感じ、施設への入居を検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、老人ホームにはさまざまな種類があり、どの施設を選べばよいのか迷ってしまうものです。この記事では、老人ホームの種類や特徴、選び方について、実例を交えながら詳しく解説していきます。これから施設を探す方が最適な選択肢が見つけられるよう、わかりやすくご案内します。
目次
老人ホームの種類は「公的施設」と「民間施設」に分類できる
老人ホームには大きく分けて、
【公的施設の種類と特徴】
施設種別 | 入居金相場 | 月額相場 | 自立 | 要介護1~2 | 要介護3~5 | 認知症 | 看取り |
ケアハウス | 0~30万円 | 8~15万円 | ○ | ○ | × | × | × |
特別養護老人ホーム | 0~15万円 | 8~14万円 | × | △ | ○ | ○ | ○ |
介護老人保健施設 | なし | 8~14万円 | × | ○ | ○ | △ | × |
介護医療院 | なし | 8~14万円 | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
【民間施設の種類と特徴】
施設種別 | 入居金相場 | 月額相場 | 自立 | 要介護1~2 | 要介護3~5 | 認知症 | 看取り |
介護付き 有料老人ホーム |
200~600万円 | 20~30万円 | ○ | ○ | ○ | △ | ○ |
住宅型 有料老人ホーム |
5~20万円 | 12~14万円 | ○ | ○ | △ | △ | △ |
サービス付き 高齢者向け住宅 |
10~20万円 | 15~18万円 | ○ | ○ | △ | △ | △ |
グループホーム | 10~15万円 | 10~15万円 | × | ○ | △ | ○ | △ |
○:対応可能 △:条件付き対応 ×:対応不可
当社調べ
公的施設の老人ホーム
公的施設は、
ただし、
項目 | ケアハウス | 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | 介護医療院 |
特徴 | 自立した生活が 可能な方を対象とした 住宅型施設 |
常時介護が必要な方を 対象とした 終身型施設 |
リハビリに特化した 在宅復帰支援施設 |
医療・介護が 必要な方を対象とした 長期療養施設 |
費用 |
入居金:0~30万円 月額:8~15万円 |
居金:0~15万円 月額:8~12万円 |
入居金:なし 月額:8~12万円 |
入居金:なし 月額:8~12万円 |
提供 サービス |
・生活支援 ・食事提供 ・緊急通報 ・相談援助 |
・24時間介護 ・食事介助 ・入浴介助 ・看取りケア |
・リハビリ ・医学的管理 ・看護ケア ・在宅復帰支援 |
・医療処置 ・看護ケア ・介護サービス ・ターミナルケア |
介護保険 サービス |
外部サービスを利用 | 施設サービスに含む | 施設サービスに含む | 施設サービスに含む |
医療体制 | 協力医療機関との連携 | 嘱託医による対応 | 常勤医師による管理 | 24時間医療体制 |
入居条件 | 60歳以上で 自立した生活が可能 |
原則要介護3以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上で 医療の必要な方 |
想定 入居期間 |
終身可能 | 終身可能 | 3~6ヶ月程度 | 終身可能 |
●ケアハウス
ケアハウスは、
施設では、食事の提供や入浴支援、生活相談、緊急時対応などの基本的なサービスを受けることができます。また、介護が必要になった場合は、外部の介護保険サービスを利用することも可能です。
特に、一人暮らしに不安を感じている方や、軽度の支援があれば自立した生活が送れる方、将来的な介護に備えて早めの住み替えを考えている方におすすめです。比較的低価格で入居できる点も、大きな特徴と言えます。
●特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は、
施設内では、介護職員や看護師が24時間体制で常駐し、食事、入浴、排せつなどの日常生活全般の介護サービスを提供します。医療面では、協力医療機関との連携により、日常的な健康管理から緊急時の対応まで、安心できる体制が整っています。すべてのサービスが介護保険の施設サービスとして包括的に提供されるため、追加費用を気にせずに必要なケアを受けることができます。
中でも、重度の要介護状態で常時介護が必要な方、認知症の症状がある方、経済的な理由で民間施設への入居が難しい方に適しています。ただし、入居待機者が多く、入居までに時間がかかる場合があることにも注意が必要です。
●介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、
施設では、医師による診療管理のもと、看護職員と介護職員が24時間体制でケアを提供します。特に充実しているのがリハビリテーションで、理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリプログラムを受けることができます。食事、入浴、排せつなどの基本的な介護サービスに加え、レクリエーションや生活リハビリなども実施されます。これらのサービスは介護保険の施設サービスに含まれています。
退院直後で在宅復帰に向けたリハビリが必要な方や、定期的な医学的管理が必要な方、在宅と施設を行き来しながらの利用を考えている方に特におすすめです。
一方で、医療費は全て老健持ちなので、薬価の高い薬を使用していると入所が断られるケースもあり、事前の確認が必要となります。
●介護医療院
介護医療院は、
施設内には医師が常駐し、24時間体制で医療処置や看護ケアを提供します。人工呼吸器や胃ろうなど、医療依存度の高い方でも受け入れ可能な体制が整っています。介護面では、食事、入浴、排せつなどの日常生活支援に加え、機能訓練も実施されます。終末期のケアにも対応しており、看取りまでの一貫したサービスを受けることができます。
特に、医療的なケアを常時必要とする方、重度の要介護状態で在宅介護が困難な方、長期的な医療と介護の両方のケアが必要な方に適しています。医療機関としての機能も持ち合わせているため、容態が急変した時にも迅速な対応が可能です。
民間施設の老人ホーム
民間施設は、
項目 | 介護付き 有料老人ホーム |
住宅型 有料老人ホーム |
サービス付き 高齢者向け住宅 |
グループホーム |
特徴 | 施設内で 介護サービスを 提供する総合型施設 |
生活支援を基本とし、 介護は外部サービスを 利用 |
安否確認や 生活相談を基本とした 高齢者向け住宅 |
認知症の方を対象とした 小規模な共同生活施設 |
費用相場 | 入居金:200~600万円 月額:20~30万円 |
入居金:5~20万円 月額:12~14万円 |
入居金:10~20万円 月額:12~14万円 |
入居金:10~15万円 月額:12~14万円 |
提供 サービス |
・24時間介護 ・食事サービス ・健康管理 ・生活支援 ・レクリエーション |
・食事サービス ・生活支援 ・見守り ・緊急時対応 |
・安否確認 ・生活相談 ・食事サービス (オプション) ・緊急時対応 |
・共同生活介護 ・食事サービス ・認知症ケア ・生活リハビリ |
介護保険 サービス |
施設サービスに含む | 外部サービスを利用 | 外部サービスを利用 | 施設サービスに含む |
医療体制 | 協力医療機関との 連携 |
協力医療機関との 連携 |
協力医療機関との 連携 |
協力医療機関との 連携 |
入居条件 | 自立から要介護5まで 幅広く対応 |
自立から要介護5まで (施設による) |
60歳以上 (要介護度不問) |
要支援2以上で 認知症の方 |
想定 入居期間 |
終身可能 | 終身可能 | 終身可能 | 終身可能 |
●介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、
施設では、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護スタッフが24時間常駐し、食事、入浴、排せつなどの介護サービスを提供します。レクリエーションや機能訓練も充実しており、入居者はアクティブな生活を送ることができます。また、多くの施設で看取りまで対応しているため、最期まで安心して暮らすことができます。
十分な資金的余裕がある方、充実したサービスを求める方、介護が必要になっても住み慣れた場所で暮らし続けたい方におすすめです。
●住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、
施設では、食事の提供や生活相談、緊急時対応などの基本的な生活支援サービスを受けることができます。介護が必要な場合は、訪問介護や通所介護などの外部サービスを自由に選択して利用できます。これにより、自分に合った介護サービスを組み合わせることが可能です。医療面では、協力医療機関との連携により、定期的な往診や緊急時の対応を行う体制が整っています。
ある程度自立した生活が可能な方、自分で介護サービスを選びたい方、比較的リーズナブルな費用で入居を考えている方に適しています。介護付き有料老人ホームと比べて初期費用を抑えられる点も特徴です。
●サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、
施設では、必須サービスとして安否確認と生活相談を提供し、そのほかの食事、介護、医療などのサービスは選択制となっています。居室は25平米以上(一部例外あり)と広めで、キッチンやバス、トイレなどが備え付けられており、プライバシーを保ちながら自立した生活を送ることができます。介護が必要な場合は、外部の介護保険サービスを利用します。
自立度が高く、プライバシーを重視したい方、必要なサービスを選択して利用したい方、比較的安価な費用で入居を考えている方におすすめです。
●グループホーム
グループホームは、
施設は、通常9人程度の小規模なユニットで構成され、家庭的な雰囲気の中で生活支援と介護が提供されます。認知症ケアの専門スタッフが24時間体制で常駐し、食事、入浴、排せつなどの介護に加え、できる範囲で掃除や調理などの家事活動にも参加していただきます。これにより、認知症の進行を遅らせ、残存能力の維持・向上を図ることができます。
認知症の診断を受けている方、小規模な環境での生活を希望する方、家庭的な雰囲気の中でケアを受けたい方に適しています。ただし、原則として要支援2以上の認定が必要で、医療的なケアが必要な方は入居が難しい場合があります。
入居すべき老人ホームの選び方
老人ホームの選択は、入居者の生活の質に大きく影響します。最適な施設を選ぶためには、以下の複数の観点から検討することが重要です。
- ・身体状況
- ・費用
- ・看取り対応の実施可否
それぞれの選択基準について詳しく解説していきます。
身体の状況から選ぶ
入居者の身体の現在の状況と、将来の変化を見据えた施設選びが重要です。自立している方の場合、ケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅など、自由度の高い施設から検討を始めることができます。
ただし、将来的な介護の必要性も考慮に入れる必要があります。現時点で自立していても、将来の介護に備えて介護付き有料老人ホームを選択するケースも少なくありません。
要介護状態の方の場合は、介護度に応じた施設選びが必要です。軽度の要介護者であれば選択肢は比較的広く、介護付き有料老人ホームや特養など、様々な施設を検討できます。
一方、要介護度が高い場合は、24時間体制の介護体制が整った特養や介護医療院などが適しています。また、認知症の方の場合は、専門的なケアが受けられるグループホームも選択肢の1つとなります。
費用面から選ぶ
費用面では、入居金と月額費用の両方を考慮する必要があります。公的施設は入居金が0~50万円程度、月額費用が10~15万円程度と比較的安価です。特養は、介護保険の利用により月額費用を8~12万円程度に抑えることができます。
一方、民間施設は入居金が100万円以上かかることもあり、月額費用は14~23万円程度とやや高額になります。特に介護付き有料老人ホームは、充実したサービスが受けられる反面、費用も高めとなります。サービス付き高齢者向け住宅は、入居金を低めに設定している施設も多く、比較的リーズナブルな選択肢となっています。
年金収入や貯蓄額、資産活用なども含めて、長期的な支払い能力を見極めることが重要です。
看取り対応の実施可否で選ぶ
近年、施設での看取りを希望する入居者やその家族が増加しており、約7割が施設での看取りを希望しています。特に介護付き有料老人ホームでは約6割の施設が看取りに対応しており、サービス付き高齢者向け住宅でも約2割の施設が実施しています。
看取り対応を検討する際は、単に対応の可否だけでなく、具体的な体制についても確認することが重要です。医師や看護師の配置状況、24時間対応の有無、協力医療機関との連携体制などを詳しく確認しましょう。また、看取りに関する施設の方針や、家族の希望する最期の迎え方についても、事前に十分な話し合いを持つことが推奨されます。
看取りに対する考え方は、入居者の状態や家族の意向によって変化する可能性もあるため、入居時点で明確な方針を持っておくことが望ましいでしょう。
参考:厚生労働省「特定施設入居者生活介護の報酬・基準について」
参考:国土交通省「高齢期の居住の場とサービス付き高齢者向け住宅の資料2現状に 関する 調査報告」
参考:株式会社野村総合研究所「高齢者向け住まいにおける認知症ケアや看取り、医療ニーズ等の 重度化対応へのあり方に関する調査研究」
老人ホームに入居するまでの流れ
老人ホームへの入居は、慎重な検討と準備が必要です。入居までの流れを段階的に理解することで、スムーズな入居準備が可能になります。
- ・入居目的に合わせて希望施設をリストアップする
- ・希望施設の資料請求や見学を実施する
- ・入居候補の体験入居を行う
- ・入居の契約をする
以下では、入居までの具体的なステップを詳しく解説していきます。
入居目的に合わせて希望施設をリストアップする
入居施設を選ぶ際は、まず入居の目的を明確にすることが重要です。「『終の棲家』として長く暮らせる場所を探したい」「リハビリに重点を置いて在宅復帰を目指したい」「認知症の専門的なケアを受けたい」など、目的によって最適な施設は異なってきます。
目的が定まったら、インターネットや介護情報誌、地域の介護支援専門員などから情報を収集し、条件に合う施設をリストアップしていきます。
この段階では、立地、費用、提供サービス、医療体制など、基本的な情報を中心に5~10施設程度をピックアップすることをおすすめします。また、家族や親族とも十分に相談し、それぞれの意見や希望を確認しておくことが大切です。
希望施設の資料請求や見学を実施する
施設見学は、入居を決める上で最も重要なステップの1つです。ただし、いきなり見学に行くのではなく、まずは資料請求を行い、基本情報を把握してから見学すると効率的です。見学時は施設の雰囲気や設備だけでなく、スタッフの対応や入居者の様子なども注意深く観察しましょう。
<見学時のチェックポイント>
- ・施設の清潔さや臭気の状況
- ・スタッフの対応や言葉遣い
- ・入居者の表情や活気
- ・食事の内容や選択肢
- ・個室の広さや設備
- ・共用スペースの使い勝手
- ・医療体制や緊急時の対応
- ・レクリエーションなどの活動内容
- ・面会や外出の規則
職員の対応や施設の清潔感、食事の内容、医療体制、緊急時の対応方法など、具体的なポイントを決めて確認することが大切です。可能であれば、食事の時間帯に見学すると、より実際の生活がイメージしやすくなります。また、気になる点は遠慮せずに質問し、納得がいくまで確認することをおすすめします。
【老人ホームの食事に関連する記事はこちら】
老人ホームの食事メニューを紹介!食にこだわる老人ホームを探すためのポイントは?|老人ホームのコラム
【老人ホームの見学に関連する記事はこちら】
施設見学のポイントを解説!いい施設を見分けるチェック項目5つ
入居候補の体験入居を行う
体験入居は、実際の生活を体験できる貴重な機会です。パンフレットや見学だけでは分からない、日々の生活の実態を把握することができます。多くの施設では、1日から数日程度の体験入居を実施しています。
<体験入居時のチェックポイント>
- ・生活空間の快適さ
- ・介護スタッフの対応の質
- ・食事の味や量
- ・他の入居者との交流
- ・日中の過ごし方
- ・夜間の静けさ
- ・介護・医療サービスの内容
- ・リハビリテーションの実施状況
体験入居では、生活空間の快適さや食事の内容はもちろん、職員の対応や他の入居者との関係性なども確認できます。特に重要なのは、施設のスケジュールが自分の生活リズムに合うかどうかです。食事の時間や入浴の時間帯、アクティビティの内容など、実際に体験することで具体的なイメージがつかめます。
また、体験入居中は、介護スタッフや看護スタッフの対応や専門性、コミュニケーションの取り方なども観察しましょう。疑問点や不安な点があれば、その場で確認することが大切です。体験入居は本入居の判断材料として非常に重要な機会となります。
入居の契約をする
体験入居を経て施設を決定したら、契約に向けた準備を進めます。契約時には以下の書類が必要となるのが一般的です。
- ・入居申込書
- ・診断書(直近3ヶ月以内)
- ・介護保険証
- ・健康保険証
- ・身元引受人の印鑑証明書
- ・住民票
- ・所得証明書(生活保護受給者の場合)
契約前には必ず重要事項説明書を熟読し、不明な点があれば質問しましょう。特に以下の項目については、詳しく確認することをおすすめします。
- ・月額費用の内訳と支払方法
- ・入居一時金の償却方法
- ・退去時の返還金の計算方法
- ・急変時の医療機関との連携体制
- ・看取り対応の有無と方針
- ・契約解除の条件
将来的に費用が変動する可能性や、介護度が変わった場合の対応について、具体的に確認しておくことも重要です。
入居は長期にわたる重要な決定となるため、焦らず慎重に進めることが大切です。また、不明な点があれば、施設の相談員や地域の介護支援専門員に相談することをおすすめします。
【介護サービスの「重要事項説明書」に関連する記事はこちら】
介護サービスの「重要事項説明書」とは?記載内容やチェックポイント、契約書との違いを解説
まとめ
老人ホームの選択と入居は、高齢者の生活の質を大きく左右します。施設の種類や特徴を十分に理解し、身体状況や費用面などから総合的に判断することが大切です。
本記事で解説した選び方のポイントを参考に、十分な情報収集と比較検討を行ってください。また、体験入居などの機会を積極的に活用し、実際の生活をイメージしながら決定することをおすすめします。
適切な施設選びは、入居者の快適な生活と、ご家族の安心につながります。ご家族との十分な話し合いのもと、入居者にとって最適な環境を見つけていただければと思います。
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