どの施設が自分に適しているのかを
知っておきましょう。
有料老人ホームのサービスや費用、入居条件を解説
有料老人ホームとは、厚生労働省が定める「老人福祉法」の規定に基づいて運営されている高齢者向けの居住施設のことで、2021年時点で全国に1万6724施設が存在します。
しかし実際に入居先を探す際に、「たくさんある有料老人ホームの中からどの施設を選べば良いのかわからない」「入居後にどのようなサービスを受けられるのか」などの疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
以下では、有料老人ホームの概要や定義、費用やサービス内容、入居条件などについて詳しく解説します。有料老人ホームを探すときのチェックポイントも紹介していますので、施設探しの参考にしてみてください。
目次
有料老人ホームとは?
有料老人ホームと聞くと、高齢者向けの居住施設といった漠然としたイメージをお持ちの方も多いかもしれません。「有料老人ホームとは何か」については、厚生労働省が明確に規定しています。
以下では、有料老人ホームの具体的な定義や種類、特別養護老人ホームとの違いなどを詳しくご紹介します。
有料老人ホームの定義
入居する高齢者に「食事の提供」「介護(入浴・排せつ・食事)の提供」「洗濯・掃除などの家事の供与」「健康管理」のいずれかのサービス(複数も可)を提供している施設、というのが厚生労働省による有料老人ホームの定義です。
つまり、高齢者向けの居住施設で「食事の提供」のみを行っていたとしても、定義上は「有料老人ホーム」と位置付けられます。
有料老人ホームを新たに開設する場合、都道府県知事などへの届出をする必要があります。なお、設置主体はとくに問われず、社会福祉法人や民間企業、NPO法人でも設立が可能です。
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『高齢者向け住まいについて』
有料老人ホームの種類
有料老人ホームは大きく「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分けられます。
種類 | 概要 |
---|---|
介護付き有料老人ホーム | 介護サービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要な状態であっても、介護保険サービスの「特定施設入居者生活介護」による手厚いケアを受けられます。なお、都道府県または市区町村から「特定施設入居者生活介護」の提供施設としての指定を受けていないと、施設名に「介護付き(介護付)」と表示できません。施設内の人員で介護を行う「一般型」の施設と、委託先の介護サービス事業所が介護を行う「外部サービス利用型」の施設の2種類があります。 |
住宅型有料老人ホーム | 食事の提供や家事代行など、生活支援のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要な場合は、自宅と同様に、「訪問介護」や「通所介護」の外部サービスを利用して必要なケアを受けることができます。 |
健康型有料老人ホーム | 食事の提供や家事代行などのサービスがついた高齢者向けの居住施設ですが、アクティブシニア向けの施設であり、要介護状態となった場合は退去する必要があります。全国的に見ても施設数は極めて少ないのが実状です。 |
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『別表 有料老人ホームの類型』
特別養護老人ホームとの違いは?
特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人などが運営する介護保険施設です。
入居対象は、原則として要介護認定において「要介護3」以上の認定を受けた人で、「認知症により日常生活に支障をきたす」「家庭で虐待を受けている」など、特別な事情があれば要介護1~2でも入居できる場合があります。
また、特別養護老人ホームは創設にあたり、国や自治体から助成を受けているため、入居一時金はかからず家賃も抑えられています。さらに低所得者向けの費用の軽減や医療費控除を利用して費用を還付されるケースもあることから、総合的に費用は比較的安めといえます。
一方、有料老人ホームは民間施設であり、社会福祉法人だけでなく株式会社なども設立できます。また、入居条件についてはとくに制度上の定めはなく、介護付き有料老人ホームであっても「自立から入居可」としている施設であれば、自立した生活を送れる方から入居することができます。入居後に利用する介護サービスには介護保険が適用されますが、家賃・食費・光熱費・管理費などはすべて自費であり、ハイクラスな暮らしをコンセプトとする施設や地価が高いエリアの施設は、入居時費用や月額利用料とくに高額になります。
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有料老人ホームで受けられるサービス
有料老人ホームは、ご入居者が快適に生活できるようにさまざまなサービスを提供しています。
具体的にどのようなサービスが提供されるかは施設によって異なりますが、基本的なサービスとして多くの施設で提供されるのは以下の4つです。
- ・食事
- ・生活支援・健康管理
- ・レクリエーション
- ・介護(介護付きのみ)
それぞれのサービスについて解説していきます。
食事
入居者に一日三食の食事を提供するサービスです。館内に厨房を設けている施設と、外部の業者に委託して用意する施設の2種類があり、館内で調理を行っている施設では出来立ての温かい食事が提供されます。
基本的に管理栄養士が献立を考えるので、栄養面でバランスの取れた食生活を送ることができます。糖尿病食や塩分調整など、健康状態に合わせた食事への変更依頼も基本的に可能です。施設によっては、嚥下機能(噛む力・飲み込む力)が衰えた人のためにソフト食や刻み食への変更もできます。
また、施設によっては、館内で夏祭りや七夕、クリスマス会などのイベントが行われる日に、特別な行事食が提供されることもあります。
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生活支援・健康管理
洗濯や居室内・共用スペースの掃除といった家事サービスや、日中や夜間にスタッフが定期的に居室を巡回する見守りサービスなどがメインです。
施設によってはフロントサービスやコンシェルジュサービスを提供しており、利用することで郵便・宅配便の取り次ぎ、買い物代行、役所・銀行・税務署への手続き代行などの支援を受けられます。
生活支援は施設ごとに内容が大きく変わり、施設ごとの特色を活かしたサービスを行っているケースが多いため、サービス内容や費用も異なります。健康管理は、ご入居者の身体が健康な状態にあるよう、施設の職員がご入居者の見守り・管理をすることをいいます。
レクリエーション
レクリエーションは施設内で、心身機能の維持・向上を図ることを目的に行われています。取り組み内容は施設もしくは企画するスタッフによって変わってきますが、基本的には下記のような取り組みが中心です。
- ・楽しみながら身体を動かすもの
- ・脳の活性化につながるもの
- ・生きがいとして取り組める趣味となるもの
- ・入居者同士の交流を目的としたもの
施設によっては、外部から講師を招いて音楽療法などの特別なプログラムを実施したり、敷地内に田畑や花壇を設けて園芸療法を行ったりするケースもあります。
介護(※介護付きのみ)
介護付き有料老人ホームでは介護サービスの提供体制が整っており、入居者は手厚いケアを受けられます。介護の内容は入居者の状態によって異なりますが、主に下記のようなケアを行います。
- ・食事・排せつの介助
- ・入浴や整容の介助
- ・ベッドから車椅子への移乗や移動時の介助
- ・外出・通院時の介助
- ・服薬管理
- ・生活の見守り
介護付き有料老人ホームで提供される「特定施設入居者生活介護」は、要介護認定の段階別に介護費用(自己負担額)が月額定額となります。費用は要介護認定の区分によってことなりますが、介護サービスの多少による月額費用の増減はありません。自己負担額は多くの方の場合1割ですが、収入によっては2〜3割となる場合があります。
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有料老人ホームの費用と支払い方法
有料老人ホームへの入居を検討する際、気になるのが「どのくらいの費用がかかるのか」という点でしょう。収入や資産を元に支払い計画を立て、無理なく入居し続けられる施設を選ぶことが大切です。
有料老人ホームの費用としては、入居時にかかる費用(入居一時金)、月額費用、消耗品費用などがあります。
入居費用
有料老人ホームでは一般的に、入居時に入居一時金の支払いが必要です。金額は施設によって異なり、数十万円から数千万円と幅があります。
入居一時金は家賃の前払い金としての役割をもち、入居後は毎月の家賃の一部と相殺されて少しずつ償却されていきます。つまり入居一時金を支払うことで、毎月発生する家賃を低く抑えられます。入居時に支払った入居一時金がどのくらいの割合・期間で償却されるのかは施設によって異なるので、入居時に必ず確かめておきましょう。また、償却期間中に退去した場合、未償却分は退去時に返還されます。
ただし、退去時にどのくらいの未償却金が戻ってくるかを巡って、入居者側と施設側がトラブルとなるケースも少なくありません。入居時に重要事項説明書や契約書の内容を確認し、疑問点・不明点があれば事前に施設の職員に質問しておきましょう。
なお、近年では「入居一時金0円」の施設も増加しており、そうした施設であれば入居時の支払い額を抑えられます。
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月額費用
月額費用は、入居後に毎月支払うことになる費用です。具体的な金額は施設によって大きく異なりますが、おおむね15万円前後~30万円台が相場といえます。住宅型有料老人ホームの場合、安い施設だと15万円以下に収まることもあります。
月額費用の内訳としては、家賃、食費、管理費(光熱費込み)などです。家賃や光熱費は立地する地域によって大きく差が出ます。家賃は東京の都心部など人口が密集した地価が高い地域だと高額になり、郊外や地方では比較的安めです。光熱費は北海道や東北など寒さが厳しい地域は、ほかの地域よりも高額になる傾向があります。
要介護認定を受けている場合は、別途介護費用の支払いが必要です。また、利用に応じて通信費や消耗品費(おむつ代など)、嗜好品費、イベント参加費(旅行費用など)、医療費なども発生します。
支払い方法
有料老人ホームに利用権方式の契約で入居した場合、家賃の支払い方法は大きく分けて以下の3種類があります。
支払い方式 | 特徴 |
---|---|
全額前払い方式 | 「どのくらいの期間居住するか」をあらかじめ想定し、その期間に応じた家賃の全額を入居時に支払う方式です。入居にあたってまとまった資金を用意する必要がありますが、入居後に家賃負担は発生しません。(以前は「一時金方式」といわれていました) |
一部前払い・一部月払い方式(入居一時金方式) | 入居時に「入居一時金」として一部の家賃を前払いし、残りを月払いにして入居期間中に支払う方式です。 |
月払い方式 | 入居時にまとまった費用は払わず、家賃を月払いのみで入居期間中に支払います。家賃の前払いがないので、毎月支払う家賃は高めとなります。 |
それぞれ特徴が異なるので、入居する期間や初期費用などから考えて有料老人ホームを選ぶと良いでしょう。
自己負担額はいくら?節約方法はある?
有料老人ホームで介護サービスを受ける場合、毎月介護費用が発生します。ここで言う介護費用とは「自己負担分」のことで、入居者の所得に応じて1~3割の負担が必要です。
介護付き有料老人ホームの場合、介護費用は要介護認定別に毎月定額です。
要介護認定の区分 | 自己負担額(1割負担、1単位10円換算) |
---|---|
要支援1 | 5,460円 |
要支援2 | 9,330円 |
要介護1 | 16,140円 |
要介護2 | 18,120円 |
要介護3 | 20,220円 |
要介護4 | 22,140円 |
要介護5 | 24,210円 |
住宅型有料老人ホームの場合、「訪問介護」や「通所介護」など利用した介護サービスの量に応じて費用が発生します。
介護費用が高額になったときは、高額介護サービス費制度や高額介護合算療養費制度を利用することで、負担軽減が可能です。
高額介護サービス費制度は、介護費用の負担額の合計が所定の上限額を超えたとき、超過分のお金が返還される制度です。上限額は所得額などに応じて決定されます。
高額介護合算療養費制度は、年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額の総額が所定の基準額を超えていたときに、超過分が返還される制度です。こちらも基準額は年齢、所得によって決められています。
費用の詳細を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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有料老人ホームの入居条件
有料老人ホームは、「介護付き」「住宅型」「健康型」によって入居条件が変わります。入居を検討する際は、あらかじめ対象者が入居条件を満たしているか必ずチェックしておきましょう。
住宅型有料老人ホームの入居条件
年齢制限は60歳または65歳以上としているケースが多いです。制度上の規定がとくにないので、自立した生活を送れる方から要介護の方まで幅広く入居できます。
ただし、施設ごとに具体的な入居条件が定められているので、その点はしっかりとチェックしておくことが大切です。「住宅型」の場合、介護・看護体制が十分に整っていないこともあり、その場合は介護度が高い方や認知症の方、持病のある方などの入居は難しくなります。
介護付き有料老人ホームの入居条件
介護付き有料老人ホームで利用できる「特定施設入居者生活介護」のサービスは、要介護1以上の認定を受けている方が対象です。そのため、同サービスの提供を前提とする「介護専用型」の施設の場合、「原則65歳以上で要介護1以上の認定を受けている方」が入居条件となっています。
一方で「入居時自立型」の施設もあり、その場合は要介護認定を受けていない方が入居可能です。そして「混合型」の施設だと、自立・要支援・要介護のいずれの方でも入居可能です。これらの施設における入居時年齢の条件は、60歳以上または65歳以上です。
健康型有料老人ホームの入居条件
健康型有料老人ホームはアクティブシニアを入居者として想定しているため、基本的に要介護認定を受けている方や、日常的に医療的処置を必要とする方は入居の条件に当てはまりません。対象の入居時年齢は60歳または65歳以上に設定されています。
有料老人ホームでの契約形態
有料老人ホームの契約形態は、大きく分けて下記の3種類があります。
- ・利用権方式
- ・建物賃貸借方式
- ・終身建物賃貸借方式
入居する際、その施設がどの契約方式かをチェックしておきましょう。
建物賃貸借方式
一般的な賃貸物件を借りるときと同様の契約方式で、入居時に敷金が発生するのが一般的です。入居者が亡くなっても、賃借権を相続人に相続できます。
終身建物賃貸借方式
基本的な契約のあり方は建物賃貸借方式と同じですが、大きく異なるのは、入居者が亡くなった場合に賃借権が喪失するという点です。そのため、相続人への賃借権の相続はできません。
利用権方式
利用権方式とは、費用を支払うことで施設側が提供する居室や共有スペース、介護サービスなどを終身にわたって利用する権利を、入居者に与える契約方式です。入居者が亡くなった時点で施設の利用権は失われます。
有料老人ホームを決める方法
有料老人ホームに入居するまでのプロセスには、大きくわけて「情報収集」「自分が考えている希望条件との適合性チェック」「見学や体験入居」「入居契約」の4つの段階があります。
それぞれ段階ごとに詳しくみていきましょう。
(1)情報収集をする
有料老人ホームの情報を集める方法として最も効率が良いのは、当『さがしっくす』のような、インターネット上の老人ホーム検索サイトを活用することです。希望条件を設定して検索することもできるので、より希望に近い施設を見つけられます。
介護付き有料老人ホームについては、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」のサイトで調べることも可能です。細かい希望条件を設定して検索することはできませんが、指定した地域内に立地する施設の事業者情報、定員、人員体制、提供しているサービスの内容、設備状況を細かく確認できます。
また、要介護認定を受けている場合は担当のケアマネジャー、入院中の場合は病院所属のソーシャルワーカーに尋ねると、地域内にある施設の情報を提供してくれるでしょう。役所に設置されている高齢者福祉の相談窓口、地域福祉協議会や地域包括支援センターの相談窓口では、地域内にある有料老人ホームの一覧表を配布していたり、無料の紹介センターを案内してくれる場合があります。
当社で運営している「さがしっくす入居相談室」または「あいらいふ入居相談室」を活用される方も増えてきていますので、どうぞお役立てください。
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『介護事業所・生活関連情報検索』
(2)希望条件に合致しているかを確認する
次に、これらの各種情報源から、希望条件にあった有料老人ホームをピックアップします。その際に重要となるのは、どのような条件を優先して絞り込みを行うか、という点です。
希望条件を考えるうえで重要なのは、①どの地域にある施設に入居したいか、さらに②ご入居者本人に必要な医療・介護サービスがどの程度か、という点です。自宅から近くにある施設から絞り込むのか、それとも場所にはこだわらないのかを決めたうえで、本人の介護度や体の状態にあった施設を選びます。とくに認知症の方や各種医療処置(胃ろうやストーマ、喀痰吸引、透析など)を必要とする方は、施設側の受け入れ体制が整っているかのチェックが不可欠です。
なお、介護度については、施設によって異なるので注意しましょう。たとえば同じ介護付き有料老人ホームでも、自立向けの施設と要介護者向けの施設とでは入居対象者は変わってきます。また、施設側の受け入れ体制によっても条件が異なる場合が多いので、確認が必要です。
立地や身体の状態・介護度に適した施設を絞り込めたら、さらに細かく条件の絞り込みを行います。予算、サービス内容、施設内のアクティビティやイベントなどについて、希望条件と照らし合わせながら希望に合った施設を選択していきましょう。この段階では1つに絞りこむ必要はありません。良さそうな施設を複数選んでおくのが望ましいです。そのうえで、絞り込んだ施設からパンフレットなどの資料を取り寄せましょう。
(3)実際に見学や体験入居をしてみる
候補を数件まで絞り込めたら、現地に行って見学をします。ご入居者本人が見学するのが望ましいですが、健康面の理由などで難しいときは、ご家族が代わりに見学しましょう。
ただ、見学は何の準備もせずに行っても、なんとなく「施設の雰囲気」がわかるだけで、細かいチェックはできません。入居後に「事前にもっと確認しておけばよかった」「こんな施設だとは思わなかった」などと後悔しないように、見学時に何を見るべきなのかをあらかじめメモしておき、その内容を確かめながら見学するようにしましょう。
見学時のチェックポイントは、大きく分けて「建物や設備」「職員」「サービス内容」「契約内容」の4つがあります。
1.建物や設備
建物や設備については、居室、共有スペース、周辺環境など施設のハード面に関するチェックを行います。パンフレットの写真と実物に違いはないか、水回りに問題はないか、トイレ・浴室に清潔感はあるか、などを確かめます。
2.職員
職員については、入居者への接し方、身だしなみなどをチェックし、教育・研修体制に疑問があれば質問しましょう。
3.サービス内容
サービス内容に対しては、緊急時対応の体制、介護予防への取り組み、機能訓練やリハビリの体制、医療機関との連携状況などを確認します。人員配置体制についても、パンフレットやホームページなどで確認できないときは施設のスタッフに質問して確認しましょう。
4.契約内容
契約内容に関しては、入居条件、退去条件、利用料金などについてチェックします。見学では質疑応答の時間が設けられるので、不明点があれば質問して解決しておくことが大事です。入居一時金の支払いがあるときは、償却方法について理解できるまで質問すると良いでしょう。
(4)入居契約をする
見学(場合により体験入居)を済ませ、入居を希望する施設を絞りこめたら、施設側と入居契約を行います。契約を結ぶにあたって、しっかりとチェックしておきたいのが「重要事項説明書」の内容です。
重要事項説明書とは、契約上の重要な事項を施設側が入居者側に説明するための書類です。契約に先立ち、施設の職員が内容を説明してくれるので、理解に齟齬がないように、内容をよく確認しましょう。もし事前に理解していた内容と異なると感じたら、質問して確認することが大切です。
契約は急いで行う必要はありません。重要事項説明書の項目に目を通し、疑問点を解消してから契約しましょう。疑問を残したまま契約し、入居するとのちのちトラブルに発展する恐れがあります。
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有料老人ホームに入居後に「合わなかった」「住み替えが必要」といった状況になると、退去の手続きや新たな施設探し、引越し作業のために、体力的・金銭的な負担が発生します。有料老人ホーム選びでは、失敗しないように前もってしっかりと準備・情報収集をしておくことが大切です。
最後に、失敗しない有料老人ホーム選びのポイントを5つご紹介しましょう。
入居条件に適しているか
入居条件に関しては、入居時点だけでなく、その後に介護度や医療依存度が高くなった場合や、長期入院が必要になった場合などに、継続して居住できるかも確認しましょう。
あくまで元気なうちだけの入居先を探しているのであれば、深く考える必要はありません。
しかし入居先の施設を終身利用するなら、先の状況変化を考えて入居条件を確認しておく必要があります。
施設の体制や職員配置は適切か
介護・医療・リハビリの体制は、基本的に人員配置数が多くなるほど手厚いサービスを受けられます。人手が足りず、スタッフがいつも忙しく余裕がない施設では、質の高い介護は期待できないでしょう。
たとえば介護付き有料老人ホームの場合、厚生労働省が定めた規定により、入居者3名に対して介護・看護スタッフを1名以上配置することが義務付けられています。しかし施設によっては、入居者2.5名に対してスタッフ1名以上、さらには入居者2名にスタッフ1名以上といった基準を上回る人員配置を実現しているところもあります。
このような施設は人件費のぶんだけ入居費用が高めになる一方で、より手厚いケアを受けられると考えてよいでしょう。
また、入居後に質の高い機能訓練やリハビリに取り組みたい場合、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門指導員が常駐しているかが重要です。同様に持病のある方は、訪問診療の頻度や夜間の看護ケアの有無なども確認すると良いでしょう。
サービス内容が求めるものと一致するか
有料老人ホームでは、下記のようなサービスが提供されています。
- ・食事サービス
- ・掃除や洗濯などの家事代行
- ・サークル活動などのアクティビティ
- ・レクリエーション
- ・季節のイベント
そのため、提供されるサービス内容が、利用者の求めるものと一致するかどうかも重要なポイントです。
たとえば要介護度が高くない方や自立している方の場合、ほかの入居者との交流を深めたり、旅行などのイベントを楽しんだりしたいと考える方もいるでしょう。こうした方が、介護・医療体制を重視し、レクリエーションやイベントに注力していない施設に入居しても、ニーズには合致しないでしょう。逆に、要介護度が高く、介護・看護体制が整った施設への入居を希望する方が、イベントやレクリエーションが盛んに開催されている施設に入居しても、ニーズと合いません。
入居後の暮らしに対するイメージと、提供されるサービス内容が合致するかどうかも、事前にしっかりと検討しておきましょう。
施設の雰囲気は良好か
見学や体験入居を通して、スタッフや他の入居者の雰囲気をチェックしておくことも大事です。
体験入居が難しいときは、可能であれば食事どきなど入居者が共有スペースに集まる時間帯に合わせて見学すると、生活の雰囲気を垣間見ることができます。その際、なるべく下記の点を確認しておきましょう。
- ・スタッフが入居者に対しておざなりな対応をしていないか(スタッフの人柄)
- ・スタッフ同士の雰囲気に問題はないか
- ・入居者同士の雰囲気は良好か
また、男女の割合や要介護度ごとの人数の割合なども、施設の様子を想像するのに役立ちます。
応対や宿泊環境など、家族の過ごしやすさ
施設によっては、家族参加型のイベントを開催していたり、家族の面会用に、宿泊室や家族用のリビング・ダイニングなどが設けられています。家族が頻繁に面会に行く想定であれば、実際に確認しておきましょう。
また、「家族会」など家族同士の交流の場の有無についても確かめておくのが望ましいです。パンフレットなどに記載がないときは、見学時に質問して確かめましょう。
さらに比較ポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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有料老人ホームを選びましょう
要点を押さえた有料老人ホーム探しを
有料老人ホームは施設数が多く、自分に合った施設を探すのは大変です。一方でさまざまな施設があるぶん、設備やサービスの内容も細分化されており、ご自身に適した施設に出会える可能性が高まっているとも言えます。入居後に後悔しないように、重要なポイントを押さえた有料老人ホーム探しを目指しましょう。