どの施設が自分に適しているのかを
知っておきましょう。
介護老人保健施設(老健)とは?特徴や費用を解説
介護老人保健施設は略して老健(ろうけん)とも呼ばれ、要介護状態の高齢者に必要な医療処置やリハビリを提供しながら、在宅生活への復帰を支援し自立を促す公的な施設です。
ただ、具体的に入所を検討する際、「特別養護老人ホームや有料老人ホームとどこが違うのかわからない」「どんなサービスを受けられるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では介護老人保健施設の定義や概要、費用、入所条件などについて詳しく紹介しています。また、老健のメリット、デメリットや入所までの流れについても取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
介護老人保健施設(老健)とは
その役割から、病院と自宅の橋渡し役とも呼ばれる介護老人保健施設(以下、老健)ですが、実際にご自身もしくはご家族が利用した経験がないと、具体的にどのような施設なのかイメージしにくい面もあるでしょう。
まずは、老健について、下記の5項目に分けて解説していきます。
- (1)老健の定義
- (2)老健の3つの特徴
- (3)サービスの内容
- (4)職員配置や体制・設備基準
- (5)特別養護老人ホームとの違い
(1)老健の定義
老健とは、要介護者の心身機能が回復して自宅で生活を送れるようにするため、医師・看護師の管理の下で、介護や看護、機能訓練などのサービスを受けられる公的施設です。
老健は介護保険法第8条第28項において法的に定義づけられています。2018年に行われた介護保険制度の改正では、「入所後に心身機能の回復を図ること」「自宅で生活するための支援を必要とする人を入所対象とすること」という内容が、定義のなかに改めて追加されました。
老健はあくまで在宅復帰を目的とした施設であり、医療処置や機能訓練を行って自宅に戻れるまでに心身の状態が改善した場合、利用者には退去・転居してもらうのが運営上の基本方針です。そのため、長期的な利用を目的とした入所は原則としてできません。
(2)老健の3つの特徴
老健の主な特徴としては、下記の3点があげられます。
- ・公的施設であること
- ・自宅に戻って生活を送れるようにリハビリに取り組む施設であること
- ・終身利用はできず、原則として入所期間は限られていること
次で、各項目を詳しく見ていきましょう。
●公的施設であること
公的施設とは国が定める介護保険施設のことで、老健のほかに特別養護老人ホーム(以下、特養)、介護医療院(旧・介護療養型医療施設)があります。介護保険における施設サービスの一つとして位置づけられているため、入所費用は民間施設に比べると低く抑えられています。
●在宅復帰を目指してリハビリに取り組む施設であること
老健の利用は、入所後にリハビリに取り組んで在宅復帰を目指すことが前提条件です。そのため、介護職員や看護師などの医療スタッフに加えて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などいずれかのリハビリ専門職も、必ず1名以上が常駐しています。館内にはリハビリ用の器具が多数あり、効果的な機能訓練が可能です。
●原則として入所期間は限られていること
特養や介護医療院と異なり、老健は医療処置やリハビリの成果が出て在宅復帰が可能と判断された場合、退去することになります。そのため、長期入所・終身利用を踏まえた利用は原則としてできません。
ただし実態としては、「心身状態の回復が遅れている」「自宅の受け入れ体制が整わない」などの理由から、入所が長期間になるケースも多く見られます。
(3)サービスの内容
老健では、下記のようにさまざまなサービスが提供されます。
・老健で提供される主なサービス
介護 | 介護職員が食事、入浴、排せつの介助、着替えの介助、おむつ交換などを行います。 |
生活援助 | 居室の掃除、ベッドのシーツ交換などを介護職員や介護補助などのスタッフが行います(洗濯は対応していない施設が多数)。 |
食事 | 栄養士が食事のメニューを作成します。糖尿病などの持病や嚥下機能(噛む力・飲み込む力)など、その方の心身の状態に合わせた食事を毎食提供します。 |
医師や看護スタッフによる医療行為 | 老健内に医師と看護スタッフが常駐し、必要な医療行為を提供します。薬剤師も配置されているので、薬の処方も可能です。 |
リハビリ指導 | 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などいずれかのリハビリ専門職が1名以上常駐しています。医師の管理のもと、個別のリハビリメニューによる効果的なトレーニングが可能です。1週間あたり2回以上のリハビリが提供されます(入所後3か月は週3回以上取り組める施設もあります)。 |
(4)職員配置や体制・設備基準
老健は、人員配置基準、設備基準が厳密に規定されています。医学的管理、リハビリを効果的に行えるとされる人員、設備基準が設けられている点が特徴です。
それぞれ人員配置基準と設備基準をみていきましょう。
・人員配置基準
職種 | 配置基準 |
医師 | ・常勤で1名以上配置 ・入所者100名につき1名以上配置 |
看護・介護職員 | 入所者3名につき1名以上配置、うち看護師は3割程度(施設による) |
理学療法士、作業療法士または言語聴覚士 | ・いずれか1名以上配置 ・入所者100名につき1名以上配置 |
ケアマネジャー(介護支援専門員) | ・1名以上配置 ・入所者100名につき1名を標準として配置 |
薬剤師 | 入所者300名につき1名以上を標準とし、実情に応じた適当数を配置 |
栄養士 | 入所定員が100名以上の場合は1名以上配置 |
調理員、事務員そのほかの従事者 | 実情に応じた適当数 |
続いて設備基準をみていきましょう。
・設備基準
設備 | 設備基準 |
療養室(居室) | ・1部屋あたり定員4名以下 ・入所者1名につき8㎡以上の広さ |
機能訓練室 | 1㎡×入所定員数以上 |
廊下の幅 | 1.8m以上(中廊下は2.7m以上) |
浴室 | 身体の不自由な人が入浴するのに適したもの |
なお、老健には部屋のタイプごとに下記の4種類があります。
- ・多床室
- ・従来型個室
- ・ユニット型個室
- ・ユニット型個室的多床室(多床室のベッドごとに簡易的な壁で仕切りを作った居室)
なお、2021年の介護報酬改定により「ユニット型個室的多床室」型は新設が禁止されたため、それ以前に開設された施設のみ利用可能です。
ユニット型個室およびユニット型個室的多床室の老健の場合、下記の条件が追加で規定されています。
- ・共同生活室の設置
- ・療養室(居室)を共同生活室に近接して配置
- ・1ユニットの定員はおおむね10名以下で15名を超えない
- ・昼間は1ユニットごとに常時1名以上の介護職員または看護職員を配置
- ・夜間・深夜は2ユニットごとに1名以上の介護職員または看護職員を配置
- ・ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置
(5)特養との違い
老健は在宅復帰を目指してリハビリに取り組むための施設なので、入所期間が制限されています。一方、特養は静養しながら暮らすための施設であり、入所期間に制限はありません。
老健は特養よりも看護師の配置数が多くなっています。また、理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職については、特養では配置が義務付けられていませんが、老健では義務付けられています。
入所要件にも違いがあり、特養は原則として要介護3以上ですが、老健は要介護1から入所できます。
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老健の費用
老健は国が定める介護保険施設であるため、提供される介護サービスの費用、居住費、食費の金額が制度上規定されています。また、実際にかかる費用は、その老健がどの居室タイプの施設であるかによって変わってくるので、事前に確認しておきましょう。
入所のための初期費用は不要
老健は特養や介護医療院と同じく介護保険施設であるため、民間施設のような入居一時金や敷金などはかかりません。
月額費用
月額費用は、居室タイプや施設区分ごとに異なります。以下では参考として「基本型」と「在宅強化型」の老健の費用をご紹介しましょう。
「基本型」の老健の場合、金額は以下の通りです。
・老健の費用(基本型)
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
多床室 | 23,640円 | 25,080円 | 26,940円 | 28,470円 | 30,090円 |
従来型個室 | 21,420円 | 22,770円 | 24,630円 | 26,220円 | 27,750円 |
ユニット型個室 | 23,880円 | 25,230円 | 27,090円 | 28,680円 | 30,270円 |
ユニット型個室的多床室 | 23,880円 | 25,230円 | 27,090円 | 28,680円 | 30,270円 |
一方、さらに設備・サービス体制が整った「在宅強化型」の老健だと、月額費用は「基本型」よりもやや高額です。居住費、食費は「基本型」と変わりません。
・老健の費用(在宅強化型)
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
多床室 | 25,080円 | 27,300円 | 29,220円 | 30,900円 | 32,550円 |
従来型個室 | 22,680円 | 24,840円 | 26,700円 | 28,380円 | 30,090円 |
ユニット型個室 | 25,230円 | 27,450円 | 29,340円 | 31,050円 | 32,700円 |
ユニット型個室的多床室 | 25,230円 | 27,450円 | 29,340円 | 31,050円 | 32,700円 |
居住費と食費は、基本型も在宅強化型も変わらず下記の金額です。
居住費 | 食費 | |
---|---|---|
多床室 | 11,310円 | 一律43,350円 |
従来型個室 | 50,040円 | |
ユニット型個室 | 60,180円 | |
ユニット型個室的多床室 | 50,040円 |
加算サービス
加算サービスとは、追加の費用がかかるサービスのことです。同じ老健であっても、加算サービスを多く提供している施設では、費用負担が増加します。
なお、カッコ内の「単位」とは、加算サービスを行った際に施設側に支払われる介護報酬額を示しています。1単位10円を基本※とし、介護報酬が10単位だとすると、自己負担額1割であれば10単位=10円となります。
※地域やサービスによって異なります
1単位=10円 10単位×10円=100円
自己負担が1割の方の場合:
100円×0.1=10円(介護報酬が10単位のサービスを受けたときの自己負担額)
同様に自己負担額2割であれば10単位=20円、自己負担額3割であれば10単位=30円の負担です。
具体的には、以下のような加算があります。
- ・夜勤職員配置加算(24単位/日)
- ・短期集中リハビリテーション実施加算(240単位/日)
- ・認知症短期集中リハビリテーション実施加算(240単位/日)
- ・認知症ケア加算(76単位/日)
- ・若年性認知症入所者受入加算(120単位/日)
- ・在宅復帰・在宅療養支援機能加算(27単位/日)
- ・ターミナルケア加算:死亡日以前4日以上30日以下(160単位/日)、死亡日前日及び前々日(820単位/日)、死亡日(1650単位/日)
- ・療養体制維持特別加算(27単位/日)
- ・初期加算(30単位/日)
- ・入所前後訪問指導加算Ⅰ(450単位)、Ⅱ(480単位)
- ・退所前訪問指導加算(460単位)
- ・退所後訪問指導加算(460単位)
- ・退所時指導加算(400単位)
- ・退所時情報提供加算(500単位)
- ・退所前連携加算(500単位)
- ・老人訪問看護指示加算(300単位)
- ・栄養マネジメント加算(14単位/日)
- ・経口移行加算(28単位/日)
- ・経口維持加算Ⅰ(400単位/日)、Ⅱ(100単位/日)
- ・口腔衛生管理体制加算(30単位/月)
- ・口腔衛生管理加算(110単位/月)
- ・療養食加算(18単位/日)
- ・在宅復帰支援機能加算(5単位/日)
- ・認知症専門ケア加算Ⅰ(3単位/日)、Ⅱ(4単位/日)
- ・認知症行動・心理症状緊急対応加算(200単位/日)
- ・認知症情報提供加算(350単位)
- ・地域連携診療計画情報提供加算(300単位)
- ・サービス提供体制強化加算Ⅰイ(18単位/日)、Ⅰロ(12単位/日)、Ⅱ(6単位/日)、Ⅲ(6単位/日)
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『介護報酬の算定構造』
老健を利用した場合の金額例
老健に入所した場合、実際にどのくらいの費用がかかるのかシミュレーションしてみましょう。
まずは「要介護2」の利用者が、「在宅強化型・ユニット型個室タイプ」の老健に入所した場合です。
施設介護サービス費(27,450円)+居住費(60,180円)+食費(43,350円)=130,980円
在宅強化型・ユニット型個室タイプは居住費の負担が多いため、合計130,980円となります。
次に「要介護5」の利用者が、「基本型・多床室タイプ」の老健に入所した場合の金額例です。
施設介護サービス費(30,090円)+居住費(11,310円)+食費(43,350円)=84,750円
要介護5と介護度は最も重いものの、基本型・多少室タイプは居住費が在宅強化型・ユニット型個室タイプよりも抑えられるため、総額で見ると要介護2の方よりも安くなっています。
なお、この金額に日常生活費(理美容代など)、サービス加算が追加でかかります。特別療養室がある施設の場合、利用すると別途負担が必要です。
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老健の入所条件
老健は介護保険制度において下記の入所条件が定められています。
- ・要介護認定を受けている
- ・病状が安定している
- ・リハビリを必要としている
- ・3か月間程度の入所を想定している
各項目について詳しく解説していきます。
要介護認定を受けている
老健の入所対象となるのは、要介護1~5の認定を受けている65歳以上の方です。ただし、40歳~65歳未満であっても、特定疾病により要介護1~5の認定を受けている場合は入所できます。
特定疾病とは、末期がんや関節リウマチなど、心身が介護を必要とする状態に陥る可能性が高い疾病です。介護保険法施行令第二条によって16の疾病が定められており、該当する場合は40歳~65歳未満であっても老健の入所対象となる場合があります。
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『特定疾病の選定基準の考え方』
病状が安定している
老健には医師、看護師が常駐していますが、医療機関ほど医療設備が整っていません。そのため、持病のある方は病状が安定していることが入所にあたっての条件となります。長期入院が必要な方、感染症などの疾患のある方は基本的に入所の対象外です。
リハビリを必要としている
老健は在宅復帰を目指してリハビリに取り組むための施設です。リハビリを主たる目的とせず、療養生活を送ることだけを目的とした入所は原則としてできません。
原則3か月の入所期間
老健の入所期間は3か月が目安です。基本的に3か月ごとにリハビリの成果が評価され、引き続き入所を継続してリハビリを続ける必要があるかどうかの審査が行われます。
これ以上のリハビリが必要ないと判断された場合は退去することになるため、原則として3か月以上の長期入所を前提としない方が入所の対象となります。3か月ごとの審査でまだリハビリの必要があると診断されれば、さらに3か月入所を継続し、その後再び審査を受けます。
老健のメリットとデメリット
老健への入所にはメリット、デメリットの両方があります。入所を検討する際にはその特性をよく見極めて、ご自身のニーズと合致しているかどうかを検討しましょう。
メリット
老健の主なメリットとしては以下の点があげられます。
- ・リハビリ体制が充実
- ・公的施設なので初期費用がかからず、毎月の利用料も低額
- ・安心の医療・看護体制
- ・介護度が比較的軽度の方も入所対象
各項目について解説していきます。
●リハビリ体制が充実
老健はリハビリに特化した施設です。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)または言語聴覚士(ST)の配置が義務付けられ、リハビリ用の器具・設備も充実しています。医師の管理の下でリハビリプランを作成し、その内容に基づいて計画的で効果が見込めるリハビリに取り組めるようになっています。
●公的施設なので初期費用がかからず、毎月の利用料も低額
老健は介護保険法で定められた公的な入居施設であるため、入所時に入居一時金や敷金などは発生しません。月額利用料も、日常生活費や加算サービスの費用を加えても、おおむね15万円程度で収まることが多いようです。民間の有料老人ホームなどに比べると、入所費用を大幅に抑えられます。
●安心の医療・看護体制
医師・看護師が24時間体制で常駐しているので、体調不良のときは昼夜問わず迅速に対応してもらえます。胃ろうや喀痰吸引、ストーマなどの医療処置を必要とする方への対応力も優れています。また、老健では薬剤師の配置が義務付けられているので、施設内で薬を処方することもできます。
●介護度が比較的軽度の方も入所対象
特養は原則として入所対象が要介護3以上であるのに対して、老健は要介護1以上から入所できます。要介護1~2といった介護度が比較的高くない状態でも入所できるのは老健の大きな特徴です。また、想定する入所期間が基本的に3か月と短いこともあり、特養などに比べると入所申し込み後の待機期間が短く入所しやすいといえます。
デメリット
一方、老健には次のようなデメリットがあります。
- ・入所期間が短期間
- ・多床室の施設が多い
- ・生活支援サービスが不十分
- ・レクリエーションやイベントは限定的
- ・処方される薬に制限がある
各項目について解説していきます。
●入所期間が短期間
老健はあくまで在宅復帰のためにリハビリに取り組む施設なので、想定入所期間は基本3か月、長くても6か月です。療養生活の場としての長期的な利用はできません。この点が、終身利用が可能な特養などとは異なります。
●多床室の施設が多い
老健の多くが1つの部屋を2~4人で共同利用する多床室型です。4人部屋の施設が一般的で、その場合は個室・2人部屋を利用すると別途特別料金がかかります。
●生活支援サービスが不十分
老健では食事・入浴・排せつの介助といった介護サービスが受けられますが、洗濯や掃除、買い物代行などの生活支援サービスについては提供していない施設もあります。その場合、本人に代わって家族が行うか、外部の家事代行サービスを利用するなどの対応が必要です。
●レクリエーションやイベントは限定的
老健はリハビリに取り組むための施設なので、館内で行われる行事や催し物は、すべて機能訓練の一環として位置づけられています。そのため、娯楽性や楽しさを重視したレクリエーションやイベントなどは実施されていません。
●処方される薬に制限がある
老健では医師と薬剤師が常駐しているため、医療ケアのほかに薬の処方もしてもらえます。しかし、老健は病院やクリニックではなく介護施設です。制度上、老健での医療行為や薬の費用には医療報酬は適用されず、すべて介護保険における定額の基本報酬にてまかなわれます。
老健を利用する際の流れ
実際に老健を利用する場合に、必要となる手続きについてご紹介しましょう。病院を退院し、自宅に戻らずそのまま老健に入所するときは、入院中に準備を進めておく必要があります。
要介護認定を受ける
老健の入所対象となるのは要介護度1以上の認定を受けている方です。そのため入所申請に先立って、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定の申請プロセスは以下の通りです。
- 1 市区町村窓口での要介護認定の申請
- 2 調査員による訪問調査(心身の状態や生活環境などの調査。入院中は病室に訪問)
- 3 主治医意見書の作成(主治医がいないときは、市区町村指定の医師による診察が必要)
- 4 コンピューターによる一次判定、専門家で構成される「介護認定審査会」による二次判定を通じて要介護度を決定
- 5 認定結果の通知
申請から認定結果の通知までは30日程度の期間がかかります。入所時期に合わせて早めに申請しましょう。
▼参考資料はコチラ
厚生労働省老人保健課『要介護認定の仕組みと手順』
施設への入所申し込み
入所の申し込みは、入所希望者ご本人もしくはその家族が行います。入院中の場合は院内の医療ソーシャルワーカー、自宅にいる場合は担当のケアマネジャーに相談すると、スムーズに申し込みを行えるでしょう。
本人・家族との面談
申し込み後、老健の職員が自宅・病室を訪問して面談を実施。面談では、入所希望者の身体の状況、生活のようす、医療ケアの必要度などがチェックされます。
看護サマリーや診断書等の書類提出
入所申請に必要な書類を提出します。提出するのは施設利用申込書、健康診断書または診療情報提供書などで、病院やほかの施設から直接入所する場合は、看護師がまとめた看護サマリーも必要です。
入所判定を受けて入所
老健側は提出された書類の内容を審査し、入所の可否を決定します。入所可の判定が出れば、契約を締結して入所という流れです。
契約の際は重要事項説明書、契約書などの内容を吟味し、不明点があれば必ず職員に質問しましょう。
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老健は在宅復帰を目的とする施設と理解したうえで施設探しを
老健は、病院を退院する予定となっているものの、すぐに自宅で生活することに不安を感じている方や、専門家の指導の下で効果のあるリハビリに取り組みたい方などに適した施設です。
リハビリによって身体の状態を改善し、早めに在宅復帰をしたい方は在宅復帰率がどのくらいなのかを施設側に問い合わせてみると良いでしょう。
また、老健は「退去して自宅に戻ったらもう役割は終わり」というわけではありません。他職種やほかのサービスとの連携をとりながら在宅復帰後のサポートをしてくれるので、老健側と連携しながらスムーズに自宅での生活を始められます。