

どの施設が自分に適しているのかを
知っておきましょう。
養護老人ホームとは?
【高齢者の最後の砦】と言われる養護老人ホームとは?徹底解説!
養護老人ホームは、高齢者の最後の砦と呼ばれています。なぜそのように呼ばれるのか、入所基準、受けられるサービス、費用についても解説します。また名称が似ている「特別養護老人ホーム」との違いについても解説しています。
目次
養護老人ホームとは
養護老人ホームとは、経済的な面で生活が困窮、かつ自力では暮らせない高齢者のための施設です。住居がない、無年金などの高齢者が該当します。
養護老人ホームの目的
養護老人ホームは、介護の必要性とは関係なく身体的、精神的、環境的、または経済的な理由で困窮し、在宅で生活ができない高齢者が入所できる施設です。その目的は、生活に困窮した高齢者が自立した日常生活を送り、社会復帰ができるように支援することです。
最後の砦と呼ばれる理由
養護老人ホームの起源は、戦前の天涯孤独な高齢者の保護施設です。現在は、住む場所のない高齢者を最後に受け入れるセーフティネットの役割を果たす施設であることから、高齢者の最後の砦と呼ばれています。
養護老人ホームは介護施設ではない
養護老人ホームは、介護が必要な高齢者を受け入れる特別養護老人ホームと名称が似ていて紛らわしいのですが、介護施設ではありません。例えば、高齢になった両親の介護のために施設への入所を考えた場合、以下の介護施設を選ばれる方がほとんどです。
- ・特別養護老人ホーム
- ・軽費老人ホーム(介護付きケアハウス)
- ・介護付き有料老人ホーム、
- ・サービス付き高齢者向け住宅(介護型)
日常的に介護は必要でなく、自宅での生活が困難な場合は、以下の介護施設からも選択することが出来ます。
- ・軽費老人ホーム
- ・住宅型有料老人ホーム
- ・サービス付き高齢者向け住宅
養護老人ホームの運営主体、施設数、定員数
養護老人ホームの主な運営主体は、地方公共団体と社会福祉法人です。全国に2013年10月現在で905施設あり、その定員数は61,808人で、入所者数は56,860人(入所率92.0%)です。
養護老人ホームの入所基準と例外
養護老人ホームへ入所する基準とは
養護老人ホームは、現在の環境では生活が難しく、経済的にも問題がある65歳以上の高齢者で、かつ市区町村長によって決定を受けた人が入所できます。
具体的には、介護の必要がなく、病気でもない以下に該当する人です。なお、市区町村によっては要介護であっても入所可能です。居住地の市区町村の窓口に確認することをおすすめします。
- ・身寄りがなく独居している
- ・無年金で他に収入もなく経済的に困窮している
- ・虐待を受けている
- ・身体的な障害がある
- ・認知症や、精神的な障害がある
- ・他の法律に基づく施設に入所できない
- ・ホームレスである
- ・賃貸住宅から立ちのきを受けた など
養護老人ホームへ入所する基準の例外
なお、養護老人ホームの入所基準には以下のような例外もあり、65歳未満であっても入所できる可能性があります。市区町村の担当窓口に詳細を確認してみましょう。
- ・老衰が著しく、かつ救護施設の入所要件を満たしているが、救護施設に受け入れる余力がないために入所できないとき
- ・初老期の認知症(介護保険法施行令第2条第6号)に該当するとき
- ・夫婦の一方が養護老人ホームに入所可能で、もう一方は年齢以外の条件が入所基準にあてはまるときなど
養護老人ホームへの入所までの基本的な流れ
養護老人ホームへ入社までの基本的な流れは以下の通りです。
①入所相談
入所基準を満たしているか、市区町村の窓口、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、民生委員、養護老人ホームなどに相談します。
②入所申し込み
入所基準を満たしていることが分かったら、市区町村の窓口へ申し込みを行います。
③入所調査
養護の状況、心身の状況、生計の状況などについて調査が行われます。
④入所可否の審査
調査結果や健康診断などに基づき、入所判定委員会によって入所の可否が審査されます。
⑤決定・入所
市区町村長が、入所判定委員会から報告を受けて、入所の可否を決定、入所可能と決定されると入所できます。
養護老人ホームで受けられるサービスの内容と費用
受けられる介護サービス
養護老人ホームは、現在の環境では生活が難しく経済的な困窮者を対象としています。そのため介護施設で提供される生活支援サービス、健康管理サービス、趣味や体操などのアクティビティサービスなどは、原則として提供されません。生活するための基本的なサービスの提供のみです。
ただし2006年度から、入所者が介護保険の居宅サービスが利用可能になりました。また、施設によっては健康管理や社会復帰を目指す生活相談などのサービス、高齢者の生活の質(=QOL)向上のためのレクリエーションや行事も行われています。
月額費用
費用は前年度の収入によって決まり、1カ月の費用は0円~14万円です。入所時の一時金はありません。また、災害を受けたり、生活保護法の適用を受けたりすると費用は減額または免除されます。
施設の利用費は、収入から租税、社会保険料、医療費などを控除した後の金額で決定されます。横浜市を例にすると以下のようになります。
収入(税金、社会保険料、医療費控除) | 施設利用費(円) |
---|---|
27万円未満 | 0 |
40~42万円未満 | 10,800 |
144~150万円未満 | 81,100 |
39段階で利用費が定められており、収入が0~150万円未満の場合、施設利用費は0円から最大81,100円となります。150万円以上の場合は市の定めた計算式によって、利用費が決定します。
養護老人ホームへの入所のメリットとデメリット
養護老人ホームに入所した際のメリット、デメリットにはどんなものがあるのでしょうか?それぞれご紹介致します。
入所のメリット
他の高齢者施設と比較して、低額で利用ができること
入所のデメリット
- ・入居したいと思っても入所の可否は市区町村によって決定され、必ずしも入所ができないこと
- ・自治体によって入所可否の判定に差があること(同じ困窮度でも自治体によって可否判定が異なる可能性あり)
- ・入所中に要介護度が重くなると退去しなければならない可能性があること
養護老人ホームと介護保険施設の違いを理解して利用しよう!
養護老人ホームについて、施設の概要、入所基準、費用、メリット・デメリットなどを解説しました。養護老人ホームを利用するときは、名称がよく似ている介護保険施設である特別養護老人ホームと間違えないよう、違いよく理解して利用を検討することが重要です。
養護老人ホームは、介護保険施設と違って希望しても入所できるかどうかは、市区町村長の決定に委ねられており、入所したくても入所できない可能性があります。また、入所できたとしても受けられるサービスについて知っておかないと、満足できる生活を送れないので注意が必要です。本記事を参考に、養護老人ホームの特徴と内容を正しく理解して利用の検討をしてください。