さまざまな介護サービスを、1~3割の自己負担で受ける
ことができるのが「介護保険」です。
介護保険サービスに消費税はかかるの?それとも非課税?
介護保険サービスに消費税はかかるの?それとも非課税?
商品の購入やサービスの利用には消費税がかかりますが、介護保険で利用するサービスについては、消費税がかかるのでしょうか?介護保険サービスのうち、非課税となるものと課税の対象となるものについて、具体例を解説します。介護費用の負担を少しでも抑えるために、介護保険と消費税について理解しましょう。
目次
介護保険サービスは原則消費税非課税だが一部課税も
介護保険サービスは、社会政策的に課税は適当でないと判断されており原則として消費税は非課税です。非課税となるサービスの範囲は消費税法によって規定されており、多くの介護サービスの利用料や関係する費用が非課税とされていますが、以下に該当する場合には課税となりますので注意が必要です。
- ・消費税法の規定に含まれていない福祉用具や住宅改修にかかる費用
- ・特別な居室・食事、事業地域外での介護サービスにおける交通費など、 利用者が自分で選定した介護保険外のサービスに関するもの
実際にどのようなサービスが非課税、あるいは課税となるのか見ていきましょう。
消費税非課税となる居宅介護サービス
居宅介護における介護サービスにかかる消費税の非課税範囲は、消費税法の「居宅介護サービス費の支給にかかる居宅サービス」に規定されています。具体的には、以下にあげるサービスですが、通常利用が想定される介護サービスの大部分が含まれています。また、地域密着型の介護サービスや介護サービスの計画費、および要支援の人を対象とした介護予防サービスについても、同様に消費税は非課税です。
- ① 訪問介護に関するサービス
- ② 通所に関するサービス
- ③ 特定施設に入居している場合
詳しいサービス内容についても確認してみましょう。
① 訪問介護に関するサービス
- ・訪問介護
- ・訪問入浴介護
- ・訪問看護
- ・訪問リハビリテーション
- ・居宅療養管理指導
居宅療養管理指導のサービスそのものは非課税ですが、交通費を徴収する場合には課税対象となります。
② 通所に関するサービス
- ・通所介護
- ・通所リハビリテーション
- ・短期入所生活介護
- ・短期入所療養介護
通所介護や短期入所などの通所系サービスにおいて、通所先で日常生活使用の範囲に含まれる食事代やおむつ代については非課税です。また、時間延長により追加発生する負担額についても課税の対象ではありません。
③ 特定施設に入居している場合
介護保険認定を受けた有料老人ホームやケアハウスなどの特定施設に入居している人が受ける特定施設入居者生活介護においても、「居宅介護サービス費の支給にかかる居宅サービス」に該当する部分については非課税です。これには、介護保険適用外の居住費やおむつ代など、日常生活に必要な費用も含まれます。
介護保険の給付額を超えて介護サービスを利用する場合、全額利用者の自己負担となります。しかし、全額自己負担であっても「居宅介護サービス費の支給にかかる居宅サービス」に該当するサービスに関しては、消費税は非課税となります。消費税の課税・非課税は介護サービスの内容によって決まるものであり、介護保険の給付内であるかどうかは問われません。
消費税非課税となる施設介護サービス
要介護認定を受けた人が以下の施設に入所して受ける施設介護サービスは消費税非課税です。
- ・介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)
- ・介護保健施設サービス
- ・介護療養施設サービス
施設介護においても、おむつ代、食費、理美容代など、介護保険適用外であっても日常生活に関わる費用に関してはすべて非課税となります。ただし、介護サービスのうち、利用者の選定による部分については、課税の対象です。特別な食事や部屋、嗜好品などが該当します。
消費税課税となる介護サービス
では、消費税課税となる介護サービスにはどのようなものがあるのでしょうか。具体例をあげて解説します。
- ① 福祉用具貸与・特定福祉用具販売、住宅改修にかかる費用
- ② 事業区域外の事業者を利用した場合の交通費や送迎費用
- ③ 介護サービス利用者自身が選択した特別室や特別食にかかる費用
- ④ 訪問入浴介護の浴槽水
- ⑤ 介護保険の対象とならないサービス
① 福祉用具貸与・特定福祉用具販売、住宅改修にかかる費用
介護に必要な福祉用品の貸与や、特定福祉用具販売、および手すりの設置などの住宅改修にかかる費用に関しては、消費税が課税されます。介護保険の適用範囲であっても、「非課税となる介護保険にかかる資産の譲渡等」の中に、福祉用具に関する費用や住宅改修費用は含まれていないためです。
ただし、例外として身体障害者用物品の貸与や販売の費用については非課税となります。介護保険から一部の費用が支給されている場合でも、身体障害者用物品であれば非課税に該当します。
② 事業区域外の事業者を利用した場合の交通費や送迎費用
介護保険サービスは、事業者のサービス提供区域が決められています。希望により事業区域外の介護サービス事業者を利用した場合には、介護サービスそのものは非課税ですが、交通費や送迎費用については利用者が負担しなければなりません。そのため、交通費や送迎費用の部分については消費税も課税されます。
③ 介護サービス利用者自身が選択した特別室や特別食にかかる費用
介護サービス利用者自身が希望した特別な居室や食事に関する費用は、介護保険外となり差額は自己負担です。そのため、消費税も課税となりますが、介護保険内のサービスを利用した場合との差額分についてのみが課税対象となります。
④ 訪問入浴介護の浴槽水
訪問入浴介護は通常介護サービス利用者の自宅の水道を使用します。しかし、利用者の希望によって訪問入浴介護事業者がサービス提供のために特別な浴槽水を用意する場合には、消費税が課税されます。
⑤ 介護保険の対象とならないサービス
介護事業者が提供しているサービスでも、介護保険の適用範囲を超えるサービスは一般のサービス利用同様とみなされ、消費税が課税されます。具体的には、利用者の家族に対するものなどの本人の援助とならないサービス、および大掃除や模様替えなど日常生活の範囲を超えるサービスなどが該当します。
消費税の課税・非課税の不明点は専門家に確認を
介護サービスで消費税が課税となるか非課税となるかは、基本的には特別なサービスを受ける場合に課税されると考えておくとひとつの目安となります。ただし、施設により取り扱いの詳細が異なる場合や、一部のみに課税される場合もあるなど、わかりにくい面も見られます。不明点については、担当のケアマネジャーに確認しましょう。