さまざまな介護サービスを、1~3割の自己負担で受ける
ことができるのが「介護保険」です。
介護療養型医療施設の費用・料金について
最も手厚いケアが受けられる!?介護療養型医療施設の費用・料金を徹底解説!
介護療養型医療施設は、医療やリハビリについて手厚いケアが受けられる介護施設です。ここでは介護療養型医療施設の概要に加え、介護療養型医療施設を利用する際の費用・料金の大まかな目安や詳しい内訳を解説します。
目次
介護療養型医療施設(療養病床)とは?
医療やリハビリが充実し、比較的重度の要介護者も受け入れ可能なのが介護療養型医療施設(療養病床)です。その多くは医療法人によって運営されています。介護サービスも提供されますが、基本的には医療機関の一種と考えられているので、居住者の身体の状態が改善したら退去を求められることもあります。
介護療養型医療施設の入居条件
病状が安定し、長期療養が必要となる要介護以上の高齢者が対象となります。ただ施設によっては「伝染病などの疾患がない」など別の条件も存在していることがあるので、必要に応じて事前に目当ての施設へ問い合わせるようにしましょう。
他介護施設と比較したメリット
医師3人以上(48人の入居者につき1人以上)が常駐するなど医療ケアの体制が手厚く、リハビリも充実していることがメリットとしてあげられます。また入居一時金がなく比較的利用料が安いのもメリットです。
他介護施設と比較したデメリット
あくまで医療ケアやリハビリがメインの施設であるためレクリエーションなどの娯楽が少なめである点があげられます。また2012年から新設が認められなくなったこともあり、供給量に対して入居を希望する高齢者の数が多いことから、入所するまでの待ち時間が長いのもデメリットです。
介護療養型医療施設の費用・料金の目安
介護療養型医療施設を利用する場合の費用・料金の目安は、おおよそ以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
なし |
ユニット型個室の場合:25万円程度 多床室の場合:9~17万円程度 |
介護療養型医療施設の費用・料金の内訳
介護療養型医療施設の費用・料金の内訳について、詳しくみていきましょう。まず介護療養型医療施設は、上述した通り入居一時金はありません。次に毎月かかる主な月額利用料の内訳として、家賃にあたる居住費、食費、施設でサービスを受ける際に必要な介護サービス費があげられます。それぞれの費用・料金の目安は以下表の通りです。
食費の目安
月額利用料(30日分) |
---|
41,400円(1,380円/日) |
1ヵ月(30日分)の介護サービス費一覧
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
従来型個室 |
19,230円 (641円/1日) |
22,320円 (744円/1日) |
29,010円 (967円/1日) |
31,860円 (1,062円/1日) |
34,410円 (1,147円/1日) |
多床室 | 22,350円 (745円/1日) |
25,440円 (848円/1日) |
32,130円 (1,071円/1日) |
34,980円 (1,166円/1日) |
37,530円 (1,251円/1日) |
ユニット型 |
19,230円 (767円/1日) |
19,230円 (870円/1日) |
19,230円 (1,093円/1日) |
19,230円 (1,188円/1日) |
19,230円 (1,273円/1日) |
たとえば多床室利用で要介護1なら、食費(41,400円/月)・居住費(11,100円/月)・介護サービス費(19,230円)あわせて71,300円となります。その他、おむつ・理容・娯楽などに関する費用が実費として必要になります
介護療養型医療施設には低所得者向けの減額処理がある
利用者の負担が重くならないように、所得が少ない方などに向けた減額処理があります。具体的には、以下の区分に従って費用・料金の減額が行われます。
設定区分 | 対象者 |
---|---|
第1段階 |
・生活保護者など ・世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者 |
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下 |
第3段階 | 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超 |
第4段階 | 市区町村民税課税世帯 |
この設定区分に基づき、食費や居住費が以下のように減額されます
食費(1ヵ月/30日分)
基準費用額 | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階 |
---|---|---|---|
41,400円 (1,380円/1日) |
9,000円 (300円/1日) |
11,700円 (390円/1日) |
19,500円 (650円/1日) |
居住費(1ヵ月/30日分)
基準費用額 | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | |
---|---|---|---|---|
ユニット型個室 |
59,100円 (1,970円/1日) |
24,600円 (820円/1日) |
24,600円 (820円/1日) |
39,300円 (1,310円/1日) |
ユニット型準個室 |
49,200円 (1,640円/1日) |
14,700円 (490円/1日) |
14,700円 (490円/1日) |
39,300円 (1,310円/1日) |
従来型個室 |
49,200円 (1,640円/1日) |
14,700円 (490円/1日) |
14,700円 (490円/1日) |
39,300円 (1,310円/1日) |
多床室 |
11,100円 (370円/1日) |
0円 |
11,100円 (370円/1日) |
11,100円 (370円/1日) |
自己負担限額(月額)一覧 ※平成29年8月分~
さらに高額介護サービス費の補助を受けることも可能です。高額介護サービス費とは、介護サービスの利用に所得の区分によって決められた限度額以上の金額を支払った場合、介護保険からその超過分を払い戻す制度です。世帯ごと・個人ごとの上限額は以下の通りです。
利用者負担段階区分 | 世帯の上限額 | 個人の上限額 |
---|---|---|
生活保護の受給者など | 15,000円 | 15,000円 |
世帯全員が住民税非課税で、本人が老齢福祉年金の受給者の場合 | 24,600円 | 15,000円 |
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方 | 24,600円 | 15,000円 |
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 | 24,600円 | 24,600円 |
住民税課税世帯の方 | 44,400円(※) | 44,400円 |
現役並み所得者(課税所得145万円以上)に相当する方及びその世帯員 | 44,400円 | 44,400円 |
(※1)
1割負担の被保険者のみの世帯では、令和2年7月まで時限措置として年間446,400円(37,200円×12月)の年間上限額が設定される。令和2年8月~翌年7月までの1年間の負担額が超えた場合に、高額サービス費を支給。
介護療養型医療施設で料金が加算になる場合とは?
介護療養型医療施設では、各施設が一定の基準を満たしている場合に介護サービス費の加算処理が行われることがあります。加算例として、医療費の単位を1単位10円・1割負担とすると、以下があげられます。
項目 | 1日あたりの加算額 |
---|---|
夜勤職員の手厚い配置 | 70円~230円 |
在宅への復帰を支援 ※在宅復帰率30%超など |
100円 |
認知症の行動・心理症状を有する者の緊急入院 ※入所後7日まで |
2,000円 |
費用・料金を把握してよりよい施設選びを
介護療養型医療施設は、入居時に一時金を支払う必要がありません。一方、毎月必要な費用・料金として、食費・居住費・介護サービス費、さらにおむつなどの消耗品や、娯楽などにかかる実費があげられます。食費や居住費・介護サービス費は、居室の種類や要介護度、所得によって違ってくるのでこの記事を参考にあらかじめ確認しておきましょう。
かかる費用・料金によって、どういった介護施設を選ぶかも変わってきます。できるだけ費用・料金に関して具体的に理解した上で、よりよい施設選びに活かしましょう。