知っているようで知らない、
老人ホームの基礎知識。
ショートステイとは?
在宅介護を続ける中で、一時的に宿泊を伴う介護サービスを利用したいというケースはよく聞きます。そうした時に利用できるサービスがショートステイ。ショートステイには介護保険制度を利用できるものと、介護保険適用外の主に有料老人ホームなどの施設で独自に設定したものとの2種類あります。今回は、それぞれのショートステイの特徴や利用方法などを、詳しくご説明します。
そもそも、ショートステイとは?
ショートステイとは、在宅介護中の高齢者の心身の状況や病状に合わせて、介護する方の介護負担軽減や一時的に介護ができない場合の介護をする目的で、短期間施設に入所し、日常生活全般の介護を受けることができるサービスのことです。65歳以上で「要支援」「要介護」と認定された方が利用できます。
(1)介護保険制度を利用できるショートスティ
日常生活における介護全般を支援する「短期入所生活介護」と、医療的な管理が必要なときに利用する「短期入所療養介護」の2種類があります。介護保険内でショートステイを利用する場合は、介護度に応じた自己負担1割でサービスを受けられます。いずれの施設でも介護度によって1回あたりの利用できる日数は、連続30日までと決まっています。ただし、介護度によって介護保険内で利用できる日数は異なるため注意が必要です。
(2)介護保険適用外のショートステイ
介護保険を利用しない有料老人ホームなどでの有料ショートステイは、介護保険のケアプランとは関係なく、自立の方から要介護5の方まで利用が可能です。契約する施設によって利用条件は異なるためニーズに合わせたサービス利用期間が選べます。
【ショートステイで利用する主な施設の種類】
短期入所生活介護:特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの福祉施設
短期入所療養介護:介護老人保健施設、病院など
【ショートステイを利用するメリット】
「介護を受ける方」も「介護をする方」も介護の負担が軽減できます
どんな時に利用するの?
介護者が急な予定で数日間介護できなくなってしまった場合や、退院後のリハビリのため、施設へ入所するにあたり自宅以外の場所で生活することに慣れるためなど、ショートステイは希望や状況に合わせて様々な場面で利用できます。
こんな時にショートステイを利用してみましょう
- 介護者が、冠婚葬祭の場合や旅行など出かけたいとき
- 介護者が体調を崩してしまったとき
- 介護者が仕事で忙しい場合や、出張で自宅を留守にするとき
- 介護者が介護をひと休みしたいとき
- 自宅での介護が難しく、特別養護老人ホームの入居待ちの場合
- 一人暮らしでヘルパーが来ない日の家事などの負担を減らしたいとき
- 一人暮らしのため話し相手もいなくて寂しいとき
上手に利用するためのポイント
介護保険制度を利用するショートステイの場合は人気が高く、1~2ヶ月先まで予約がいっぱいでなかなか希望通りに利用できないことがあります。また連休や年末年始なども人気で予約が取れないのが現状です。利用する場合は、混雑時を避け余裕を持って予約をしましょう。
有料老人ホームが行う有料ショートステイは、料金が割高ですが、緊急度合いや一時的な利用にも柔軟に対応してくれるところも多いようです。利用期間や緊急度等によって、使い分けると良いでしょう。
利用料金の目安は?
ショートステイを利用するための介護保険料の負担額は、利用者の介護度や利用日数、サービスを行う施設の種類や部屋の種類(多床室個室(大部屋)、従来型個室(リビングなし)、ユニット型個室(8条以上の個室でリビングの利用可)、受けられる生活・介護サービス内容によって、それぞれ異なります。このほか、送迎や食事の管理(療養食、栄養士配置)などを希望する場合は、サービス内容ごとに介護保険に加算され、支払う必要があります。
(例)要介護3の人が、1泊2日のショートステイを利用する場合
基本料金 | 部屋代 | 食費(1日) | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
短期入居生活介護 特養などの ショートステイ |
大部屋 | 1,700円 | 650円 | 1,400円 | 3,750円 |
個室 リビングなし |
1,600円 | 2,500円 | 5,500円 | ||
個室 リビングあり 8畳以上 |
1,800円 | 4,000円 | 7,200円 | ||
短期入所療養介護 老健などの ショートステイ |
大部屋 | 1,950円 | 650円 | 1,400円 | 4,000円 |
個室 リビングなし |
1,800円 | 3,300円 | 6,500円 | ||
個室 リビングあり 8畳以上 |
2,000円 | 4,000円 | 7,400円 | ||
有料老人ホーム 介護保険適用外 |
全室個室 リビングあり |
1泊2日食事付が多い | 10,000円 ~15,000円 |
※介護保険を利用したショートステイの場合は、介護度によって基本料金が異なります。
※上記の金額はあくまでも目安です。市区町村や施設によって料金は異なります。申込をする際は、必ず契約内容や料金をご確認ください。
※上記の他に送迎代や日常生活費や理美容代等、別途かかる場合があります。
利用するにはどうすればいいの?
介護保険の利用の有無により、手続きの仕方が異なります。利用したい時期や期間、目的等に応じて利用する施設を選びましょう。
介護保険を利用する場合(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
- 要支援の方の場合:地域包括支援センターへ相談し、介護予防ケアプランに組み込んでもらいます。
- 要介護の方の場合:担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらいます。
介護保険を利用しない場合(有料老人ホームなど)
- 有料ショートステイを実施している有料老人ホーム等に、直接お問い合わせください。
ショートステイを利用するまでの流れ
(1)【介護保険利用】担当ケアマネジャーに相談
【介護保険適用外】希望の施設(有料老人ホームなど)に直接連絡する。
(2)施設の空き状況を確認してもらう
(3)見積りの確認・提供サービス内容の確認
(4)施設の見学・訪問(アセスメント)・契約
(5)利用開始!
どんな1日を過ごすの?
ショートステイ先での過ごし方は、その契約した施設によって異なります。
食事に力を入れていたり、リハビリやレクリエーションに力を入れていたりと、施設によって様々です。
1日を過ごす場所ですので、入所する方の好みや希望にあった場所を探しましょう。
あるショートステイ先での、1泊2日の過ごし方
9:00 | 送迎 | 車で自宅まで職員がお迎えします。 |
リハビリ体操 | デイルームで元気よく、皆さんで体操を行います。 | |
12:00 | 昼食 | 食事の後はハミガキ(口腔ケア)を行います。 |
13:00 | レクリエーション | ディルームに集まり、皆さんでレクリエーションを行います。 |
15:00 | おやつ | |
16:00 | 入浴 | |
18:00 | 夕食 | 食事の後はハミガキ(口腔ケア)を行います。 |
就寝の準備(着替え)をしたり、お部屋でゆっくり過ごします。 | ||
21:00 | 就寝 |
6:00 | 起床 | 着替えて、デイルームに集まります。 |
7:00 | 朝食 | 食事の後はハミガキ(口腔ケア)を行います。 |
リハビリ体操 | デイルームで元気よく、皆さんで体操を行います。 | |
10:00 | おやつ | |
12:00 | 昼食 | 食事の後はハミガキ(口腔ケア)を行います。 |
13:00 | レクリエーション | デイルームに集まり、皆さんでレクリエーションを行います。 |
15:00 | おやつ | |
16:00 | 送迎 | 車で自宅まで職員がお送りします。 |
※レクリエーションや入浴、送迎の時間などは契約条件およびそのショートステイ先により異なります。