介護のお役立ちコラム
40歳から被保険者となる介護保険。将来、介護が必要になった場合に、保険が適用され介護保険サービスの負担をサポートしてくれます。しかし、介護保険サービスを利用するには市区町村から「要介護認定」を受けることが必要となります。
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「要介護度」認定は、1〜5まであります。要介護度は年齢や身体機能、認知症の進行具合などには個人差があり、必要とする介護の度合いとそれにかかる費用や時間も大きく異なります。それゆえ要介護度も高くなるほど手厚いサポートを受けることができます。
今回は要介護認定の中でも最も軽度な「要介護1」の状態について詳しくご説明したいと思います。
「要介護」とは?
日常生活全般において、独力で家事、移動、金銭管理、服薬管理などをおこなうことが難しく、だれかによる手助けが常時必要な状態を指します。厚生労働省は「日常生活上の基本的動作についても、自分でおこなうことが困難であり、何らかの介護を要する状態」と定義しています。
「要支援」と「要介護」の違いとは?
高齢者が身の回りの世話や日常の動作などを一人でスムーズに行うことが難しくなった場合、介護保険による介護保険サービスを受けることができます。住民票のある市区町村の福祉課などに申請することになりますが、聞き取り調査(面談)を元にした判定結果により7段階に区分されます。
要支援(1・2)、要介護(1~5)といった名称に分けられ、このうち要支援1が最も軽度(自立に近く手厚い介護は不要)で、要介護5は最も重度(すべての行動を独力でおこなうことが難しく、意思疎通もままならない状態)になります。また判定の結果、いずれの支援も介護も必要がないと判断された人、または介護保険の申請をしていない元気な高齢者は「自立」というカテゴリーに分類されます。
今回トピックに挙げる「要介護1」は、「歩行が不安定で、食事や排せつなどの生活動作に部分的な介助が必要な状態」であることが一つの基準となっています。一方で「要支援」は、部分的な介助を必要としながらも基本的には独力で生活ができ、適切な運動や生活習慣の見直しによって要介護状態を予防できる状態にあるとされています。
介護サービスを受ける場合、限度支給額も「要支援」より「要介護」の方が高額になり、サービスを利用できる回数・時間も増え、種類もより豊富に選ぶことができます。これまで「要支援」で支給される費用は「予防給付」という名目でしたが、2015年の改正介護保険法によって介護保険の適用範囲から外れ、「介護予防・日常生活支援総合事業(通称:新しい総合事業)」と呼ばれる市区町村が提供するサービスへと切り替わることになりました。そのため「要介護1」は、介護保険が適用となる最も初等のランクとなります。
【介護認定までの流れ】
①地域包括支援センターに連絡を入れる↓
②要介護認定の申請をする。
↓
③市区町村の担当者、あるいは委託されたケアマネジャーの訪問調査を受ける
↓
④申請結果を受け取って、居宅介護支援事業所へ連絡(要支援1〜2の方は、地域包括支援センターへ)
↓
⑤ケアプランの作成
↓
⑥サービス事業者との契約
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「要支援1」から「要介護5」までの判断基準
要支援1から要介護5まで、7つの区分については、介護保険の申請後、自治体職員によるヒアリングをもとにした調査内容(一次判定)と、その後、医師など専門家によって作成される「主治医意見書」をもとにした判定(二次判定)で決まります。
以下5つの分野において、各項目についてかかる時間(要介護認定等基準時間)が要介護度を振り分ける際の大きな基準となっています。
①直接生活介助(入浴、食事、排せつの介護)
②間接生活介助(洗濯、掃除といった家事援助など)
③問題行動関連行為(徘徊、不潔行為についての対処)
④機能訓練関連行為
⑤医療関連行為
ただし、一次判定を実施した担当者の主観によって変わる部分も大きく、被試験者の面談に応じた日の体調、精神状態など複数の要因で変化するものなので、100%明確なガイドラインとは言えません。参考までに「要介護認定等基準時間」の分類は以下のとおりとなっています。
介護保険の支給限度額はいくらになるのか?
介護サービスを受けるための支給限度額も要介護度によって異なります。「要介護1」の場合、1か月に支給される金額の上限は16万7,650円に定められており、このうち利用者の自己負担額は所得などに応じて1~3割になります。
支給限度額を上回る介護サービスを利用したい場合、その費用は全額利用者負担となります。しかし特別養護老人ホームなどの施設に入居している高齢者で低所得者の人、高度な医療を必要として、月々の医療費の支払いが高額になる人については、支給限度額をオーバーした場合でも、介護保険から超過分が捻出され、居住費や食費の費用が軽減される措置があります。
ケアプランとサービスの目安
ケアプランとサービスの目安 「要介護1」の限度支給額を踏まえ、どういった介護サービスをどれくらいの頻度で受けることができるのでしょうか?
厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間」と呼ばれる指標があり、日常的な身体介助や歩行、機能訓練などに要する時間を計算した結果、「要介護1」は「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当する
しかし現実的には、担当のケアマネジャーと相談してケアプランを決めることが一般的となっており、在宅で介護することが多い「要介護1」では以下のようなシミュレーションが想定できます。
通所介護(デイサービス)の場合 | ||
頻度 | 週2回 | |
内容 | レクリエーションや昼食、入浴といったサービス |
訪問介護の場合 | ||
頻度 | 週3〜4回 | |
内容 | 家事代行、病院への付き添い、服薬管理など |
介護保険は、新規申請時その区分(要支援1・2、要介護1~5のいずれか)の有効期間は6か月で、その後3~12か月を目安に見直すことが可能です。より個人に合った質の高い介護を提供するためには、定期的なケアマネジャーとの接見とアセスメントが求められますが、短期間で急激な体調の変化が見られることもあるので、高齢者本人も家族も納得のいくまでケアマネジャーと話し合い、必要であれば要介護度の見直しを積極的に求めるのも介護保険被保険者の立派な権利です。
終わりに
「要介護」というカテゴリーではありますが、周囲のサポートをうまく活用しながら独力または夫婦が協力し合って生活することが「要介護1」では可能であると言えます。リハビリや生活習慣の見直しなど小さな努力の積み重ねで、より軽度な「要支援」に戻っていく高齢者も多くいますが、反面、短期間でより重度の要介護になる人もいます。実際のところ、「要介護1」の高齢者が利用する介護サービスは、デイサービスと訪問介護がメインになるとは思いますが、近い将来のことを考え、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへの入居を検討しておきたいところです。
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